2024年11月半ば現在、賞金ランキングを独走するのは馬場貴也。2位以下は毒島誠・桐生順平・茅原悠紀・峰竜太が続き、いずれの選手も1億円を突破しています。
この先、賞金王争いに大きく影響するチャレンジカップ、そしてグランプリ決定戦。はたして誰が頂点に輝くのか?
約1600人の現役ボートレーサーがいる中、1年に1人しか手にできない賞金王。そして、長年実績を積み上げた者だけが名を連ねる生涯獲得賞金ランキング。
いずれも艇界に多大なる貢献をした選手であり、最強と呼ぶにふさわしい存在でしょう。
そこで今回は、賞金に関する以下の内容を解説。
- 最高峰タイトル「賞金王」とは?
- 歴代の賞金王&獲得賞金額
- 生涯獲得賞金ランキング
- 記憶に残る過去の賞金王争い
- 競艇史に名を刻んだ最強選手
最新の獲得賞金ランキングについて以下を記事をご覧ください。
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競艇界の「賞金王」とは?
賞金王の正式名称は「最多賞金獲得選手」。
年間賞金ランキング1位の選手に与えられる賞金王のタイトル。1年(1月1日~12月31日)を通して獲得した賞金額を競い合い、頂点に輝いた選手のみに与えられる称号です。
賞金王に輝く絶対条件は”A1級レーサー”であることと、強者しか出場できない”SG・G1”で優勝すること。
重賞レースで優勝すればランキングは大きく上がり、その先にあるグランプリ出場、賞金王争いの最短ルートを歩むことができます。
歴代の賞金王&獲得賞金については以下のボタンよりお進みください。
賞金王を決定づけるグランプリ(賞金王決定戦)
SGの最高峰レース「グランプリ(賞金王決定戦)」。1986年に創設された最も大きな大会です。
第1回大会の優勝賞金は3000万円。その後、第12回大会(1997年)から1億円、そして2023年に1億1,000万円となりました。
また、2014年より出場選手枠が12名から18名に。また、トライアルも2ステージ制へと変更され、最終日のグランプリ決定戦に進めるのはわずか6選手。
優勝賞金1億円1,000万円を賭けた戦いによって、その年の競艇界最強レーサーが決まります。
賞金ランキングのルールと対象期間
賞金ランキングはレースで得る賞金の他、副賞や手当なども含まれます。賞金王争いの対象期間は…
悪天候などで中止や打ち切りとなった場合でも、選手の収入となったお金は原則すべて獲得賞金に加算されます。
例えば、それまでに走ったレースの賞金、打ち切りによって選手間で山分けとなった賞金、開催中の各手当や日当など全てです。
年末年始によくある「年またぎの開催」についても、賞金の加算は厳密に分けられています。
年内獲得賞金の対象となるのは、12/31に走ったレースまで。年が変わった瞬間に全選手の獲得賞金はリセットされ、1月1日のレースから新しい年の賞金としてカウントされます。
賞金ランキングを押し上げる高額レース
グランプリの優勝賞金1億1,000万円から数万円の一般戦まで、1回のレースで獲得できる賞金額は大きく異なります。
級別(A1・A2・B1・B2)が上がるほど高額賞金のレースに出場でき、1走あたり、優勝1回あたりに得るお金はより高くなるわけです。その為、ランキング上位を狙うには…
「グレードの高いレースで結果を残す」ことが必須条件。
高額賞金が獲得できるG1以上の開催と、その優勝賞金は以下の通り。
レース名 | 優勝賞金 | |
---|---|---|
SG | グランプリ | 1億円1,000万円 |
クラシック(総理大臣杯) オールスター(笹川賞) メモリアル(MB記念) ダービー(全日本選手権) | 4,200万円 | |
グランドチャンピオン オーシャンカップ チャレンジカップ | 3,600万円 | |
グランプリシリーズ | 2,000万円 | |
