デビュー11年目となる2017年のグランプリで優勝し、埼玉支部初となる賞金王レーサーの座についた「桐生順平」選手。身長160cmの小柄な体から繰り出される鋭い旋回技術は、迅速ならぬ「神速ターン」と呼ばれています。
桐生選手は逃げてよし、差してよし、まくってよしの万能タイプ。SGでの予選落ちがほとんどない安定した強さも魅力です。そんな桐生選手について…
- 基本的なプロフィール
- 自転車競技からボートレーサーになった理由
- デビューから初優勝まで
- 神速ターンが炸裂した過去のレース
- ドラマティックな2017年のグランプリ
桐生順平というレーサーが歩んできたこれまでのキャリアを紹介します。
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艇界を代表する「桐生順平」とは?
まずは、競艇界のトップレーサー「桐生順平」のプロフィールから解説します。
桐生順平のプロフィール
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名前(かな) | 桐生順平(きりゅうじゅんぺい) |
登録番号 | 4444(100期) |
生年月日 | 1986年10月7日 |
身長・体重 | 160cm・53kg |
血液型 | AB型 |
出身地 | 福島県 |
所属支部 | 埼玉支部 |
福島県石川郡で生まれた桐生選手。
「学法石川」の略称で知られるスポーツの強豪校、学校法人石川高等学校を卒業。その後、高校時代は競輪選手だった兄・卓也さんの影響もあって自転車競技部に所属し、3年生の時にはインターハイ3位の成績を残しています。
競輪ではなく「競艇」を選んだ理由
桐生選手の自転車競技における実力は全国でもトップクラス。高3夏のインターハイに優勝できなかったことで「これ以上続けても厳しいだろう」と諦めがつき、高校の3年間で自転車をスパッと辞めることができたそうです。
競艇選手を目指すきっかけとなったのは父親と兄の勧め、そして160cmというボートレースに向いた小柄な体格もあったといいます。
高校時代は体重を増やすことのほうが苦しかったという桐生選手。減量苦もなく体を絞って養成所試験に臨み、3度目のチャレンジで合格通知を受け取りました。
東京五輪代表選手「新田祐大」との縁
高校時代、大きな影響を受けた1年先輩のアスリートがいます。同じ福島県出身で、東京五輪の自転車トラック種目代表として出場した「新田祐大」選手です。
白河高校在学中、インターハイ自転車競技1kmタイムトライアルで優勝した新田選手。桐生選手とは大会や合宿などでよく顔を合わせており、人一倍努力する姿や並外れた集中力など、新田選手から学ぶことは沢山あったといいます。
新田選手はプロ入り後も、競輪競技において華々しい実績の持ち主。
- G1優勝8回(2021年10月現在)
- トラック世界選手権ケイリンで2位
- 東京五輪でスプリント・ケイリンの2種目出場
桐生選手と新田選手は現在も、イベントや取材などで一緒になる機会があるそうです。しかし、この2人が同じ日に揃って”偶然すぎる快挙”を果たす出来事が起こるとは…。詳細は後ほど紹介します。
義兄は「佐藤慎太郎」競輪賞金王レーサー
2012年に結婚した桐生順平の妻、絵美さんのお兄さんもなんと競輪選手。
2019年の賞金王(競輪グランプリ優勝者)であり、桐生順平と同じ学法石川の大先輩「佐藤慎太郎」選手です。生涯獲得賞金はなんと13億円超え!義兄とはいえ、共に公営競技のトップレーサーって凄すぎw
実は妻の絵美さんもボートレーサー養成所試験に合格し、やまと学校で訓練を受けていた時期がありました。残念ながら途中退所となってしまい、プロデビューは果たせていません。
ただ、養成所時代の後輩として、厳しい世界に身を置いていた絵美さん。桐生順平の妻として、各地の競艇場で活躍する桐生順平を支えています。
桐生順平のデビューからG1初優勝まで
登録期100期、登録番号4444という覚えやすい数字でデビューした桐生順平。
