70年の歴史を持つ公営競技「競艇(ボートレース)」。
約1,600名いる選手は最強の証である賞金王の座を目指し、今日も各地の競艇場で熾烈な戦いが繰り広げている。そんな中、今も語り継がれる歴代の賞金王をはじめ、各時代で最強と呼ばれた選手たちが競艇史にその名が刻まれています。
そこで今回は、最強の称号を獲得した歴代の競艇選手をまとめていこうと思います。紹介する内容はざっとこんな感じ。
- 最高峰タイトル「賞金王」について
- 歴代の賞金ランキング1位の選手
- 生涯獲得賞金ランキング
少し長くなってしまいそうですが、最後まで読めば「競艇界の賞金事情」を理解できるはず。
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競艇界の最高峰タイトル「賞金王」とは
賞金王の正式名称は「最多賞金獲得選手」。
年間賞金ランキング1位の選手に与えられる賞金王のタイトル。1年を通して獲得した賞金額を競い合い、頂点に輝いた者のみに許された最大にして最高の名誉です。
ポイントとなるのは、A1級レーサーで年間250~300レースにおいて、その中に含まれる高額賞金のレース結果。SGを1つでも優勝すればランキングは大きく上がり、グランプリ出場、そして賞金王争いにも名乗りを上げることが可能となります。
2001年以降、すべての年で賞金王を獲得した選手が、年間を通じて最も優秀な成績を残したレーサーに贈られる「最優秀選手」にも選ばれています。
「グランプリ(賞金王決定戦)」賞金1億円の最高峰レース
毎年12月に行われるSGの最高峰「グランプリ(賞金王決定戦)」。賞金王争いのクライマックスとなるレースです。
その年のNo.1レーサーを決める名目で1986年に創設されたグランプリ。住之江競艇場で行われた第1回の優勝賞金は3000万円でしたが、1997年の第12回から現在の1億円となりました。
また、2014年からは出場選手枠が12名から18名に広がり、トライアルも2ステージ制へと変更されています。最終日のグランプリ決定戦に進めるのは6選手。優勝賞金1億円を賭けた最後の一発勝負によって、その年の競艇界最強レーサーが決まるのです。
賞金ランキングのルールと対象期間
賞金ランキングの数字には、賞金のほかに副賞や手当なども含まれます。そして、賞金王争いの対象となるのは…
悪天候などで中止や打ち切りとなった場合でも、それまでに走ったレースの賞金、打ち切りによって選手間で山分けとなった賞金、開催中の各手当や日当など、選手の収入となったお金は原則すべて獲得賞金に加算されます。
年末年始によくある「年またぎの開催」についても、賞金の加算は厳密に分けられています。
年内獲得賞金の対象となるのは、12/31に走ったレースの分まで。年が変わった瞬間に全選手の獲得賞金はリセットされ、1/1のレースからは新しい年の賞金ランキングに換算されます。
賞金ランキングを押し上げる高額レース
グランプリの優勝賞金1億円から一般戦の数万円というレベルまで、1回のレースで獲得できる賞金額は大きく異なります。
A1級レーサーであれば賞金の高いレースに多数出場できるので、1走あたり、そして1勝あたりの単価もより高くなるわけです。
そして、賞金ランキングで上位を狙うためには、グレードの高いレースで結果を残すことが必須条件となります。以下、高額の賞金が獲得できるG1以上の開催とその優勝賞金を載せておきます。
SG | グランプリ(賞金王決定戦) | 1億円 |
SG | クラシック(総理大臣杯) オールスター(笹川賞) メモリアル(MB記念) ダービー(全日本選手権) |
3900万円 |
SG | グランドチャンピオン オーシャンカップ チャレンジカップ |
3300万円 |
SG | グランプリシリーズ(賞金王シリーズ戦) | 1600万円 |
PG1 | クイーンズクライマックス(賞金女王決定戦) | 1500万円 |
PG1 | マスターズチャンピオン(競艇名人戦) レディースチャンピオン(女子王座決定戦) ヤングダービー(新鋭王座決定戦) バトルチャンピオントーナメント |
1100万円 |
G1 | 各場の周年記念 | 1000万円 |
G1 | ダイヤモンドカップ(施設改善記念) 高松宮記念(住之江) |
900万円 |