PG1 | クイーンズクライマックス | 1,6700万円 |
BBCトーナメント スピードクイーンメモリアル マスターズチャンピオン レディースチャンピオン ヤングダービー | 1,300万円 | |
G1 | 各場の周年記念 | 1,200万円 |
ダイヤモンドカップ 高松宮記念 | 1,100万円 | |
各地区選手権 | 630万円 |
2年連続で増額された各グレードの賞金は以下の記事をご覧ください。
賞金王へのサバイバルロード
日を追うごとに順位が目まぐるしく変動する賞金ランキング。秋以降になると、賞金王を目指す選手たちの“段階的なふるい落とし”が行われます。
最初の関門となるのが、10月末までの獲得賞金順で決まるSGチャレンジカップ出場権。
この時点で賞金王のチャンスは「ランキング上位34選手」に絞られます。
選考期間最後のSGとなるチャレンジカップが終了した時点で、グランプリに出場できるのは「賞金ランキング18位までの選手」。
グランプリでは、ランキング下位12選手によるトライアル1stで半分の6選手が脱落。残った6選手とランキング1~6位の計12選手でトライアル2ndが実施。
トライアル2ndを勝ち抜いた6選手のみ、優勝賞金1億円1,000万円を賭けた「グランプリファイナル」の切符を手にします。
大晦日に賞金王決定? 2004年の植木 vs 今村
通常、賞金王争いはグランプリで勝負がつきます。
ただし、優勝者と上位選手が僅差だった場合、年末のあっせん状況次第では“決着が大晦日までもつれるケース”もゼロではありません。
実際、2004年のグランプリ終了時点で賞金王が決定しない可能性が浮上。11位で決定戦に進んだ植木通彦と、ランキング1位ながら決定戦に進めなかった今村豊。
仮に植木が優勝し、順位決定戦を走る今村が4着となった場合、1位と2位の差が30万円以内まで急接近する事態に。
この僅差では今村に賞金王当確ランプはつかない状況。しかも、植木は28日から若松で、今村は30日から徳山で一般開催を走る予定でした。
賞金王が史上初めて大晦日に決まるのか?
ファンの間でも話題になりましたが、順位決定戦で今村は3着に入り、この時点で賞金王当確。一方の植木はファイナルで1コースを活かせず6着に敗れ、大晦日決着は幻に終わったのです。
「白井英治・馬場貴也」による2022年賞金王争いも記憶に新しい出来事。
歴代の賞金王&年間獲得賞金
1990年代以降、SGの開催数が段階的に増え、選手の年間獲得賞金も大きく増加。過去には1億円レーサーが10名以上誕生した年もあります。
それでは、歴代の賞金王&賞金女王と年間獲得賞金を紹介していきます。
歴代賞金王と年間獲得賞金一覧(2002~2023年)
年度 | 賞金王 | 年間獲得賞金 |
---|---|---|
2002年 | 植木通彦 | 2憶8393万円 |
2003年 | 田中信一郎 | 2憶2980万円 |
2004年 | 今村豊 | 1憶8811万円 |
2005年 | 辻栄蔵 | 1憶8947万円 |
2006年 | 松井繁 | 2憶2800万円 |
2007年 | 魚谷智之 | 2憶0537万円 |
2008年 | 松井繁 | 2憶1259万円 |
2009年 | 松井繁 | 2憶5120万円 |
2010年 | 中島孝平 | 1憶9381万円 |
2011年 | 池田浩二 | 2憶5085万円 |
2012年 | 山崎智也 | 1憶6351万円 |
2013年 | 池田浩二 | 1憶9823万円 |
2014年 | 菊池孝平 | 1憶6954万円 |
2015年 | 山崎智也 | 2憶2933万円 |
2016年 | 瓜生正義 | 2憶1373万円 |
2017年 | 桐生順平 | 2憶1224万円 |
2018年 | 峰竜太 | 2憶0292万円 |
2019年 | 石野貴之 | 2憶2564万円 |
2020年 | 峰竜太 | 2憶5302万円 |
