実力もさることながら、アイドル並みの人気選手も多数登場し、話題沸騰中の女子レーサーたち。彼女たちの活躍が、新規ファンの獲得に大きく貢献しているのは言うまでもありません。
そんな中で”現役女子最強レーサー”と呼ばれている「遠藤エミ」選手。
数ある実績の中でも、2022年のSG制覇(ボートレースクラシック)は偉大すぎる記録と言えるでしょう。女子レーサーにおいて優勝戦1号艇は史上初、もちろんSG優勝も史上初!歴史的快挙とっても過言ではありません。
また、2021年には自身2度目の賞金女王(約6400万円)に輝き、おそらく2020年度も史上最高額となる賞金を稼ぐことでしょう。
男子にも引けを取らないトップクラスの実力を兼ね備え、安定した強さを発揮し続けています。
そんな遠藤選手について、基本的なプロフィールをはじめ、現役最強女子と呼ばれるようになった経緯を紹介させていただきます。これさえ見れば”遠藤エミの全て”を理解できるはず。
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女子レーサー「遠藤エミ」とは?
遠藤ユミとは、びわこ競艇場をホーム水面とする滋賀支部所属のボートレーサー。趣味は釣り、スノーボード、パン作り。特にパン作りに関しては地元のベーカリーで働いていた経験があり、パン職人への道を真剣に考えたこともあったらしい。
遠藤エミのプロフィール
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名前(かな) | 遠藤エミ(えんどうえみ) |
登録番号 | 4502(102期) |
生年月日 | 1988年2月19日 |
身長・体重 | 155cm・46kg |
血液型 | A型 |
出身地 | 滋賀県 |
所属支部 | 滋賀支部 |
ブラジルで生まれ3歳で日本へ
遠藤エミの出身地は滋賀県蒲生郡ですが、生まれた国はブラジルであることを公表しています。
JLCの動画コンテンツで本人が話しているとおり、遠藤エミの祖父母がブラジル移民だったことが理由です。両親はともに日本人で、ブラジルでは「オムツをつけて、バケツを持って走っていた記憶がある」のだとか。
3歳までブラジルで暮らし、その後は滋賀で過ごした遠藤選手。高校時代(滋賀県立八幡商業高校)はソフトボール部で汗を流していたそうです。



きっかけをくれた姉の「遠藤ゆみ」も元ボートレーサー
高校卒業後、地元のベーカリーでアルバイト生活を送っていた遠藤エミ。
そんな中、なぜボートレースの道を目指そうと思ったのか?実は、実姉である元競艇選手の「遠藤ゆみ(現・油浦ゆみ)」さんがきっかけとなったのです。
1つ年上の姉・ゆみさんに連れられたびわこ競艇場でレースを観戦し、心をひかれたことで受験を決意。2回目のチャレンジで見事合格し、養成所入所を果たしました。
一方のゆみさんも一度は競艇の夢をあきらめたものの、2018年の年齢制限緩和による再チャレンジが実って106期の養成所試験に合格。怪我の影響でデビューは107期となりましたが、姉妹そろってボートレーサーの夢をつかみ取りました。
2019年秋に引退するまで、度重なるケガもあって優勝・優出ともにゼロ。残念ながら思うような成績を残すことはできませんでした。
しかし、2017年8月のびわこオールレディース戦3日目では、第2レースに姉のゆみさんが1着、続く第3レースには妹のエミ選手が1着となり、姉妹が2レース続けて勝利したことが話題に。
遠藤ゆみさんの選手名表記は当初「遠藤ユミ」でした。ただ、妹の「遠藤エミ」と見間違いやすいとの理由から、2012年に名前の表記をひらがなの「ゆみ」に変更しました。
さらに2017年には、結婚により今度は名字が「油浦」に。現役中に選手名を2度変更する、きわめて珍しいケースとなったのです。
遠藤エミの公式SNSは存在しない
遠藤エミはSNSでの発信を行っておらず、ツイッターやインスタグラムなどは確認できません。ただし、YouTubeに登場する機会は多く、仲のいい女子選手や同じ滋賀支部の選手とのトークをいろんな動画で見ることができます。
ボートレースびわこの公式チャンネルをはじめ、JLCや各競艇場のチャンネルなど、人気レーサーらしくいろんな動画でその姿を見ることができます。特に大きなグレード開催の前後にどんなコメントを残しているかも要チェックです!