G1 | 各地区選手権 | 480万円 |
賞金王へのサバイバルロード
月を追うごとに順位が目まぐるしく替わっていく賞金ランキング。
秋以降になると、賞金王を目指す選手たちの“段階的なふるい落とし”が行われていきます。最初の関門となるのが、10月末までの獲得賞金順で決まるSGチャレンジカップの出場権。
この時点で賞金王のチャンスは「ランキング上位34選手」に絞られます。そして、選考期間最後のSGとなるチャレンジカップが終了した時点で、グランプリ出場の切符を手にできるのは「賞金ランキング上位18選手」です。
グランプリでは、ランキング下位12選手による1stステージ(2日間)で半分の6選手が脱落。2ndステージは、残った6選手とランキング1~6位の計12選手で3日間のレースを行います。
この2ndステージを勝ち抜いた6選手が、優勝賞金1億円を賭けた「グランプリ決定戦」に出走します。
大晦日に賞金王決定? 2004年の植木vs今村
通常、賞金王争いはグランプリで勝負がつきます。ただ、1位と2位が数十万円程度の僅差だった場合、年末のあっせん状況次第では“決着が大晦日までもつれる可能性”もゼロではありません。
実際に2004年、グランプリ終了時点で賞金王が決定しない可能性が浮上。賞金ランキング11位で決定戦に進み、1号艇でファイナルに臨んだ植木通彦選手と、ランキング1位ながら決定戦に進めなかった今村豊選手。
実はこの時、ファイナルを走る植木選手が優勝し、順位決定戦を走る今村選手が4着となった場合、1位と2位の差が30万円以内まで急接近する事態に。しかも、植木選手は28日から若松で、今村選手は30日から徳山で一般開催を走る予定があり、この僅差では今村選手に賞金王当確ランプはつかず。
賞金王が史上初めて大晦日に決まるのか?
ファンの間でも話題になりましたが、順位決定戦で今村選手は3着に入り、この時点で賞金王当確。一方の植木選手はファイナルで絶好の1コースを生かせず6着に敗れ、賞金王の大晦日決着は幻に終わったのです。
歴代の競艇賞金王と獲得賞金
1990年代以降、SGの開催数が段階的に増え、選手の年間獲得賞金も大きく増加。過去には1億円レーサーが10名以上誕生した年もあります。
それでは、歴代の賞金王と年間獲得賞金を年別に紹介します。
歴代賞金王レーサーと年間獲得賞金一覧(2002~2021年)
2002年以降で最も多く賞金王レーサーを輩出しているのは大阪支部の3名(田中信一郎、松井繁、石野貴之)。松井繁選手は2008~2009年に2年連続で賞金王のタイトルを獲得しています。
各年の賞金王に輝いた選手と年間獲得賞金は以下の通りです。
※千円単位は切り捨て
年度 | 1位選手 | 年間獲得賞金額 |
2002 | 植木通彦(福岡) | 2憶8393万円 |
2003 | 田中信一郎(大阪) | 2憶2980万円 |
2004 | 今村豊(山口) | 1憶8811万円 |
2005 | 辻栄蔵(広島) | 1憶8947万円 |
2006 | 松井繁(大阪) | 2憶2800万円 |
2007 | 魚谷智之(兵庫) | 2憶0537万円 |
2008 | 松井繁(大阪) | 2憶1259万円 |
2009 | 松井繁(大阪) | 2憶5120万円 |
2010 | 中島孝平(福井) | 1憶9381万円 |
2011 | 池田浩二(愛知) | 2憶5085万円 |
2012 | 山崎智也(群馬) | 1憶6351万円 |
2013 | 池田浩二(愛知) | 1憶9823万円 |
2014 | 菊池孝平(静岡) | 1憶6954万円 |
2015 | 山崎智也(群馬) | 2憶2933万円 |
2016 | 瓜生正義(福岡) | 2憶1373万円 |
2017 | 桐生順平(埼玉) | 2憶1224万円 |
2018 | 峰竜太(佐賀) | 2憶0292万円 |
2019 | 石野貴之(大阪) | 2憶2564万円 |
2020 | 峰竜太(佐賀) | 2憶5302万円 |
2021 | 瓜生正義(福岡) | 1億8211万円 |
年によって1位の獲得金額に差があるのは、SG優勝賞金の増減による影響もあります。
歴代の賞金女王と獲得賞金一覧