2021年 | 瓜生正義 | 1億8211万円 |
2022年 | 白井英治 | 1億8779万円 |
2023年 | 石野貴之 | 2億2203万円 |
各年の賞金王に輝いた選手、年間獲得賞金は上記の通り。
2002年以降、最も多く賞金王レーサーを輩出しているのは大阪支部の3名(田中信一郎、松井繁、石野貴之)。松井繁は2008年から2年連続で賞金王タイトルを獲得しています。
歴代の賞金女王と獲得賞金一覧(2012~2023年)
年度 | 1位の選手 | 獲得賞金 |
---|---|---|
2012年 | 三浦永理 | 4189万円 |
2013年 | 平山智加 | 5267万円 |
2014年 | 日高逸子 | 4096万円 |
2015年 | 寺田千恵 | 4052万円 |
2016年 | 松本晶恵 | 4493万円 |
2017年 | 遠藤エミ | 5390万円 |
2018年 | 小野生奈 | 4190万円 |
2019年 | 大山千広 | 5683万円 |
2020年 | 平高奈菜 | 5491万円 |
2021年 | 遠藤エミ | 6439万円 |
2022年 | 遠藤エミ | 8266万円 |
2023年 | 遠藤エミ | 5800万円 |
歴代賞金女王(年間獲得賞金額)の一覧です。
2012年から「PG1クイーンズクライマックス」、2025年には「PG1スピードクイーンメモリアル」が新設され、女子レーサーの獲得賞金は年々増加傾向にあります。
遠藤エミが女子史上初のSG制覇(2022年)
2022年3月のSGボートレースクラシックにて、遠藤エミが女子レーサー初となるSG制覇を達成。
好機モーター(68号機)を引き当て、1走目から「131132」とオール連対で予選をトップ通過。準優も難なくイン逃げを成功させ、優出1号艇で迎えたSG優勝戦。
コンマ07の好スタートを決め、強豪レーサーたちを寄せ付けず1着でゴール。
これまでもSG優出した女子レーサーは2名(寺田千恵・横西奏恵)いましたが、頂点に立ったのは史上初。まさしく前人未到の快挙と言えるでしょう。
遠藤エミについては以下の記事で紹介しています。もし興味あれば合わせてどうぞ。
グランプリ優勝者が賞金王になれなかったケース(2000年以降)
グランプリの優勝賞金は1億円(当時)。
優勝すれば賞金王は確定だろう…と思われがちですが、必ずしもそうなるとは限りません。
グランプリ決定戦で優勝したものの、賞金王のタイトルに届かなかったケースは2000年以降で4例。いずれも、グランプリ開催前に賞金ランキング1位だった選手が逃げ切ったケースです。
年度 | グランプリ優勝 (選出時点の順位) | 賞金王 (GPの結果) |
---|---|---|
2004 | 田中信一郎 (12位) | 今村豊 (順位決定戦3着) |
2007 | 吉川元浩 (6位) | 魚谷智之 (優出3着) |
2008 | 井口佳典 (6位) | 松井繁 (優出4着) |
2014 | 茅原悠紀 (12位) | 菊池孝平 (優出2着) |
グランプリ決定戦の2着賞金は4700万円、6着でも2000万円と高額です。
その影響もあって、賞金ランキング1位の選手が優勝を逃した場合でも、結果次第で1位の座を守り通すことが可能となります。
賞金女王決定戦も同様、優勝者が賞金女王になるとは限りません。
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競艇の生涯獲得賞金ランキング
今や賞金王レーサーなら年間獲得賞金2億円が当たり前。デビューからの累計となる生涯獲得賞金に目を向ければ、その金額はとてつもない金額になります。
そんな中、最新の生涯獲得賞金ランキングがこちら。
順位 | 選手名 | 生涯獲得賞金 |
---|---|---|
1位 | 松井繁 | 41億1300万円 |
2位 | 今村豊 | 29憶4144万円 |
