2022年度の賞金王は過去に類を見ないほどドラマがあり、12月30日に逆転した白井英治の賞金王が確定しました。
1997年5月にデビューして以来、幾度となくそのチャンスはあったものの、賞金王には手が届かず。
無冠の帝王と呼ばれた辛い時期を乗り越え、ようやく10度目の賞金王決定戦で悲願の初優勝。さらには初めての賞金王を手にしたのです。
白井選手をあまり知らない方はぜひ読んでください。男性ファンがこれほ多い理由が分かると思います。
GP後の徳山最終日(12月31日)に逆転
グランプリ終了時点の賞金差は僅か106万円。
- 馬場貴也:187,346,000円
- 白井英治:186,285,457円
命運を分けたのはGP後の出場予定。
徳山の斡旋が入っていた白井英治に対し、馬場貴也はGPで終了。その為、賞金王の行方は白井が獲得する賞金次第という、稀に見る状況となりました。
ここまでのレアケースはおそらく史上初。プレッシャーは想像を絶するものだったでしょうが、白井の底力はやはり半端なく強かった!
白井が賞金王になるための条件は以下の通り。
年末年始の特別開催だったこともあり、賞金額は通常の一般戦より150%以上高い設定。
着順 | 予選 | 準優勝戦 |
---|---|---|
1着 | 15万円 | 27万円 |
2着 | 10.5万円 | 18万円 |
3着 | 7.5万円 | 11万円 |
4着 | 5.3万円 | 7.8万円 |
5着 | 3.6万円 | 5.7万円 |
6着 | 1.8万円 | 4.5万円 |
初日はドリーム戦の1本のみ。インコースからコンマ19のスタートを決めて難なく1着を獲得。15万円上乗せで残り91万円。
2日目は6R・11Rの2回走り。1レース目は4カドから差しを決めて1着。2レース目は2コースから2着。25.5万円上乗せで残り約60万円。
3日目は6R・10Rの2回走り。1レース目は2コース(6号艇)から差して1着。2レース目は2号艇が攻めた展開をついて、3コースから差して1着。30万円上乗せで残り約27万円。
4日目は6R・10Rの2回走り。1走目は5コース(4号艇)から差しで1着。2走目は1コースからイン逃げを決めて1着。
30万円の上乗せで獲得賞金は106万円以上を超えを達成。
増額も追い風となって、4日目(12月30日)にして獲得賞金は106万円超え。その結果、馬場貴也を僅かに上回って賞金王が確定しました。
GP優勝者が賞金王になれなかったケースはありますが、これほど白熱した賞金王争いは競艇人生において初めてです。
賞金王までの長い道のり
白井英治が賞金王争いをするきっかけとなった、2022年の大村SGグランプリ制覇。優勝賞金1億円を獲得し、7位から一気に上位へ駆け上がります。
ただ、1位を独走していた馬場貴也には106万円届かず、最後の最後まで分からない状態。そうなった主な要因は…
- 獲得賞金の差&7位から下剋上
- 馬場貴也が優勝戦2着
グランプリ前の獲得賞金&7位からの下剋上
GP前の段階で「白井英治・馬場貴也」の獲得賞金は以下の通り。
- 馬場貴也:137,622,000円(1位)
- 白井英治:83,800,457円(7位)
2人の差は53,821,543円。
もちろん、優勝賞金1億円を加算すれば逆転できる差ではありますが、そもそもグランプリとは「賞金ランキング上位者に有利」なルール。
7位で選出された白井が優勝するには、トライアル1stで得点率6位以内に入り、トライアル2ndに進出することが1つの関門。
そして、トライアル2ndの初戦は、賞金ランキング1~6位の選手が内側の枠番。トライアル1st組は4~6号艇となるので、明らかに不利な戦いを強いられます。
過去の優勝者を確認すれば、いかに有利・不利が明確なのかお分かりいただけるはず。
- 2021年:瓜生正義(12位)
- 2020年:峰竜太(1位)
- 2019年:石野貴之(3位)
- 2018年:峰竜太(2位)
- 2017年:桐生順平(3位)
- 2016年:瓜生正義(3位)
- 2015年:山崎智也(1位)
- 2014年:茅原悠紀(12位)
- 2013年:池田浩二(1位)
- 2012年:山崎智也(1位)
10年間でトライアル1stから優勝したのはたったの2人。それ以外は賞金ランキング1~3位の選手しかいません。
賞金ランキング7位から優勝したのは、とんでもない快挙といっても過言ではないでしょう。
馬場貴也が優勝戦2着で4700万円獲得
着順 | 優勝戦 | トライアル 2nd | トライアル 1st |
---|---|---|---|
1着 | 1億円 | 570万円 | 480万円 |
2着 | 4700万円 | 450万円 | 370万円 |
3着 | 3300万円 | 360万円 | 300万円 |
4着 | 2400万円 | 310万円 | 220万円 |
5着 | 2200万円 | 280万円 | 190万円 |
6着 | 2000万円 | 260万円 | 160万円 |
あくまで結果論ですが、馬場貴也が優勝戦未出場、または優勝戦で3着以下なら今回のような争いは行っていません。
GP前、馬場貴也は既に「1億3,700万円」超えの賞金がある状態。また、グランプリ優勝戦で2着でも4,700万円を獲得できるので、トライアル分を含めると白井とほぼ肩を並べる獲得賞金に。
まさに”神様のいたずら”と呼ぶにふさわしい展開と言えるでしょう。
この戦いを制した白井英二は2022年最強のボートレーサーです。とはいえ、年末ギリギリまで賞金王だった馬場貴也にも賞賛を送りたいと思います。
2人とも本当にお疲れさま!