気になる遠藤エミの結婚相手は?
ネット検索では「遠藤エミ 結婚」のワードがやたらと目につきますが、どのサイトを開いても「遠藤エミはまだ独身」といった情報しか見当たりません。
現在では結婚後も競技を続ける女子レーサーが多く、選手同士でゴールインするケースも珍しくなくなりました。そういった状況の中でで、女子最強とも言われる遠藤エミのプライベートにはめちゃくちゃ気になりますが…
詳しく調べてみると、2018年5月、ボートレース宮島で開催されたトークショーに「小野生奈」選手と出演しており、ここで恋愛事情や結婚観について触れられていました。
遠藤エミは恋愛そのものにあまり興味がない様子で、MC(永島知洋さん)の質問に対して以下の回答をしています。
- 同業者(男子レーサー)とは結婚したくない
- ファンの人にも恋愛感情は持てない
- 私の仕事やボートレースのことを何も知らない人がいい
一応婚活はしているそうですが、頭の中は恋愛よりもボートレースだと思われます。とはいえ、遠藤エミみたいなタイプの人が前言を翻していきなり結婚という話もよくあるので、今後もファンの関心は続いていくことでしょう。



遠藤エミの同期(102期)レーサーたち
遠藤エミが養成所生活を送った1997年度は102期となり、女子6名を含む31名の同期レーサーがいます。現在もほとんどの選手が現役を続けていますが、その中には遠藤エミ以外にもSG、G1戦線で活躍しているレーサーがいます。
同期最多のSG優出回数「前田将太」
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名前(かな) | 前田将太(まえだしょうた) |
登録番号 | 4504(102期) |
生年月日 | 1988年3月23日 |
身長・体重 | 168cm・54kg |
血液型 | A型 |
出身地 | 福岡県 |
所属支部 | 福岡支部 |
102期の中で最も早くSG初出場を達成した、福岡支部の「前田翔太」選手。
初勝利はデビュー2節目、初優勝はデビュー1年半という早さで、同期から頭ひとつ抜け出すスタートダッシュを決めます。
2012年前期にA1級へ昇格すると、その年の桐生MB記念(メモリアル)でSG初出場。2015年の三国オーシャンカップで初優出(5着)と、同期の中で常に一歩前を行く結果を残してきました。2021年には地元福岡の記念で、悲願だったG1初Vを達成。
師匠は峰竜太「上野真之介」
公式画像 | ![]() ![]() |
名前(かな) | 上野真之介(うえのしんのすけ) |
登録番号 | 4503(102期) |
生年月日 | 1988年2月25日 |
身長・体重 | 167cm・52kg |
血液型 | A型 |
出身地 | 佐賀県 |
所属支部 | 佐賀支部 |
師匠である現役最強レーサー「峰竜太」選手の指導で近年メキメキと力をつけているのが、佐賀支部の上野真之介選手です。
2021年は年間で5回SG予選を突破し、年末のグランプリシリーズでは優出4着と大健闘。G2以上の優勝はありませんが、直近の勢いでは同期の中でも遠藤エミに並ぶ存在であり、2022年以降の飛躍が大いに期待できます。
2019年に大ブレイク!「桑原悠」
公式画像 | ![]() ![]() |
名前(かな) | 桑原悠(くわはらゆう) |
登録番号 | 4497(102期) |
生年月日 | 1987年5月27日 |
身長・体重 | 166cm・52kg |
血液型 | A型 |
出身地 | 長崎県 |
所属支部 | 長崎支部 |
2019年の九州地区選手権(芦屋)でG1初優勝を飾ると、SG初出場となった翌月の戸田クラシックでいきなり優出3着となった「桑原悠」選手です。
大ブレイク以降も勢いは止まらず、2020年は芦屋で九州地区選手権連覇を達成。2021年もV4を含む優出15回と大活躍。大きなレースでの強さに加えて安定感も増しており、SG戦線での活躍が期待できる存在といえるでしょう。
遠藤エミより先に女王の座を射止めた「滝川真由子」
公式画像 | ![]() ![]() |
名前(かな) | 滝川真由子(たきかわまゆこ) |
登録番号 | 4499(102期) |
生年月日 | 1987年9月30日 |
身長・体重 | 157cm・48kg |
血液型 | A型 |
出身地 | 愛知県 |
所属支部 | 長崎支部 |
2015年のG1丸亀レディースチャンピオン。遠藤エミは予選を突破できませんでしたが、ここで衝撃のVを飾ったのが同じ102期の「滝川真由子」選手でした。
5コースから鋭いまくり差しを決めた後、一時は中里優子選手に先行を許したものの、2周2マークで再度鋭い差しが入って逆転。遠藤エミより先にG1タイトルをもぎ取りました。
滝川選手は産休を経て2018年に復帰。そのタイミングに合わせて新調したヘルメットは、遠藤エミが手書きでデザインしたそうです。ライバルでありながら、お互いに切磋琢磨し合える同期の絆を感じるエピソードですね!