3位 | 今垣光太郎 | 27億5150万円 |
4位 | 瓜生正義 | 27憶4840万円 |
5位 | 山崎智也 | 25憶9690万円 |
6位 | 濱野谷憲吾 | 25億8630万円 |
7位 | 太田和美 | 23億7613万円 |
8位 | 池田浩二 | 22億9755万円 |
9位 | 田中信一郎 | 22億7730万円 |
10位 | 植木通彦 | 22億6186万円 |
11位 | 服部幸男 | 20億9971万円 |
12位 | 西島義則 | 20億8945万円 |
13位 | 烏野賢太 | 19億4700万円 |
14位 | 白井英治 | 19億3851万円 |
15位 | 市川哲也 | 18億9349万円 |
16位 | 原田幸哉 | 18億5928万円 |
17位 | 野中和夫 | 18億5537万円 |
18位 | 菊地孝平 | 19億2674万円 |
19位 | 江口晃生 | 18億4320万円 |
20位 | 吉川元浩 | 18億1925万円 |
当然ながら、ランキングに並んでいる選手は艇界を代表する選手ばかり。
ちなみに、現役最強と評される「峰竜太」の生涯獲得賞金は、2024年9月時点で約18億円。ランキング上位の選手がいかに凄いのかお分かりいただけたはず。
女子レーサーのみの生涯獲得賞金ランキングは以下をご覧ください。
1位:松井繁(41億1300万円)
初のSG制覇はデビュー7年目の1996年笹川賞(オールスター)。
道中転覆があっての「恵まれ」でしたが、そこから現在まで4度の賞金王を含むSG12勝。今もなおSG戦線に欠かせない存在として艇界に君臨する「絶対王者」です。
全盛期は内外自在の攻めで勝ち星と賞金を積み重ね、2011年のグランプリで前人未到の生涯獲得賞金30億円を突破。
SGだけでなく、G1優勝58回という驚異的な記録こそ、2位以下を大きく突き放す強さの裏付けでしょう。
2020年には4年ぶりにグランプリ決定戦へ進出し、まだまだ王者健在をアピール。41億を超え、さらには50億…。松井繁の限界突破はいつまで続くのか?
昔ほどの勢いは感じませんが、番組表にいるだけで警戒してしまう存在感。体力的に難しくても再びSG制覇を期待してます。
2位:今村豊(29憶4144万円)
2020年10月に引退しています。
デビュー戦でいきなり勝利を挙げ、優出3着の大健闘。あっという間にSG戦線へと登り詰め、デビュー最速記録を次々と塗り替えるスピード出世を果たしていきます。
30代からは持病(メニエール病)にも苦しめられ、体調が整わずSGを欠場することもありました。それでも不屈の闘志で高い勝率を守り続け、2004年には悲願の賞金王タイトルを獲得。
今村選手は通算2880勝、優勝回数142回の成績をもって、2020年10月に40年の現役生活に終止符を打ちました。
SGは通算7勝ですが、年間最高勝率のタイトルを8度も獲得した安定の強さが、29億という生涯獲得賞金の積み上げにつながったと思います。
今村選手の引退は悲しすぎた…。競艇を楽しませてくれた1人でもあるし、舟券でもだいぶお世話になりました。
3位:今垣光太郎(27億5150万円)
長年にわたって福井支部、三国競艇場の看板レーサーとして活躍を続ける「今垣光太郎」。
SG競走の高い実績で生涯獲得賞金を伸ばし続けており、怪我などがなければ山崎智也(3位)を超えるのは時間の問題でしょう。
SG9勝のうち3勝は、いずれもナイターで行われたMB記念(メモリアル)。
特に印象的だったのが、蒲郡で行われた2002年の優勝戦。2号艇から気合いのピット離れを敢行し、濱野谷憲吾選手から1コースを奪い取って優勝したシーン。
SG優勝は2016年から遠ざかっていますが、2019年にはG1マスターズチャンピオン(名人戦)、そして新設されたG2全国ボートレース甲子園を制覇。
50歳を超えても人気、実力ともに衰えていません!