年末にクイーンズクライマックス(賞金女王決定戦)が新設されて以降、女子レーサーNo.1の座をめぐる戦いが飛躍的に加熱。その年の最強女子レーサーは誰になるのか?賞金ランキングの動向にも関心が集まるようになりました。
2012年以降は賞金女王の座を手にした選手が毎年変わっており、最強女子レーサーの争いもハイレベルな戦国時代が続いています。
以下は2012年からの歴代賞金女王と、年間獲得賞金額の一覧です。
※千円単位は切り捨て
年度 | 1位選手 | 年間獲得賞金額 |
2012 | 田口節子(岡山) | 4189万円 |
2013 | 平山智加(香川) | 5267万円 |
2014 | 日高逸子(福岡) | 4096万円 |
2015 | 寺田千恵(岡山) | 4052万円 |
2016 | 松本晶恵(群馬) | 4493万円 |
2017 | 遠藤エミ(滋賀) | 5390万円 |
2018 | 小野生奈(福岡) | 4190万円 |
2019 | 大山千広(福岡) | 5683万円 |
2020 | 平高奈菜(香川) | 5491万円 |
2021 | 遠藤エミ(滋賀) | 6439万円 |
クイーンズクライマックス(賞金女王決定戦)の優勝賞金は1500万円。ただ、男女では体力差もあることから、競艇で女子選手が年間4000万円以上の賞金を獲得するのは至難の業です。
女子レーサーで賞金ランキング上位選手は、男女混合のSGやG1への出場機会も多く、男子の強豪選手と互角に渡り合える実力で賞金を積み上げているのです。

グランプリ優勝者が賞金王になれなかったケース(2000年以降)
グランプリの優勝賞金は1億円です。当然、優勝すれば賞金王は確定だろう…と思いがちですが、必ずしもそうではありません。
グランプリ決定戦で1着を獲ったものの、年間の獲得金額で及ばず賞金王のタイトルに届かなかったケースは2000年以降で4例。いずれも、グランプリ開催前の時点で賞金ランキング1位だった選手がそのまま逃げ切った形となります。
年度 | グランプリ優勝 (選出時点の賞金順位) |
賞金王 (グランプリ成績) |
2004 | 田中信一郎(12位) | 今村豊 (順位決定戦3着) |
2007 | 吉川元浩(6位) | 魚谷智之 (優出3着) |
2008 | 井口佳典(6位) | 松井繁 (優出4着) |
2014 | 茅原悠紀(12位) | 菊池孝平 (優出2着) |
グランプリ決定戦の2着賞金は4700万円、6着でも2000万円と高額です。よって、賞金ランキング1位の選手が優勝を逃した場合でも、相手の結果次第で1位の座を守り通すことが可能となります。
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過去の賞金王争いとプレイバック5選
年間最強の競艇選手を決める戦いには、これまでさまざまなドラマがありました。過去に行われた賞金王争いの中から、特に印象的だった年のランキング上位5選手を紹介します。
2億円レーサーが3選手も(2003年)
選手名 | 年間獲得賞金 | 獲得SG | |
1位 | 田中信一郎 | 2憶2980万円 | グランプリ、メモリアル |
2位 | 松井繁 | 2憶2081万円 | |
3位 | 山崎智也 | 2憶1212万円 | ダービー |
4位 | 瓜生正義 | 1億4606万円 | |
5位 | 今村豊 | 1億3110万円 |
田中選手が2001年に続いて2度目の賞金王に輝いた2003年は、SG初優勝が4選手も出る混戦に。一方、SG常連組も揃って活躍したことで、ランキング上位選手の獲得賞金は非常に高いものとなりました。
最終的には上位3選手が年間獲得賞金2億円超え、上位14選手までが1億円超えという史上初の高水準に。中でも2位の松井選手はG1 年間8勝の驚異的な成績で、SGを1つも勝つことなく2億円の大台に乗せてしまったのです。
ランキング11位からの大逆転!(2005年)
選手名 | 年間獲得賞金 | 獲得SG | |
1位 | 辻栄蔵 | 1憶8947万円 | グランプリ |
2位 | 濱野谷憲吾 | 1憶6513万円 | |
3位 | 仲口博崇 | 1憶5331万円 | |
4位 | 太田和美 | 1億4482万円 | ダービー |
5位 | 江口晃生 | 1億4361万円 | オーシャンカップ |