最強女子と呼ばれるまでの軌跡
遠藤エミは養成所を卒業後、2008年5月に地元びわこでデビューを果たします。
男女混合戦かつ新人の6コース進入で苦戦覚悟となる予選でしたが、6走で「66666転」と先輩レーサーの洗礼を受ける結果に。競艇人生のスタートは決して華々しいものではありませんでした。
まったく目立たなかった訓練生時代
新人選手の注目度をはかる基準となるのが、養成所リーグの成績です。
「養成所チャンプ」と呼ばれる卒業記念競走優勝者はもちろん、リーグ戦で高い勝率をマークした訓練生がデビュー後すぐに開花することは珍しくありません。
しかし、遠藤エミのリーグ戦成績は勝率3.92で優出ゼロ。単純比較はできませんが、「平山智加」選手(98期・勝率6.42、優出4回)や「大山千広」選手(116期・6.83、優出4回)とは大きく見劣る数字です。
ここから女子レーサーの頂点にのし上がっていくわけですから、遠藤エミの伸びしろの大きさは相当なものだったということでしょう。
デビュー初勝利は地元・びわこ一般戦(2008年)
遠藤エミの初水神祭は2008年9月24日。デビューから6節目となる地元びわこの最終日でした。
これまでの成績は2着が1回ある以外すべて4着以下で、この開催も初日から「666655」と苦しい状況。当然、舟券の軸にできる気配といえませんでしたが、大外6コースから先頭争いに割り込み道中で逆転。「抜き」の決まり手で初勝利を飾りました。
期待値の低い新人選手の1着により、2連単は9,100円、3連単は84,190円と大荒れに。このレースこそ、女子最強と言われる「遠藤エミ」の始まりだったのかもしれません。
大物5選手を倒す大金星!初優勝の地は鳴門(2012年)
遠藤エミの初優勝は、デビューから4年半ほど経った2012年11月の鳴門。
4日間の男女W開催で出場人数が少ないシリーズではありましたが、優勝戦に進んだ遠藤エミを待ち受けていたのは、一筋縄ではいかない女子レーサーばかりでした。
以下が優勝戦のメンバー。
1号艇の山川選手は、この年8月に女子王座2回目の優勝を果たしたばかり。2号艇の寺田選手もこの年までに女子王座優勝2回。5号艇の新田選手は2009年女子王座チャンピオン。6号艇の平山選手は2010年に女子初となる最優秀新人タイトルを獲得しています。
4号艇の「本部めぐみ」って誰?となるかもしれませんが、結婚前の選手名「西村めぐみ」でピンとくるでしょうか。女子王座を2回(第11、16回)制し、最強美人レーサーとしてCMにも出演した人気選手です。
この5選手に対して、B級かつ優勝経験ゼロの遠藤エミ。
迎えた優勝戦、スタートは各艇ほぼ互角のタイミングでしたが、3コースの遠藤選手はスリット後に艇を伸ばして1マークでまくりを敢行。これが見事に決まり、内側の選手を飲み込む展開に。
先頭でバックストレッチに出た遠藤エミはこのまま後続を突き放し、強力なメンバーをまとめて打ち負かす殊勲のデビュー初優勝を飾ったのです。
貫禄の6連勝!2度目のVは丸亀(2013年)
初優勝をきっかけに上り調子となった遠藤エミ。デビューV2のチャンスは2ヵ月後の2013年1月に早速やってきます。
丸亀の一般開催に出場した遠藤エミは、予選1走目で4コースから差しを決めて1着。さらに、3日目後半で2勝目を挙げると、4日目前半はイン逃げ、後半は2コースまくりで連勝を3に伸ばします。
そして5日目、男女混合となった前半の一般戦で大外からまくり差しを決めて4連勝。大事なイン戦となる後半の準優勝戦もコンマ09のスタートで難なく押し切り、5連勝で優勝戦に進みます。
優勝戦は1コースからの出走となり、この大事な局面でコンマ01の完璧なスタート!