今垣選手の4カドはマジで安定感抜群!彼が4コースにいたら絶対に外しちゃダメですよw
4位:瓜生正義(25憶8840万円)
植木通彦選手引退後の福岡支部を引っ張る「瓜生正義」。
養成所リーグ勝率は驚異の「8.31」。期待の新人としてデビューして以降、SG優勝10回の強さはもちろん、25年連続SG優出という凄すぎる記録を継続中です。
記憶に新しい2021年のグランプリ優勝戦。峰竜太をツケマイで沈めたシーンは今でも鮮明に覚えています。
賞金王決定戦には10年連続(2005~2014年)を含む14回出場。2016年にはファイナル1号艇からイン逃げを決め、デビューから22年目で悲願の賞金王タイトルを獲得しています。
この先もさらなる活躍が間違いないレーサーの1人です。
お世辞にも調子が良さそうには見えませんが、福岡支部の大黒柱”正義のヒーロー”はきっとまたやってくれる!
5位:山崎智也(25憶9690万円)
2022年4月に引退しています。
デビュー5年目にしてダービー(全日本選手権)を制覇した、艇界のプリンスこと「山崎智也」。
SG2度目の出場で初優出初優勝の快挙を達成。その後もSGで際立つ実績(優出39回、優勝11回)を残しており、生涯獲得賞金は25億円を超えています。
2012年12月には横西奏恵選手(当時)との結婚を発表。直後のグランプリはボーダーギリギリの12位選出ながらファイナルに進み、4コースからまくり差しを決めて優勝。
大逆転の賞金王タイトル獲得で、結婚に花を添えました。
かつては「貴公子」とも呼ばれ、艇界を代表するイケメンの1人。近年は腰痛に悩まされて思うような結果を残せなく理、2022年4月12日に引退を発表しています。
引退理由は「最近は勝っても楽しくなかった」と話した通り、燃え尽きたのかもしれませんね。
過去の賞金王争い&記憶に残るグランプリ優勝戦
年間最強の競艇選手を決める戦いにおいて、特に印象的だった名シーンをいくつか紹介します。
2億円レーサーが3選手も(2003年)
選手名 | 年間獲得賞金 | 獲得SG | |
---|---|---|---|
1位 | 田中信一郎 | 2憶2980万円 | グランプリ メモリアル |
2位 | 松井繁 | 2憶2081万円 | |
3位 | 山崎智也 | 2憶1212万円 | ダービー |
4位 | 瓜生正義 | 1億4606万円 | |
5位 | 今村豊 | 1億3110万円 |
田中信一郎が2001年に続き、2度目の賞金王に輝いた2003年。
SG初優勝が4選手も出る混戦状態。一方、SG常連組も揃って活躍したことで、ランキング上位選手の獲得賞金は非常に高いものとなりました。
最終的には上位3選手が年間獲得賞金2億円超え、上位14選手までが1億円超えという史上初の高水準に。
中でも2位の松井繁は、G1年間8勝という驚異的な成績。SGを1つも獲ることなく2億円の大台に乗せてしまったのです。
ランキング11位からの大逆転(2005年)
選手名 | 年間獲得賞金 | 獲得SG | |
---|---|---|---|
1位 | 辻栄蔵 | 1憶8947万円 | グランプリ |
2位 | 濱野谷憲吾 | 1憶6513万円 | |
3位 | 仲口博崇 | 1憶5331万円 | |
4位 | 太田和美 | 1億4482万円 | ダービー |
5位 | 江口晃生 | 1億4361万円 | オーシャンカップ |
チャレンジカップ終了で賞金ランキング11位だった辻栄蔵。賞金王が有力視されていた1位の植木とは、グランプリ前の段階で5000万円以上もの差がありました。
しかし、植木がトライアル2走目で負傷し、賞金を上積みすることなくまさかの途中帰郷。