辻選手はチャレンジカップ終了で賞金ランキング11位。賞金王が有力視されていた1位の植木選手とは、この時点で5000万円以上もの差がありました。
しかし、その植木選手がトライアル2走目で負傷し、賞金を上積みすることなくまさかの途中帰郷。対して辻選手はトライアル2勝を挙げて決定戦ファイナルに1号艇で進出。優勝すれば自力で賞金王をゲットできる状況に。
辻選手は1億円が懸かったファイナルを盤石のイン逃げで圧勝。ランキング11位からの大逆転で、初の賞金王タイトルを獲得しました。
「尼崎最強の2人」に輝く栄冠(2007年)
選手名 | 年間獲得賞金 | 獲得SG | |
1位 | 魚谷智之 | 2憶0537万円 | オーシャンカップ、メモリアル |
2位 | 吉川元浩 | 1憶8148万円 | グランプリ |
3位 | 湯川浩司 | 1憶6081万円 | グランドチャンピオン、チャレンジカップ |
4位 | 松井繁 | 1憶4111万円 | |
5位 | 瓜生正義 | 1憶1687万円 | オールスター |
2007年の賞金王争いは、SG2勝を挙げた兵庫の魚谷選手と大阪の湯川選手を中心に展開。
ファイナルには兵庫、大阪ともに2選手ずつがコマを進め、賞金王の行方だけでなく「兵庫支部vs大阪支部」の近畿頂上対決にも注目が集まりました。
はじめて福岡競艇場で開催された賞金王決定戦を制したのは、トライアルを1位で通過した兵庫の吉川選手。鉄壁のイン逃げを決めて、デビュー11年でのSG初Vを最高峰の舞台で飾りました。
魚谷選手も3着に入って賞金ランキング1位を守り、賞金王とグランプリの両タイトルを兵庫支部で独占。前年のダービー優勝戦(1着魚谷、2着吉川)と同じ福岡の水面で、少数精鋭の兵庫支部を支えるWエースが揃って栄冠をつかんだのです。
ここから始まった世代交代の波(2017年)
選手名 | 年間獲得賞金 | 獲得SG | |
1位 | 桐生順平 | 2憶1224万円 | グランプリ、クラシック |
2位 | 峰竜太 | 1憶5339万円 | オーシャンカップ |
3位 | 井口佳典 | 1憶3365万円 | |
4位 | 石野貴之 | 1憶2677万円 | オールスター、グランドチャンピオン |
5位 | 白井英治 | 1憶1072万円 |
グランプリ前の賞金ランキングベスト3は、オーシャンカップで初SGを獲った峰選手、前年惜しくも賞金王を逃して雪辱を期す石野選手、そして3月のクラシック優勝で勢いに乗る桐生選手となりました。
この時点では3選手ともに初の賞金王を狙う立場。混戦となったトライアル2ndステージを突破し、揃ってグランプリ決定戦にコマを進めます。
雨天開催なった住之江のファイナルで勝ったのは、1コースからカンペキなイン逃げを決めた桐生順平選手。1年最初と最後のSGを制し、埼玉支部悲願の賞金王レーサー誕生となりました。
そして、桐生選手に続けと翌年の2018年は峰選手が、翌々年の2019年は石野選手が初の賞金王タイトルを獲得。次々に最強の座をつかんでいく3選手が揃い踏みした2017年のグランプリは、競艇界の世代交代を予感させるレースだったかもしれません。
9年ぶりの2億5000万円超え(2020年)
選手名 | 年間獲得賞金 | 獲得SG | |
1位 | 峰竜太 | 2憶5302万円 | グランプリ、オーシャンカップ |
2位 | 寺田祥 | 1憶5593万円 | メモリアル |
3位 | 毒島誠 | 1憶5520万円 | チャレンジカップ |
4位 | 吉川元浩 | 1憶3201万円 | クラシック |
5位 | 篠崎仁志 | 1憶1326万円 | オールスター |
45歳の徳増秀樹選手がグランドチャンピオン優勝、深谷知博選手はSG初出場でダービー優勝と、静岡勢の躍進が話題になった2020年。
賞金ランキング上位はグランプリ前の時点で“1億円台のレーサーが4選手”いる混戦模様でしたが、トライアルを突破できたのは峰選手と寺田選手のみ。どちらも優勝すれば自力で賞金王が決まる中でファイナルを迎えます。
全艇がコンマ0台という激しいスリット合戦になったファイナル。
1コースからコンマ01のスタートを決めた峰選手が最高の形で押し切り、グランプリ2度目の優勝。2011年の池田浩二選手(2憶5085万4000 円)以来4人目となる2億5000万円超えレーサーになりました。