養成所チャンプは惜しくも逃しましたが、リーグ戦勝率は7.37の好成績で1位。卒業後は埼玉支部に所属し、2007年5月に戸田競艇場でデビューしています。
華の100期生!才能あふれる同期レーサーたち
100期生には「桐生順平」以外にも、注目レーサーは沢山います。
- 秦英悟
- 青木玄太
- 松尾昂明
- 黄金井力良
- 中田元泰
- 宮地元輝
- 鎌倉涼
- 平高奈菜
- 川野芽唯
上記以外にもSG・G1で活躍する選手はおり、これほど豊作だった期は数えるほどしかありません。全選手を紹介するのは面倒なので、直近で好成績を残している選手だけピックアップしておきます。
秦英悟(はたえいご)
公式画像 | ![]() ![]() |
名前(かな) | 秦英悟(はたえいご) |
登録番号 | 4427(100期) |
生年月日 | 1985年9月16日 |
身長・体重 | 166cm・52kg |
血液型 | A型 |
出身地 | 大阪府 |
所属支部 | 大阪支部 |
SGはおろかG1、G2の優勝歴もなく、2020年のチャレンジカップの出場権利さえなかった「秦英悟」選手。
しかし、一般戦でコツコツと賞金を稼いだことで年末のグランプリシリーズに初選出。ここで勝率上位のモーターを引き当てて予選、準優を突破し、SG初出場初優出(6着)を達成しました。
この勢いで2021年に入ると、アウトからの果敢な攻めでSG戦線を賑わせ、11月のダービー(全日本選手権)では2着に入る大健闘。同期の桐生順平に追いつかんばかりの急成長ぶりが注目されています。
平高奈菜(ひらたかなな)
公式画像 | ![]() ![]() |
名前(かな) | 平高奈菜(ひらたかなな) |
登録番号 | 4450(100期) |
生年月日 | 1987年7月7日 |
身長・体重 | 160cm・48kg |
血液型 | B型 |
出身地 | 愛媛県 |
所属支部 | 香川支部 |
女子戦だけでなく、男女混合開催でも優勝経験がある「平高奈菜」選手。男子レーサーに交じってSGで活躍を続けており、2020年の大晦日には賞金女王に輝いています。
2010年度には最優秀新人のタイトルを獲得。2018年には事故率オーバーでB2陥落の試練も味わいましたが、見事に復活して2020年のクイーンズクライマックスに優勝。目指すは2年連続の賞金女王と、女子レーサー史上3人目のSGファイナル進出です。
鎌倉涼(かまくらりょう)
公式画像 | ![]() ![]() |
名前(かな) | 鎌倉涼(かまくらりょう) |
登録番号 | 4444(100期) |
生年月日 | 4456(100期) |
身長・体重 | 159cm・45kg |
血液型 | A型 |
出身地 | 大阪県 |
所属支部 | 大阪支部 |
100期の女子レーサーといえば「鎌倉涼」選手も忘れてはいけません。
平成生まれ2人目の競艇選手としてデビューし、2013年のオールスター(笹川賞)ではSG初出場の1走目で初1着を記録しています。
2016年に深谷知博選手(静岡)と結婚。2度の出産を経て2019年に復帰した後も女子戦で優勝を重ねており、悲願のG1タイトル獲得に向けて確実に調子を上げています。
40%超えの3連対率を記録したデビュー期
桐生順平のデビューは2007年5月の戸田一般開催。初勝利は6走目。各艇のスリットが大きくバラつく中、コンマ09のトップスタートを決め、大外から豪快にまくって見事に1着を奪いました。
その後も6コースから懸命な走りを続けた桐生順平は、デビュー期に5勝をマーク。
そして、勝てなくでも2,3着に入るレースが多かったことから、3連対率はなんと42.8%。同期の中でも飛び抜けた高いアベレージを記録。勝率も同期1位の4.44を記録し、デビュー期でのB2脱出に成功しています。
師匠「西村勝」にリベンジ!戸田でデビュー初優勝
※優勝戦は「6:40~」
桐生順平の初優勝は、デビュー5年目となる2011年8月の戸田お盆開催でした。
予選5走をオール連対で切り抜け、準優勝戦は1コース。しかし、スタートでわずかに凹んしまい2着…。全国一イン逃げが難しい「戸田競艇」の洗礼を受けてしまいます。