鮮やかな6連勝でデビュー2度目のVを飾った遠藤エミ。この年は4月の蒲郡G3で女子リーグ初優勝も達成。8月のG1女子王座決定戦初出場へと繋がっていったのです。
遠藤エミが「最強女子」と呼ばれる成績
2013年後期にA1級となり、7回の優勝をマークした2015年から遠藤エミの全盛期が幕を開けます。
女子の2大タイトルと呼ばれているG1レディースチャンピオン(8月)とG1クイーンズクライマックス(12月)、遠藤エミは両方の戴冠に見事成功しました。
完全優勝で賞金女王戴冠(2017クイーンズクライマックス)
8月のレディースチャンピオン優勝戦では、大外から何もできず6着に敗れた遠藤エミ。その悔しさをバネに挑んだのが年末の賞金女王を決める戦いでした。
夏の雪辱を期する思いと、直前のG2レディースチャレンジカップを優勝した勢いそのままに、トライアル初戦と2戦目はイン逃げで他の選手を圧倒。3戦目も2コースから冷静な差しを決め、文句なしの連勝でファイナル1号艇を手にします。
ファイナルは強い横風で各選手がスタートに苦しみましたが、遠藤エミはしっかりタイミングを合わせてスリットを通過。2コース小野選手が凹んだことで、ゆとりを持って1マークを回ります。
しかし、そこに内から差し込んできたのが、絶好展開となった3コース長嶋選手。
バックストレッチでは遠藤エミに舳先を入れてプレッシャーをかけますが、気迫の伸び返しで長島選手を振り切り勝負あり。夢の初タイトルを完全Vで獲得しました。
涙の女子王座初V(2021レディースチャンピオン)
正真正銘の女子No.1となるため、遠藤エミがどうしても勝ちたかった「G1レディースチャンピオン」のタイトル。2021年で35回目を迎えた伝統のレースです。
抽選で好モーターを引いて追い風をつかんだ遠藤エミは、どのコースからでも自在の攻めを披露し、予選は「11211」のオール2連対で1位通過。
準優勝戦はイン逃げに対して5コース西橋選手のまくり差しが決まったように思えましたが、機力で上回る遠藤エミが2マークで反撃のツケマイを敢行。これが決まって1着を奪い返し、再びイン戦となる優勝戦に進みます。
強風で1日順延となった優勝戦もスタートが難しいコンディションの中、コンマ10のトップスタートで先手を取ります。ただ、レース後に「下手くそすぎて情けなかった」とも話した甘いターンの隙を狙ってきたのが、2コースの桜本あゆみ選手でした。
ターン出口では遠藤エミより前に出ている上に艇もバック方向を向いており、このまま桜本選手が突き抜けてもおかしくない展開でしたが…
超抜モーターの威力をここでも発揮し、桜本選手をはるかに上回る伸び足で先頭を奪い返します。
2マークでは先マイから今度はターンマークを外さない旋回を見せ、ここで決着。最後は頭を下げてゴールラインを通過した遠藤エミが、はじめて夏の女王に輝きました。
インタビューで「成績が悪い時でも応援してくれる、私以上に私を信じてくれるたくさんのファンの方がいて、ホントに感謝の気持ちでいっぱいです」と話した後、涙をこらえきれない遠藤選手を見て、私まで感極まってしまいましたw
大舞台で人気に応えて勝つことの難しさ。そのプレッシャーに打ち勝った遠藤選手はやはり最強女子だと思います。



目を見張る近年の安定した成績
競艇では圧倒的な強さを見せるだけでなく、大きく崩れない安定感もトップレーサーの条件といえます。
以下は2015年以降の遠藤エミの成績。毎年女子の賞金ランキング6位以内を維持しており、G1を獲れなかった年でも女子戦を中心にしっかり賞金を稼いでいるのがよく分かります。
年度 | 獲得賞金 | 順位 (女子のみ) |
レーディースチャンピオン | クイーンズクライマックス |
2015 | 3246万 | 4位 | 予選敗退 | 順位決定戦2着 |
2016 | 4067万 | 2位 | 優出4着 | 優出6着 |