峰竜太転覆で完走2艇のみ。返還額は史上最悪41億円(2021年)
選手名 | 年間獲得賞金 | 獲得SG | |
1位 | 瓜生正義 | 1憶8211万円 | グランプリ |
2位 | 峰竜太 | 1憶4779万円 | オールスター |
3位 | 白井英治 | 1憶4755万円 | |
4位 | 原田幸哉 | 1憶3105万円 | メモリアル |
5位 | 平本真之 | 1憶2667万円 | ダービー |
「賞金王は絶対王者の峰だろう」と思われていた2021年のグランプリファイナル。しかし、その予想は大きく覆される結果となり、記憶にも記録にも残る大波乱となりました。
優勝戦に出場したのは、賞金ランキング1位に恥じない走りを見せた「峰竜太」が1枠。若手のホープ「丸野一樹」が2枠。エースモーターを引き当てた「平本真之」が3枠。そして、安定した成績を残した瓜生正義、白井英治、毒島誠と続く番組。
締切り間近のオッズを見れば分かる通り、イン逃げと「2-1-345」を除いた舟券はオール万舟。ほぼ全ての競艇ファンは峰が1着と予想。
平本選手がダッシュの5コース進入となりますが、スロー勢は深インとならず十分な助走距離。断トツ人気の峰選手はコンマ07の好スタートを切り、他の選手たちもほぼ同体となるプランプリ優勝戦らしい展開に。
しかし、競艇史上最悪となる事故が起こります。
0台のスタートを切った峰のイン逃げかと思った瞬間、瓜生選手の神がかったツケマイが炸裂。そのプレッシャーからなのか、峰選手がターンマークに接触し転覆。しかも、最悪なことに後続の2,3,6号艇も巻き込まれ転覆。
2021年最後となるグランプリ優勝戦において、完走できたのは瓜生・白井の2人のみ。その結果、売上の95%を占めていた3連単・3連複の舟券は未成立となり、史上ワーストの返還額となります。
- 販売額:42億7752万6800円
- 返還額:41億1426万3700円(96.18%)
- 実売上:1億6326万3100円
この返還によって、住之江競艇場の収益となるはずだった10億円は吹っ飛び、返還されなかった4,000万円程度の売上となりました。
転覆失格となった峰選手を責めることできませんが、競艇史上最も後味の悪いグランプリと言えるでしょう。
競艇の生涯獲得賞金ランキングベスト10(最新)
今や賞金王レーサーなら年間2億円が当たり前の時代。しかしデビューからの累計となる生涯獲得賞金に目を向ければ、その金額は20億、30億という途方もない数字になります。
そんな中、最新の生涯獲得賞金ランキングのTOP10がこちら。
選手名 | 生涯獲得賞金額 | SG優勝回数 | |
1位 | 松井繁 | 39億2486万円 | 12回 |
2位 | 今村豊 | 29憶4144万円 | 7回 |
3位 | 山崎智也 | 25億9690万円 | 11回 |
4位 | 今垣光太郎 | 25憶3381万円 | 9回 |
5位 | 瓜生正義 | 24憶8761万円 | 10回 |
6位 | 濱野谷憲吾 | 23億7620万円 | 5回 |
7位 | 植木通彦 | 22億6186万円 | 6回 |
8位 | 太田和美 | 22億3810万円 | 7回 |
9位 | 田中信一郎 | 20億9900万円 | 5回 |
10位 | 服部幸男 | 19億8780万円 | 1回 |
ランキングに並ぶのはトップレベルでの活躍を20年以上続けてきた選手ばかり。ちなみに、現役最強の峰竜太選手でもまだ12億円少々なので、ランクインする選手がどれだけ凄いのか分かりますよね。



1位:松井繁(39億2486万円)
初のSG制覇はデビュー7年目の1996年笹川賞(オールスター)。道中転覆があっての「恵まれ」でしたが、そこから現在まで4度の賞金王を含むSG12勝。今もなおSG戦線に欠かせない存在として艇界に君臨する「絶対王者」です。
全盛期は内外自在の攻めで勝ち星と賞金を積み重ね、2011年のグランプリで前人未到の生涯獲得賞金30億円を突破。SGだけでなくG1優勝58回(2021年8月現在)という驚異的な記録も、2位以下を大きく突き放す強さを裏づけています。
2020年には4年ぶりにグランプリ決定戦へ進出し、まだまだ王者健在をアピール。40億、さらには50億・・・松井繁の限界突破はいつまで続くのか?