対して辻は、トライアル2勝を挙げて優出1号艇を獲得。1着でゴールすれば自力で賞金王をゲットできる状況に。
コンマ11のトップスタートを決め、盤石のイン逃げで優勝。ランキング11位からの大逆転劇で、初の賞金王タイトルを獲得しました。
「尼崎最強の2人」に輝く栄冠(2007年)
選手名 | 年間獲得賞金 | 獲得SG | |
---|---|---|---|
1位 | 魚谷智之 | 2憶0537万円 | オーシャンカップ メモリアル |
2位 | 吉川元浩 | 1憶8148万円 | グランプリ |
3位 | 湯川浩司 | 1憶6081万円 | グランドチャンピオン チャレンジカップ |
4位 | 松井繁 | 1憶4111万円 | |
5位 | 瓜生正義 | 1憶1687万円 | オールスター |
2007年の賞金王争いは、SG2勝を挙げた兵庫の「魚谷智之」と大阪の「湯川浩司」を中心に展開。
兵庫、大阪ともに2選手ずつ優勝戦にコマを進め、賞金王の行方だけでなく「兵庫支部 vs 大阪支部」の近畿頂上対決にも注目が集まります。
賞金王決定戦を制したのは、トライアルを1位で通過した兵庫支部「吉川元浩」。鉄壁のイン逃げを決めて、デビュー11年にしてSG初Vを飾りました。
魚谷も3着に入って賞金ランキング1位を死守し、賞金王とグランプリの両タイトルを兵庫支部で独占。
前年のダービー優勝戦(1着魚谷、2着吉川)と同じ福岡の水面で、少数精鋭の兵庫支部を支えるWエースが揃って栄冠を掴んだのです。
若手台頭で世代交代へ(2017年)
選手名 | 年間獲得賞金 | 獲得SG | |
---|---|---|---|
1位 | 桐生順平 | 2憶1224万円 | グランプリ クラシック |
2位 | 峰竜太 | 1憶5339万円 | オーシャンカップ |
3位 | 井口佳典 | 1憶3365万円 | |
4位 | 石野貴之 | 1憶2677万円 | オールスター グランドチャンピオン |
5位 | 白井英治 | 1憶1072万円 |
グランプリ前の賞金ランキング上位3選手は、オーシャンカップで初SGを果たした峰竜太。前年惜しくも賞金王を逃した石野貴之。そして、3月のクラシック優勝で勢いに乗る桐生順平。
混戦となったトライアル2ndステージを共に突破し、揃ってグランプリ決定戦に進出します。
勝利したのは、1コースからカンペキなイン逃げを決めた「桐生順平」。年初・年末のSGを制し、埼玉支部悲願の賞金王レーサーに輝きました。
若手中心となった2017年のグランプリは、競艇界の世代交代を予感させる1年だったように思えます。
2018年は峰竜太が、2019年は石野貴之が初の賞金王タイトルを獲得。
9年ぶりの2億5000万円超え(2020年)
選手名 | 年間獲得賞金 | 獲得SG | |
---|---|---|---|
1位 | 峰竜太 | 2憶5302万円 | グランプリ オーシャンカップ |
2位 | 寺田祥 | 1憶5593万円 | メモリアル |
3位 | 毒島誠 | 1憶5520万円 | チャレンジカップ |
4位 | 吉川元浩 | 1憶3201万円 | クラシック |
5位 | 篠崎仁志 | 1憶1326万円 | オールスター |
45歳の徳増秀樹がグランドチャンピオン優勝、深谷知博はSG初出場でダービー優勝と、静岡勢の躍進が話題になった2020年。
賞金ランキング上位は“1億円台のレーサーが4選手”もいる混戦模様。
ただ、トライアルを突破できたのは峰竜太と寺田祥のみ。どちらも優勝すれば賞金王が決まる中でファイナルを迎えます。
全艇がコンマ0台という激しいスリット合戦になった優勝戦。
コンマ01のスタートを決めた峰が最高の形で押し切り、グランプリ2度目の優勝。2011年の池田浩二(2憶5085万4000 円)以来、4人目となる2億5000万円超えを突破しました。