2017 | 5390万 | 1位 | 優出6着 | 優勝 |
2018 | 3770万 | 4位 | 不出場 | 優出2着 |
2019 | 5393万 | 2位 | 優出6着 | 優出2着 |
2020 | 3479万 | 6位 | 準優3着 | 優出3着 |
2021 | 6439万 | 1位 | 優勝 | 優出2着 |
F休みでレディースチャンピオンに出られなかった2018年でも、約3770万円を稼いで女子4位にランクイン。そして、2021年の獲得賞金(約6439万円)は、男子を合わせた全体でも25位の数字となります。
ちなみに、26位以下には篠崎元志、山口剛、湯川浩司、茅原悠紀、今垣光太郎・・と、名を連ねるのはビッグネームばかり。この年の遠藤エミがいかに強かったか、これだけでもよく分かるのではないでしょうか。
遠藤エミはボラにも好かれる人気者
G1での遠藤エミといえば、まだ記憶に新しいこんな光景がありました。2019年8月の蒲郡レディースチャンピオン、初日ドリーム戦のピットアウト直前に起きた「ボラ乱入事件」です。
各選手が乗艇を終え、モーター始動の合図を待っている…その時でした。
ピット裏の水面からいきなり飛び出したのは、1匹のボラ。3号艇の遠藤エミに向かって勢いよく跳ねてきたのです。
ボラにいち早く気づいたのは2号艇の寺田選手でしたが、モーターの確認に集中していた遠藤エミは、間近に落ちてきたボラの「ボトッ」という音を聞いて瞬時に立ち上がり、後ずさりしながら声を上げます。
周りの選手たちもびっくりした様子でしたが、幸いボラは遠藤エミのボートをすり抜けて水面に戻っていきましたw



競艇場にいるボラはサイズが大きく、ものすごい異臭がすることでも知られています。もしボラが遠藤エミのボートに入ってしまっていたら、レースどころではなかったかもしれませんね。
ちなみに、このドリーム戦を制したのは1号艇の小野生奈選手。遠藤エミはボラのご利益とはいかず、惜しくも2着でした。
遠藤エミが得意とする競艇場
2021年の遠藤エミは全24場中16場のレースにあっせんを受けました。地元びわこでも4度走っていますが、トップクラスの選手らしくオールレディースなどの女子戦やG1、SGで各地を走る機会も数多くあります。
そこで、既にデビューから3000レース以上走っている遠藤エミが実績を上げている水面はどこなのか?知っておけば遠藤選手が出走するレースをより予想しやすくなるはず。
若手時代から活躍が目立つのは「瀬戸内の水面」
先ほど紹介した通り、遠藤エミの初優勝地は「鳴門」、そして2回目の優勝地は「丸亀」でした。そして、初優出を記録した2009年12月の開催地も「丸亀」です。
遠藤エミはデビュー8年目となる2018年時点で10回の優勝を記録しましたが、そのうちの半分が中国、四国地区の競艇場(丸亀2回、鳴門、宮島、児島各1回)で占められています。
その後、徳山と下関でも2017年に優勝して中四国6場のコンプリートに成功した遠藤エミ。瀬戸内の海水面にある競艇場とは全般に相性が良いと考えていいでしょう。
江戸川との相性はバツグン!デビューから3節連続V
2021年末現在、遠藤エミが最も多く優勝を達成しているのは地元「びわこ」と「大村」の4回。そして、その後に続く優勝3回の競艇場の1つに、全国一の難水面「江戸川」があります。
調べてみると、遠藤エミの江戸川初登場は2015年9月の一般開催でしたが、予選からオール3連対でいきなり優勝。次のあっせんとなった2018年5月の男女混合開催でも優勝。さらに、9月のオールレディースもオール2連対で優勝と、デビューから3度のあっせんすべてで優勝する「隠れた快挙」を達成しているのです。
びわこも江戸川も、風と波の影響を受けやすい難水面。厳しいコンディションの中でも、地元でしっかり鍛えられたターン技術が遠藤エミの強い武器となっているのは間違いありません。



遠藤エミが苦手な水面は?