この時、2コースから桐生順平の内を差して1着を奪ったのは、桐生順平の師匠「西村勝」選手。優勝戦は悲願の初Vを目指す桐生順平の前に、師匠自身が壁となって立ちはだかる構図となりました。
迎えた優勝戦は、1コースに当時の埼玉支部No.1「平石和男」選手、2コースに師匠の西村選手という並び。4号艇の桐生順平は枠なり4カド進入となりましたが、スロー3艇が揃ってタイミングを合わせられず、桐生順平には絶好の展開がやってきます。
スリットからグングンと内に絞って3艇を飲み込み、1マークを先頭でターン。2マーク手前で西村選手が伸び返してきますが、桐生選手は慌てることなく、そのまま突き放して1着でゴール。
ここまで5回の2着を経験し、優勝戦の呪縛ともいわれてきた桐生順平。実に22回目の優出で待ちに待った初優勝をホーム水面で飾ることができました。
第1回ヤングダービーで初G1制覇!集団Fで見せた神速ターン
新鋭王座決定戦の時期が9月に変わり、名称も「ヤングダービー」に改められて開催された2014年の第1回大会。桐生順平は前哨戦となる7月のG3イースタンヤングを制し、良い流れでホームの戸田に乗り込みました。
初日から3艇フライングが出るなど、新鋭王座時代から変わらず荒れたレースが続く中、桐生順平は予選を「211362」とまずまずの結果で突破。2コース進入となった準優では、厳しい戦いながらも2着に残して優出を果たします。
優勝戦は「峰竜太」選手が1号艇で断トツ人気。
レース本番では5号艇の土屋智則選手が前付けで2コースへ。3コースに押し出された渡邊雄一郎選手が引いて3カドに構える形となり、桐生順平は5コースからダッシュスタート。
スリット上は全艇がギリギリを揃ったように見えましたが、なんと内側3艇が揃ってフライング。
誰も予想しなかった大波乱が巻き起こり、戸田競艇のホームスタンドはどよめきと怒号に包まれて騒然となります。ただ、この後の攻防こそがレースのハイライトとなりました。
1マークを抜けてバックストレッチで先頭に立つ桐生順平。6号艇の黒井選手も内側から艇を伸ばして桐生順平に舳先を掛け、2艇が絡み合ったまま2マークの旋回に向かいます。
このまま両者が大競りとなって揃って外へ飛んでいく…そんなシーンも新鋭王座ではよく見られましたが、ここで冷静さを見せたのは桐生順平でした。
先マイの全速ターンにいく黒井選手を先に行かせ、桐生順平はワンテンポ遅らせての小回り。結果的にこのターンが勝負の分かれ目となりました。
2マークを素早く、鋭く回った桐生順平は、艇を戻しきれなかった黒井選手にここでリードを取ります。その後も丁寧なターンを繰り返して1着でゴール。
集団フライングをくぐり抜けて、埼玉支部のワンツーフィニッシュとなった第1回ヤングダービー優勝戦。桐生順平がG1のファイナルではじめて見せた「神速ターン」でG1初優勝を飾りました。
桐生順平、2度のSGクラシック制覇
2014年はヤングダービーを制し、賞金ランキング14位でグランプリにも出場した桐生順平。
SGでも互角に戦える自信をつけ、翌2015年3月の尼崎クラシックで100期以降のレーサーでは一番乗りとなるSG優勝を達成。そして2年後の2017年には、児島競艇での開催となったクラシックで2度目のSG優勝を果たします。
イン逃げ3連発でつかんだ初SG制覇
SGの年間シードは取れなかったものの、前年のヤングダービー優勝で出場権を得た2015年のクラシック。予選3日間は「23342」とまずまずの成績。ラスト1走は「4着条件の勝負駆け」という状況で4日目の5レースに臨みます。
予選ラストにして初の1コースとなった桐生順平。
準地元となる松井繁選手、石野貴之選手など各世代のトップレーサーを相手に、桐生順平はコンマ01のスタートを決めて外5艇を完封。得点率3位で準優進出となりました。
続く準優勝戦でも、1コースからイン逃げを決めて1着となりましたが、ここで思わぬ運が向いてきます。
予選2位の篠崎元志選手(4着)、1位の仲口博崇選手(2着)がいずれもイン逃げに失敗。その結果、優勝戦の1号艇が桐生順平に回ってきたのです。