峰竜太の転覆で3連単不成立。返還額は史上最悪41億円(2021年)
選手名 | 年間獲得賞金 | 獲得SG | |
---|---|---|---|
1位 | 瓜生正義 | 1憶8211万円 | グランプリ |
2位 | 峰竜太 | 1憶4779万円 | オールスター |
3位 | 白井英治 | 1憶4755万円 | |
4位 | 原田幸哉 | 1憶3105万円 | メモリアル |
5位 | 平本真之 | 1憶2667万円 | ダービー |
「賞金王は峰で決まりだろう」と思われた2021年グランプリ。しかし、記憶にも記録にも残る大波乱となり、その予想は大きく覆される結果に。
ポールポジションに座ったのは、圧巻の強さで勝ち上がった峰竜太。
若手のホープ「丸野一樹」が2枠。エースモーターを引き当てた「平本真之」が3枠。そして、ダッシュに瓜生正義、白井英治、毒島誠と続く番組。
締切り間近のオッズを見れば分かる通り、イン逃げと「2-1-345」を除いた舟券はオール万舟。ほぼ全ての競艇ファンは峰が勝つと予想していたのでしょう。
断トツ人気の峰竜太はコンマ07の好スタートを切り、他選手たちもほぼ同体となるプランプリ優勝戦らしい展開だったのですが…
1周1マーク、競艇史上最悪の落水事故が起こります。
0台のスタートを切った峰のイン逃げかと思った瞬間、瓜生の神がかったツケマイが炸裂。
そのプレッシャーからなのか、峰はターンマークに接触し転覆。しかも、最悪なことに後続の2,3,6号艇も巻き込む大クラッシュ。
2021年を締めくくるグランプリ優勝戦において、完走できたのは瓜生・白井の2艇のみ。
その結果、3連単・3連複の舟券は未成立となったうえ、売上の96%にあたる約41億円が返還。競艇史上最高の返還額となりました。
- 販売額:42億7752万6800円
- 返還額:41億1426万3700円(96.18%)
- 実売上:1億6326万3100円
この返還によって、収益となるはずだった10億円は吹っ飛び、施工者の手元に残った売上は4,000万円程度。
これまで見た中で最も後味の悪いグランプリと言えるでしょう。
この転覆事故を境に、峰竜太の評判は悪化。アンチが急増し、今現在も悪いイメージは払拭されていません。
競艇史に残る伝説!最強の競艇選手たち
競艇の歴史に刻まれているのは記録だけでなく、引退後もファンの間で語り継がれる伝説的なレーサーたち。そんな「最強の競艇選手」を紹介します。
- 植木通彦(うえきみちひこ)
- 野中和夫(のなかかずお)
- 加藤峻二(かとうしゅんじ)
- 鈴木弓子(すずきゆみこ)
上記選手を含む、歴代1位の記録保持者は以下の記事で紹介しています。
植木通彦 ~ 最強の不死鳥
デビュー3年目となる1989年の事故で顔面を裂傷する大ケガを負ったものの、わずか半年で復帰。
それだけでも奇跡でしたが、翌1990年に初優勝、さらにSG初出場となった1993年の総理大臣杯(クラシック)でいきなり優勝する偉業を達成します。
今は亡き飯田加一さんが考案した「モンキーターン」をいち早くマスターし、1996年には艇界初となる年間獲得賞金2億円に到達。そして、2002年には年間歴代最高となる2憶8393万4000円の賞金を獲得しました。
この記録は未だに破られておらず、すべての公営競技(競艇・競輪・オートレース)における歴代最高の年間獲得賞金です。
2007年7月、平成の不死鳥・植木さんはちょうど4500走をもって現役を引退。
通算1562勝、生涯獲得賞金22億6184万2369円という艇史に残る戦績。2021年現在はボートレースアンバサダーとして、テレビやYouTube番組に数多く出演しています。