2022年2月現在、遠藤エミがまだ優勝を達成していない競艇場は「平和島」「常滑」「津」「若松」「芦屋」の5場です。
いずれの競艇場も優出の経験はあるため、極端に苦手な水面はないと考えて良さそう。でも、唯一「津」に関しては2016年のレディースチャンピオン(優出4着)以外に目立った実績がなく、2018年秋の女子戦を最後に出走からも遠ざかっています。
SGをはじめとする大きな開催がしばらく津で行われていない影響もありますが、結果が出ないままブランクができてしまっているのは気になるところ。
次回遠藤エミが津で走る時には、実戦の勘が取り戻せるかどうかも注目すべき点となるでしょう。
競艇女子史上初となるSG制覇(ボートレースクラシック)
遠藤エミといえばやはり「女子史上初のSG制覇」。
2022年3月、大村競艇で開催されたSGボートレースクラシックの出来事は、死ぬまで忘れることのないレースとなりました。
初日から優勝を期待させる走り
初日1レース目のイン逃げを皮切りに、2日目、3日目と1着を量産。4日目も不利な6コースから2着、続く2走目も危なげない走りで2着を堅守。
この日が終了した時点での得点率は全体1位となり、準優1号艇が確定。
約1,600名いる競艇選手のトップしか集まらない戦いにおいて、その中で得点率1位になること自体がヤバいことです。ただ、初日からの走りを見ていると、男子選手に動じることなく、何かやってくれそうな雰囲気は感じていました。
女子史上3人目の準優1号艇
予選をトップ通過し、この準優で1着になれば優勝戦1号艇となるレース。
ちなみに、SGの準優で女子レーサーが1号艇だったのは「寺田千恵・横西奏恵」の2人のみ。女性でも活躍できる競技とはいえ、50年以上続く歴史の中でたったの2人しかいないのです。
この状況、常人ならプレッシャーで本来の力を発揮できないものですが、やはり現役女子最強と呼ばれるだけある。一切隙を見せなかった予選同様、コンマ07のトップスタート。他艇を寄せ付けない走りで先頭を独走し、優勝戦への切符を手にします。
しかも、予選トップ通過で準優1着とし、寺田千恵以来となる優勝戦1号艇をゲット。
競艇の歴史が動いた!女子レーサー初のSG優勝
1号艇で迎えたSGボートレースクラシック。
当然、舟券は遠藤エミから売れていましたが、既に7度のSG制覇を成し遂げている「毒島誠」選手は最も怖い存在。また、絶好調の秦選手や上條選手、スタート巧者の中島選手、G1優勝経験のある前田選手と豪華な顔ぶれ。
「普通にしようと思っても緊張してしまい、これまで感じたことのない感情だった」と後のインタビューで語っているように、半端ないプレッシャーだったはず。
レースについては特に説明しません。観戦しなかった方は動画でご覧ください。
枠なり進入となった優勝戦。さすが競艇界の頂点といわれるSG戦だけあって、全員がコンマ0台のスタート。
ほぼ差のないスリットの中、1マークで毒島選手がまくり差しを慣行するも、上條選手に阻まれ後退。その隙をついて上條選手、中島選手が迫ってくるものの、遠藤選手の艇には届かず。
1周2マーク以降は差を広げていき、10艇伸ほど引き離して1着でゴール。
この瞬間、競艇の歴史が大きく動きました。「女子にSGを勝つのは無理」と言われ続けてきましたが、全てのファンが納得する勝ち方で優勝を果たしたのです。
涙腺崩壊の勝利者インタビュー
上記映像は、女子史上初のSG優勝を果たした後のインタビュー。インタビュワーが質問すればするほど涙腺が崩壊していき、見ているこっちまで堪えきれない感動的な回答でした。
改めまして、SGクラシックの優勝、本当におめでとうございます!そして、SG優勝戦で大勝ちさせてくれてありがとう!それにしても、遠藤エミが勝つことを疑わなかった私を褒めてあげたい(笑)