2位:今村豊(29憶4144万円)
デビュー戦でいきなり勝利を挙げ、優出3着の大健闘。あっという間にSG戦線へと登り詰め、デビュー最速記録を次々と塗り替えるスピード出世を果たしていきます。
30代からは持病(メニエール病)にも苦しめられ、体調が整わずSGを欠場することもありました。それでも不屈の闘志で高い勝率を守り続け、2004年には悲願の賞金王タイトルを獲得。
今村選手は通算2880勝、優勝回数142回の成績をもって2020年10月、40年の現役生活に終止符を打ちました。
SGは通算7勝ですが、年間最高勝率のタイトルを8度も獲得した安定の強さが、29億という生涯獲得賞金の積み上げにつながったといえるでしょう。



3位:山崎智也(25憶9690万円)
デビュー5年目にダービー(全日本選手権)を制覇。SG2度目の出場で初優出初優勝の快挙を達成。その後もSGで際立つ実績(優出39回、優勝11回)を残しており、25億円を超える生涯獲得賞金となっています。
2012年12月には横西奏恵選手(当時)との結婚を発表。直後のグランプリはボーダーギリギリの12位選出ながらファイナルに進み、4コースからまくり差しを決めて優勝。大逆転の賞金王タイトル獲得で、結婚に花を添えました。
かつては「貴公子」とも呼ばれ、艇界を代表するイケメンの1人。近年は腰痛に悩まされて思うような結果が出せていませんが、まだまだSG戦線での活躍が見たい選手です。



4位:今垣光太郎(25億3381万円)
長年にわたって福井支部、三国競艇場の看板レーサーとして活躍を続ける今垣選手。3位の山崎選手と同様に、SG競走の高い実績で生涯獲得賞金を伸ばしています。
SG9勝のうち3勝は、いずれもナイターで行われたMB記念(メモリアル)。特に相性の良い蒲郡で行われた2002年の優勝戦は、2号艇から気合いのピット離れを敢行。1号艇の濱野谷憲吾選手から1コースを奪い取り、イン逃げを決めた場面が印象的でした。
SG優勝は2016年から遠ざかっていますが、2019年にはG1マスターズチャンピオン(名人戦)、そして新設されたG2全国ボートレース甲子園を制覇。50歳を超えても人気、実力ともに衰えることはありません。



5位:瓜生正義(24億8761万円)
植木通彦選手引退後の福岡支部を引っ張る瓜生選手。養成所リーグ勝率8.31で期待の新人としてデビューして以降、SG優勝10回の堂々たる強さはもちろん、21年連続SG優出(2021年現在継続中)という高いレベルでの安定感も魅力です。
賞金王決定戦には10年連続(2005~2014年)を含む14回出場。2016年にはファイナル1号艇からイン逃げを決め、デビューから22年目で悲願の賞金王タイトルを獲得しました。
同期である原田幸哉選手が「2021年メモリアル」で優勝したのはきっと刺激になったはず。この先さらなる活躍は間違いないでしょう。



競艇史に残る伝説!最強の競艇選手たち
競艇の歴史に刻まれているのは記録だけでなく、引退後もファンの間で語り継がれる伝説的なレーサーたちの姿もあります。そんな“記録にも記憶にも残る”最強の競艇選手たちの中から以下4名の選手を紹介します。
- 植木通彦(うえきみちひこ)
- 野中和夫(のなかかずお)
- 加藤峻二(かとうしゅんじ)
- 鈴木弓子(すずきゆみこ)
一時代を築いた名選手から、多くのファンに愛された個性派まで。彼らもまた「最強」の称号にふさわしい存在感を持ったレーサーといえるでしょう。
植木通彦 ~ 最強の不死鳥
デビュー3年目となる1989年の事故で顔面を裂傷する大ケガを負ったものの、わずか半年で復帰。それだけでも奇跡でしたが、翌1990年に初優勝、さらにSG初出場となった1993年の総理大臣杯(クラシック)でいきなり優勝する偉業を達成します。
今は亡き飯田加一さんが考案した「モンキーターン」をいち早くマスターし、1996年には艇界初となる年間獲得賞金2億円に到達。そして、2002年には年間歴代最高となる2憶8393万4000円の賞金を獲得しました。