優勝戦では4号艇仲口博崇選手が内に動いたことで、3号艇の中澤和志選手が4カドに回る形。3コース進入の仲口選手がスタートで凹み、中澤選手に”ダッシュ一撃まくり”の大チャンスが巡ってきます。
中澤選手はスリット後に艇を伸ばし、1マークで桐生順平に強襲を仕掛けます。しかし、ここ(尼崎競艇)はインコースに有利なレイアウト。
桐生順平は冷静に中澤選手を捌いて抜け出し、1着でゴール。3レース続けてのイン逃げをきっちりと完遂し、デビュー7年10ヵ月、SG21回目の出場でうれしい初制覇となりました。
「桐生順平・新田祐大」福島のエースが同時に頂点奪取
桐生順平が尼崎ではじめてのSG優勝を達成したのは、2015年3月22日の16時40分過ぎ。その数分前に東京の京王閣競輪場で行われていたのが、競輪界の日本一を決める「第68回日本選手権競輪(G1)」の決勝戦でした。
決勝戦で優勝候補に挙げられていたのが、桐生順平の地元の先輩である新田祐大選手。
桐生順平によると実はボートレーサーにも競輪好きは多く、この日もレース前、集合時間のギリギリまで控室のテレビで決勝戦を見ていたそうです。結果はゴール前の大接戦を制して新田選手が優勝。
桐生順選手は「自分のレース前に、先輩が日本一を獲った瞬間を見ることができたのは本当に良かった」と話しています。自身の初SG制覇も、新田選手の優勝する姿が励みになったのかも。
2015年3月22日、競艇界と競輪界において福島出身のレーサーが揃って頂点に輝く歴史的な1日となったのです。
「鬼に金棒」の超抜モーターでSG2勝目
翌2016年はグランプリで優出(5着)したものの、SG2勝目には届かなかった桐生順平。自身にとって忘れられない年となる2017年最初のSGクラシックは、児島競艇場で開催されました。
この大会、桐生順平はさっそく前検日で大きな運を味方につけます。以下はモーター抽選の結果。
まだ使用開始2ヵ月とはいえ、2連対率84.2%という他を圧倒していた47号機。この超抜モーターを一体誰が引き当てるのか?大きな注目が集まる中、抽選でゲットした桐生順平!
SG戦線の常連となって調子も右肩上がりの桐生選手にとって、このモーターはまさしく鬼に金棒。予選では前評判通りの舟足を見せて「212162」。得点率7.50で3選手が並び、予選トップで準優に進出します。
準優勝戦では1コースからコンマ04のトップスタートで圧倒した桐生順平。
「もともと素晴らしいモーターの調子が、実践のコンディションに合ってきていい感じになってきた」とコメントしていましたが、優勝戦ではやや立ち遅れたスタートを挽回し、1マークでは入口から出口まで非の打ち所がない見事な全速ターン。
機力を生かしながら己の技術を発揮できる、桐生順平の強みがフルに出たレースぶり。あっさりと勝負をつけ、自身2度目のSG制覇を達成しました。
桐生順平の「神速ターン」5選
桐生順平が過去に「神速ターン」を繰り出したレースをいくつか紹介します。
どれも「神速」と呼ぶに相応しいターンばかりですが、1着争いのレース以外でも鋭い旋回が繰り出されているところに、桐生順平のあきらめない気持ちを感じることができるはず。
豪快な「全速2段まくり」~2017.2.21丸亀一般
丸亀ナイター「大阪スポーツカップ」の初日。桐生順平は12レースのドリーム戦を前に、7レースにも2コース進入で登場しました。
ここでスタートを決めたのは、メンバーで唯一前半レースを走って感覚をつかんでいた矢崎誠一選手(東京)。5コースからコンマ09で1コースまで飲み込み、1マーク手前で勝負あり・・と、誰もが思ったその時。
矢崎選手がゆっくりと1マークに舳先を向けた瞬間、外から猛然と全速旋回で襲ってきたのは桐生順平。気づくのが一瞬遅れた上に、ターンの勢いも違いすぎて矢崎選手は対応できず後退。
格の違いを見せつける豪快な2段まくりを決めたレースでした。
自在のハンドルで形勢逆転~2019.1.21蒲郡G1
蒲郡G1「オールジャパン竹島特別」3日目10レース。桐生順平は予選3日目前半まで「3313」。この先に向けてもうひと頑張りが必要な後半のレースを迎えます。