遠藤エミ選手を軸に、秦選手、上條選手から流して、約40万円の爆勝ち。1周2マークあたりまで1-5もあったのでドキドキしてましたが…



男子レーサーの壁を超える戦いへ
これまで賞金女王に2度輝いた遠藤エミですが、本人が見据える目標はさらに高い所にあります。男女混合のタイトル獲得にには強豪男子レーサーとの戦いに勝つことですが、遠藤エミはまだ厳しく険しい道の途中にいます。
男女混合初Vは2015年4月のびわこ
デビュー5回目となる地元びわこでの優勝が、男女混合開催「トランスワード杯」の初Vでした。
初日1レースでイン逃げを決めて勢いがつき、予選を5位で突破。準優は3コース進入からスタートで大きく遅れますが、1マークで空いた最内を差し込んで一気に先頭へ。そのまま突き抜けて逆転の1着を奪取し、優勝戦の切符をつかみます。
優勝戦メンバーでは唯一のA1級レーサーとなった遠藤エミ。スタートでは1コースから逃げを狙う藤山翔太選手がコンマ03のタイミングを決めたのに対し、2コースの遠藤エミはそれを上回るコンマ02という激しい展開に。
レースはこの2艇による1マーク勝負となりましたが、ここは格上の遠藤エミが冷静に藤山選手の懐を攻めて先頭に立ち、そのまま1着でゴール。
雨のびわこで男子レーサーたちを力でねじ伏せたこの優勝が、この後に大きなチャンスをもたらしてくれることになります。
地元推薦でSG初出場!(2015蒲郡メモリアル)
遠藤エミがはじめてSGに出場したのは「2015年の蒲郡メモリアル」です。
メモリアルは各競艇場の推薦によって出場メンバーが選出される方式。そうした中、遠藤エミは女子レーサーで唯一、地元びわこ競艇場から推薦を受けての出場となりました。
まだG2以上の優勝がなかった遠藤エミがなぜ選ばれたのか?ここでポイントになったと思われるのが、前述の4月に出場した「トランスワード杯」優勝。また、出場選手の発表は6月1日であり、勝ったタイミングも良かったのかも。
迎えた初のSGメモリアルでは、下位のモーターを引きながらも予選初日から大奮闘。
さっそく2日目にSG初勝利を達成し、4着条件で準優に進めるラストの1走に挑みましたが・・ここでまさかのエンスト失格(選責外)。
思わぬ不運によってチャンスを逃がしたものの、SGで戦える手ごたえをつかむことができたこの経験は、自身のキャリアにおいても大きな収穫となったはずです。
アミダくじに泣いた優勝戦(2021 BBCトーナメント)
デビュー14年目となる2021年の12月、遠藤エミは男女混合の記念開催ではじめて優出を果たします。2019年からはじまった勝ち抜き形式のプレミアムG1「ボートレース・バトルチャンピオントーナメント(BBCトーナメント)」です。
得意な鳴門水面で伸び足最上位のモーターを引き当て、前検で1番時計をマーク。3着以内に入らないと上のラウンドに進めないルールの中、1回戦と準々決勝を手堅く2着で勝ち上がります。
ヤマ場は4コース進入の準決勝。遠藤エミは3カドからスタートを決めた白井英治選手のまくり差しに乗って、内から攻め込みます。
道中は5コース茅原悠紀選手と決勝進出を目指す激しい3着争いを展開しましたが、最後の直線でわずかに先着して大きな3着をゲット。女子選手で唯一となる決勝戦に進みました。
BBCトーナメント決勝戦の枠順は、恒例となっている「アミダマシーン」で決まります。
単なるアミダ抽選ではなく、枠順の数字を隠してランダムに置いたり、アミダの横棒を消したりといった演出があり、選手たちの反応も合わせて毎回楽しく見ることができる大好評のシステムです。
準決勝の着順が関係しない無差別抽選となるため、1号艇に座れる可能性は皆6分の1。はたして遠藤選手はどの艇をゲットしたのか?