この記録は未だに破られていない、すべての公営競技(競艇・競輪・オートレース)における歴代最高の年間獲得賞金です。
2007年7月、平成の不死鳥・植木さんはちょうど4500走をもって現役を引退。通算1562勝、生涯獲得賞金22億6184万2369円という輝かしい戦績でした。2021年現在はボートレースアンバサダーとして、テレビやYouTube番組に数多く出演しています。
野中和夫 ~ 最強のモンスター
SG通算17勝、笹川賞(オールスター)V6、期間最高勝率9.53。現役時には他の選手を圧倒する数々の記録を打ち立てた野中和夫さん。
「モンスター」の異名を持ち、昭和から平成初期の競艇界を象徴する存在として活躍した名選手です。
現役時代の強さと並行して、武闘派ゆえの破天荒なエピソードも多く報道されました。しかし、卓越した勝負勘と徹底して勝ちにこだわる高いプロ意識は、現役レーサーも見習うべき部分が多くあるかと思います。
野中さんは2009年、65歳で現役にピリオドを打ちました。選手生活の晩年には日本モーターボート選手会の会長を4年間務め、次世代へと引き継がれる競艇界の発展に寄与しています。
加藤峻二 ~ 最強の鉄人
登録番号1000番台で最後まで現役を続けた選手として、時代を超えた競艇界最強の鉄人といわれるのが加藤峻二さん。
地元の戸田で71歳2ヵ月の最年長優勝記録を更新したレースは、競艇ファンの間で大きな話題となりました。そのレース映像があったので載せておきますね。
デビューは17歳で、全盛期は1960~70年代あたり。それ以降も若手に混ざってA1級での活躍を続けます。2003年の笹川賞(オールスター)では61歳でSG優出の大健闘。この優勝戦で奮起してSG初優勝を遂げたのが、同じ埼玉支部の後輩・平石和男選手でした。
実働56年、14652レースを走って73歳まで現役を続けた加藤さん。その功績を称えて戸田競艇場では「加藤峻二杯」が開催されたこともあります。
鈴木弓子 ~ 永遠の最強女子
現在では選手数も多くなり、人気も競技レベルも上がっている競艇女子レーサー。
しかし、昭和の頃は選手寿命が短く、競艇選手になろうとする女性は皆無に近かったそうです。女子の登録選手数がひとケタしかいない不遇の時代が長らく続いていた中、男社会だった競艇界で奮闘した女性が時代を変えたのです。その名は…
鈴木弓子さん(旧姓田中)。1980年、9年ぶりに誕生した女子選手をメディアは大々的に報じ、同年に芸能界を引退した山口百恵にあやかって「競艇界の百恵ちゃん」と呼ばれることも。
人気だけかと思いきや、鈴木さんはトライアスロンを完走するほど高い身体能力の持ち主。男子レーサーに負けない走りを見せ、各地の競艇場で大活躍します。
また、鈴木選手の影響で競艇選手を志願する女性が急増し、女子リーグの復活、女子王座決定戦(レディースチャンピオン)、年末の賞金女王決定戦(クイーンズクライマックス)創設など、段階的に整備されていくことになります。
鈴木幸夫選手と結婚したことで名字が変わり、第1回女子王座決定戦を優勝した鈴木弓子さんは1989年に現役を引退。女性でも戦える環境を作り上げた功績は、この先もずっと語り継がれていくことでしょう。
まとめ
今回は「最強の競艇選手」をテーマに、歴代賞金王や年別の賞金ランキング、生涯獲得賞金上位の選手などをご紹介しました。
トップクラスのレーサーは毎年1億円、2億円といった額の賞金を稼ぐことができます。ただ、それを実現できるのは、1,600名ほどいる競艇選手のほんのひと握り。SGで常に好成績を残し、ファンから支持され続けるからこそ「最強」の称号にふさわしい存在となれるのです。
賞金ランキングの顔ぶれにも、新しい選手の登場やベテランの復活など、この先いろんな変化が出てくることでしょう。艇界最強の座をめぐる戦いからこの先も目が離せません!
※競艇選手の年収については以下が参考になります。
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