6号艇山田康二選手が4カドに動き、目いっぱいの助走で5コースからスタートした桐生順平。コンマ19のトップタイミングだったものの、隣の山田選手が壁になって1マークの外攻めを封じられてしまいます。
しかし、外がダメならとすぐさま内に艇を向けた桐生順平。鋭く切れ込むターンを見せて挽回し、バックストレッチでは2番手争いにまで顔を出してきます。
この時点で前を行く1コース山崎智也選手との差は3艇身。
2周1マークで山田選手を振り切って2着を守ったかと思いきや、2周2マークで再び鋭角のターンを繰り出して山崎選手に肉薄。そして、直線の伸びで一気に交わし去ってしまう大逆転劇を演じました。
荒波を乗りこなして奪った3着~2019.3.2浜名湖G1
浜名湖G1「浜名湖賞」の初日ドリーム戦は安定板着用の中、後方のポジションでも攻めをあきらめない桐生順平の執念が光るレースでした。
ピット離れが遅れて5コースからの進入となった桐生順平。1マークでまくり差しを狙うも2コース平本選手に弾かれて後退し、1周バックストレッチでは5番手の位置に。
安定板使用の難しい水面で、これ以上ポジションを上げるのは難しいかと思われましたが、1周2マーク以降はエッジを利かせた小回りのターンをひたすら続けて差を詰め、2周2マークで4番手に浮上。
続く3周1マークでも前を行く今垣光太郎選手の懐に入り、艇のバタつきを抑えた安定のターンを決めて抜き去りました。
予選では着獲りに苦労した桐生順平でしたが、結果的に初日の3着が効いて予選3位で準優1号艇をゲット。惜しくも優勝戦は2着に敗れましたが、舟券圏内まで追い上げた初日の走りには、高い評価が集まっています。
これぞ“神速”のまくり差し~2021.5.1戸田一般
地元のスター選手が集まったGW開催にて、桐生順平の神速ターンが炸裂したレースがあります。
戸田「ウインビーカップ」初日8レース、枠なりの5コースからダッシュスタート。スリットはコンマ16のタイミングで先手は取れませんでしたが、1マークの全速ターンで”神がかったまくり差し”が炸裂。
空いたスペースを逃すことなく突き抜ける旋回技術は、コース幅が狭い戸田でもまったく問題なし。桐生順平はこの1走目で勢いに乗り、見事このシリーズの優勝を飾りました。
SG史に残る大逆転~2013.11.20津SGチャレンジカップ
津で開催されたSG「チャレンジカップ」2日目の9レース。SG開催では過去に例を見ないほどの大どんでん返しをやってのけます。
2コース進入となった桐生順平はほぼ互角のスタートながら、1コース林選手と3コース赤岩選手に左右から挟まれてしまいます。行き場なく艇を引いて1マークは5番手で旋回。
先頭の林選手、2番手の4号艇瓜生選手から水を開けられた3番手集団の中で1周目を終えました。2周目のバックストレッチでは、先頭から10艇身近い大差がありました。
赤岩選手との3番手争いを何とか振り切って2マークを回りますが、2番手瓜生選手のターンが外に膨らんだところ差を詰め、3周1マークで交わして2番手に浮上。その勢いで最後のバックストレッチでも艇を伸ばし、今度は先頭の林選手に急追します。
この時、林選手と桐生順平の差は3~4艇身ほど。3周2マークを無難に回った林選手に対し、完璧な鋭角ターンを放った桐生順平が猛追し、気づいたら並走状態に。
最後は桐生順平がわずかに林選手より前に出て1着。超一流選手が集まるSGではまず考えられない大逆転劇。
「本当にたまたまで、出来過ぎです」とインタビューで桐生順平は謙遜しましたが、ターンだけでなく最後まで決して勝負をあきらめない桐生順平の長所もフルに発揮されたレースであることは間違いありません。
2017年グランプリ制覇!初の賞金王となった桐生順平
2017年はチャレンジカップまでSG優勝1回、優出3回の成績を残した桐生順平。賞金ランキング3位でグランプリ2ndステージからの出場権を手にしました。
賞金上位+クジ運で優位な状況に
グランプリトライアルを有利な条件で戦うための要素は「賞金ランキング」と「クジ運」です。