野中和夫 ~ 最強のモンスター
SG通算17勝、笹川賞(オールスター)V6、期間最高勝率9.53。現役時には他の選手を圧倒する数々の記録を打ち立てた野中和夫さん。
「モンスター」の異名を持ち、昭和から平成初期の競艇界を象徴する存在として活躍した名選手です。
現役時代の強さと並行して、武闘派ゆえの破天荒なエピソードも多く報道されました。しかし、卓越した勝負勘と徹底して勝ちにこだわる高いプロ意識は、現役レーサーも見習うべき部分が多くあるかと思います。
そんな野中さんは2009年、65歳で現役を引退。
選手生活の晩年には日本モーターボート選手会の会長を4年間務め、次世代へと引き継がれる競艇界の発展に寄与しています。
モンスターと呼ばれた理由については以下の記事が参考になります。
加藤峻二 ~ 最強の鉄人
登録番号1000番台で最後まで現役を続けた選手として、時代を超えた競艇界最強の鉄人といわれるのが加藤峻二さん。
地元戸田で「71歳2ヵ月の最年長優勝記録」を更新したレースは、競艇ファンの間で大きな話題となりました。そのレース映像があったので載せておきますね。
デビューは17歳で、全盛期は1960~70年代あたり。それ以降も若手に混ざってA1級での活躍を続けます。
2003年の笹川賞(オールスター)では61歳でSG優出の大健闘。この優勝戦で奮起してSG初優勝を遂げたのが、同じ埼玉支部の後輩「平石和男」でした。
現役生活56年、14,652レースを走って73歳まで現役を続けた加藤さん。その功績を称えて戸田競艇場では「加藤峻二杯」が開催されたこともあります。
鈴木弓子 ~ 永遠の最強女子
現在では選手数も多くなり、人気も競技レベルも上がっている競艇女子レーサー。
しかし、昭和の頃は選手寿命が短く、競艇選手になろうとする女性は皆無に近かったそうです。
女子の登録選手数がひとケタしかいない不遇の時代が続いていた中、男社会だった競艇界で奮闘した女性が時代を変えたのです。その名は「鈴木弓子」さん(旧姓田中)。
1980年、9年ぶりに誕生した女子選手をメディアは大々的に報じ、同年に芸能界を引退した山口百恵にあやかって「競艇界の百恵ちゃん」と呼ばれることも。
人気だけかと思いきや、鈴木さんはトライアスロンを完走するほど高い身体能力の持ち主。男子レーサーに負けない走りを見せ、各地の競艇場で大活躍します。
また、鈴木弓子さんの影響で競艇選手を志願する女性が急増。
女子リーグの復活、女子王座決定戦(現レディースチャンピオン)、年末の賞金女王決定戦(現クイーンズクライマックス)創設など、段階的に整備されていくことになります。
鈴木幸夫選手と結婚したことで名字が変わり、第1回女子王座決定戦を優勝した鈴木弓子さんは1989年に現役を引退。
女性でも戦える環境を作り上げた功績は、この先もずっと語り継がれていくことでしょう。
まとめ
今回は「最強の競艇選手」をテーマに、歴代賞金王や年別の賞金ランキング、生涯獲得賞金上位の選手などをご紹介しました。
トップクラスのレーサーは毎年1億円、2億円といった額の賞金を稼ぐことができます。ただ、それを実現できるのは、1,600名ほどいる競艇選手のほんのひと握り。
SGで常に好成績を残し、ファンから支持され続けるからこそ「最強」の称号にふさわしい存在となれるのです。
賞金ランキングの顔ぶれにも、新しい選手の登場やベテランの復活など、この先いろんな変化が出てくることでしょう。艇界最強の座をめぐる戦いからこの先も目が離せません!
競艇選手の年収については以下が参考になります。
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