なんと遠藤エミに回ってきたのは、大外の6号艇。すぐさま遠藤エミが指を差して文句をつけたのは、目の前にいた峰竜太選手。その理由はというと…
6号艇(が隠れている)プレートを置いた張本人が峰選手だったからw
遠藤エミにとっては痛恨の6コース。決勝戦はモーターの伸び足を武器に最内差しを狙いましたが、相手はSG優勝戦でもおかしくないメンバーたち。あまりに不利な枠番であり、4着に食い込むのが精いっぱいでした。
優勝は同じ滋賀支部の後輩レーサー「丸野一樹」選手。
この開催で圧倒的な展示タイムを連発していた遠藤エミにとって「クジ運さえあれば…」という思いがあったかもしれませんね。
遠藤エミに期待される「3つの快挙」
インタビューではSGタイトルを意識したコメントもよく聞かれる遠藤エミ。実力もポテンシャルも十分に備わった中で、女子の頂点にとどまらない活躍を期待するファンは多いはずです。
遠藤エミがこの先見据えているであろう「3つの大きな目標」について触れていきます。
女子史上3人目の「男女混合G1優勝」
2021年のBBCトーナメントで悔しい思いをしただけに、男女混合G1での優勝は最も近い場所にある目標だと意識していることでしょう。
長い競艇の歴史において、女子レーサーが男女混合のG1を優勝したのはわずか2例のみ。
- 山川美由紀~1999年2月 四国地区選手権(鳴門)
- 平山智加~2013年1月 近松賞(尼崎)
上位選手が集まるG1を女子レーサーが勝つには、運を味方につけるのも大事なこと。しかし、山川選手は不利な大外6コースから内差しを決め、平山選手は勝率28%の低調モーターを立て直して優勝をつかんでいます。
それぞれ逆境を跳ねのける実力を持っていたからこその快挙だっただけに、トップクラスの確かな腕を持っている遠藤エミもチャンスは十分にあります。
「元祖女王」寺田千恵を超える獲得賞金
遠藤エミが名実ともに最強女子の地位を得るために、どうしても超えておきたい壁があります。それは「女子年間獲得賞金の歴代1位記録更新」です。
2021年終了時点で年間獲得賞金1位の女子レーサーは、2001年の寺田千恵選手。SGグランドチャンピオン優出5着(800万円)という大きな上積みがあって、約6720万円の賞金を稼ぎました。
2021年クイーンズクライマックス優勝戦前の時点で、遠藤エミの獲得賞金は約5700万円。もし優勝戦1着(1500万円)であれば、寺田選手を超えて女子初の年間7000万円レーサーが誕生していたところでした。
結果は惜しくも2着(650万円)で記録更新はならず。2022年以降も調子を上げてG1やSGにも手が届く活躍を見せることができれば、寺田選手超えは時間の問題かもしれません。
【達成】前人未到の「SG制覇」そしてグランプリへ
2021年末時点で遠藤エミが出場したSGは合計27節。そのうち準優進出が4回あるものの、優出にはまだ1度も届いていません。
2022年についてはF休みなどの罰則がなければクラシックの出場は確定、オーシャンカップもほぼ確定の状況です。また、今後の活躍次第で走れるSGはさらに増えると思われます。
ちなみに、女子レーサーがSGで優出を果たしたのは以下の3例。
- 寺田千恵~2001年6月 グランドチャンピオン決定戦(唐津)
- 横西奏恵~2006年3月 総理大臣杯(平和島)
- 横西奏恵~2011年5月 笹川賞(尼崎)
いずれも好枠ながら、チャンスを生かすことができない結果に終わっています。4例目の優出に遠藤エミが名乗りを上げられるか?女子初となるSG制覇達成まであるのか?ぜひとも成し遂げてもらいたい!
真の最強を目指して遠藤エミの挑戦は続く
2017年の住之江グランプリでシリーズ戦に出場した遠藤エミは、最後の優勝戦までしっかりとレースを見届けてレース場を後にしました。
インタビューでその理由を聞かれた際「(グランプリが)本当に最高峰のレースだと思うので、肌で生のレースを感じたかった。やっぱり本当にすごいレース。ボートレースって本当に面白いなと、改めてモチベーションが上がりました」と話しています。
2021年のレディースチャンピオン優勝インタビューでも、勝った喜びに加えて「来年のSGクラシックにつながった」と安堵の言葉を発しており、SGへの強い思いを感じ取ることができます。
彼女にとってのゴールは約240名いる女子レーサーのNo.1ではなく、男女合わせて約1600名いるボートレーサーのNo.1。遠藤エミがSG初優勝の歴史的快挙を起こす瞬間は、すぐそこまで近づいているのかもしれません。
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