まず、賞金ランキングは6位以内ならトライアル2ndに直行できますが、その中でも1日目のレースは1位の選手から有利な内枠に振り分けられるルール。逆にトライアル1stを勝ち上がった選手は、トライアル2ndの1日目は4号艇より外の枠でしか出走することができません。
選考時点で賞金ランキング3位だった桐生順平。1日目は2号艇(2コース)で出走し、艇番どおりの2着でゴールします。
2日目と3日目については、それぞれのレースを走る6選手の中で枠番抽選が行われます。よってここで必要なのはクジ運。
前のレースで良い着順を取った選手から抽選機を回すことができますが、先に良い枠を引ける場合もあれば、もちろん残りもので運をつかむケースも少なくありません。
2日目の枠番抽選、1日目2着の桐生順平は2番目にガラガラを回して見事に1号艇をゲット。その様子がボートレース住之江のYouTubeチャンネルに記録されていました。
有利な1コース進入となった2日目の桐生順平は、コンマ07のタイミングで危なげなくイン逃げに成功。これでファイナル進出は当確。最終日1号艇を目指すため、最も重要となる3日目の枠番抽選に臨みます。
最初に抽選機を回した桐生順平・・なんとここでも白いボール。トライアル最終戦も1号艇からのスタートとなりました。
これでファイナル、そして賞金王に向けて盤石の態勢を整えた桐生順平。しかし、翌日のトライアル最終戦に、思わぬ大ピンチが待っていました。
最後尾のガケっぷちで見せた「究極の神速ターン」
トライアル3日目の12レースは、ピット離れから展開が大きく動きます。
全員1着条件の勝負がけとなる4~6号艇(森高、茅原、松井)各選手が揃ってスローの前付けを敢行。なんとか1コースを守った桐生順平ですが、深インとなってスタートを合わせられず、1マークで後続の艇に次々と飲み込まれてしまいます。
レースは5コースから完璧なスタートを決めた石野貴之選手が抜け出し、桐生順平は1周2マーク時点でなんと6番手の位置に。
このままではファイナル1号艇を逃してしまう状況となる中、桐生順平はここから猛然と反撃を開始。ホームストレッチで外から艇をグンと伸ばして態勢を整えた後、2周1マークであっと驚く「神速ターン」を繰り出します。
小回りを狙う森高選手、松井選手を外からまくり切り、3号艇寺田選手が流れて空いたスペースに全速で飛び込みます。
旋回後の伸びも格段の違いで2番手を奪取。土壇場で見せた究極の神速ターンで、ファイナル1号艇を確保し、初の賞金王に王手をかけました。
グランプリの女神が微笑み、初の賞金王獲得
絶好の1号艇を手にして迎えたグランプリファイナル。
ここでもピット離れから動いた3号艇の峰選手、6号艇の菊池選手がプレッシャーをかけますが、深めの進入でもしっかりタイミングを合わせてイン逃げの体勢に持っていきます。
1マークでは3コースから菊池選手がまくりを狙いましたが、2コース峰選手が壁となって攻めきれず、桐生順平が難なくインからの押し切りに成功します。このまま3周を走り切った桐生順平は1着でゴールしてグランプリ初優勝。
埼玉支部では初となる賞金王レーサーの座を、デビュー10年半でつかみ取りました。
まとめ:桐生順平は旋回力トップクラス
同じ埼玉支部の後輩「中田竜太」選手との対談で、桐生順平はこのようなコメントを残しています。
「モーター絶対の時代と言われているけれど、僕には違和感がある。レースをするのに一番大事なのは、メンタルだと思う。勝つのも負けるのも自分だし、その自分をどうするかの戦いだから」
十分な機力や技術を持っていても、それを生かすのはレーサーである自分自身だという桐生順平。賞金王を獲った2017年のグランプリ後にも、やはり「エンジンもボートもいい状態で、あとは自分だけ。自分を信じるだけでした」と話していました。
2018年以降はまだSG制覇を果たしていませんが、調子そのものはまったく落ちていません。強靭なメンタルが備わって繰り出される神速ターンを武器に、SG優勝戦の桐生順平をまた見たいですね!
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