競艇でレース本番前に行われる「展示」には、スタート展示と周回展示の2種類あります。
スタート展示はピットアウトから一連の動きを把握でき、周回展示はモーターの機力など”舟足”をチェックするもの。
どちらも舟券を予想するうえで欠かせない情報源。そのうえで、以下に1つでも該当する方は、舟券勝率を上げるためにもぜひ参考にしてください。
- 普段、スタ展を参考にしていない
- 展示の見方やルールが分からない
- 予想が全然当たらない
- 想定していた展開と違う
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競艇のスタート展示とは?
スタート展示とは、本番レースを想定して行うリハーサルのようなもの。
ピット離れてから大時計の針がゼロを指すまで、待機行動と呼ばれる動きを実施。1レース目のスタート展示は出走表記載の時刻、2レース目以降は前のレース終了後に行われます。
活用方法だけ知りたい方は以下のボタンよりジャンプできます。
スタート展示の流れ
原則、スタート展示は本番レ-スと同じ流れで実施されます。
選手たちはピットアウト後に待機行動へと移り、大時計のタイミングに合わせて本番同様のスタートを行います。
スタート展示から前づけなどコース取りは自由ですが、本番でその通りになるとは限りません。ルール上、スタート展示の進入コースが本番と変わるのは日常茶飯事です。
スタートラインを通過後、ファンに向けてスリット画像が表示されます。当然、展示でのフライングや出遅れはペナルティの対象外。
通常はここまでがスタート展示となり、続けて水面上を航走する「周回展示」が行われます。
待機行動中はいろいろとルールがあるので、気になる方は以下の記事をご覧ください。
スタート展示が廃止されて時期も
- 当時は待機行動の規定項目が少なかった
- コース取りは今以上に激しかった
以上のことから「予想の材料にならない」という声が相次ぎ、1991年に廃止された過去があります。
その後しばらくは艇番順に待機ピットを飛び出し、そのまま1マークに向かって航走を始める展示航走のみ実施。
それから約10年後、2002年8月頃に復活。現在のスタート展示と周回展示がレース前に行われる形式となりました。
スタート展示のルール
スタート展示が復活したとはいえ、再開直後にはさまざまな混乱が起きたのも事実。
新しく導入された罰則によって、待機行動中に欠場・返還艇が出てしまうケースが続出。そうした歴史を振り返りつつ、スタート展示のルール変遷について解説していきます。
分割方式から現在の一括方式へ
スタート展示の復活後、周回展示と時間を分けて実施していた時期がありました。
1レース目のみスタート展示に続いて周回展示を行っていましたが、2レース目以降は前のレースが始まる直前に行われる「分割方式」。
しかし、分割方式だとスタート展示を終えた選手が一旦ピットに戻る必要があり、進行上のロスは甚大。さらに、水面に引き波が立ってしまう問題も重なり、レースへの影響を指摘する声が増加。
これに伴い、選手の入れ替えなしで進行する展示へ2003年2月に変更。「一括方式」のスケジュールに改め現在に至ります。
「ダッシュ」「スロー」に関する規定の廃止
スタート展示が復活した当初は、スローとダッシュスタートの区別を明確にする特徴がありました。
展示後のアナウンスも「スローは1号艇、2号艇、3号艇。ダッシュは4号艇、5号艇、6号艇」という説明のパターン。これに関係するのは…
「審判がやむを得ないと認めた場合を除き、スタート展示でダッシュ進入を選んだ選手は、本番でスロー進入を行ってはいけない(その逆はOK)」というルールがあったから。
本番でいきなり仕掛けることを防ぐためのものと推測されます。
(※1)賞典除外とは、最終日および最終日前日に行われる「優勝戦・準優勝戦」への出場資格を除外されること。また、特別選抜戦も含まれる。
この規定は、スタート展示でピット離れをミスした時などに取り返しがつかなくなること。そして、起こしの位置によっては「ダッシュ or スロー」なのか区別がつきにくいケースも。
そういった弊害も多く指摘され、2004年4月のルール改正をもって廃止となりました。
スタ展とは違った進入で返還欠場のケース
昔のスタート展示で特徴的だったが…
「スタート展示で6コースに入った選手は、本番で1コースに入ることができない」というルール。本番で大外から前づけに出る奇襲を認めないための規定です。
このルールがあったにも関わらず、過去には「展示6コース、本番1コース」を実行して返還欠場になったケースが複数回ありました。
返還欠場となった最も有名なレースは、2004年10月開催の住之江「G1高松宮記念特別競走」の優勝戦。
6号艇の石田政吾はスタート展示で6コース進入。この時点で本番の1コース進入はNGのはずでしたが…
優勝戦の待機行動中、石田はいきなり大きく回り込んで1コースを奪ってしまいます。
スタートライン方向に舳先を向け、1号艇の白石健が2コースに入った時点で審判長から返還欠場のコール。石田は戦線を離れ、レースは結局5艇で行われることに。
そして、石田の返還欠場に加え、3艇がフライングする大惨事となり…
返還額は売上の99.6%にあたる約4億3600万円。
重大な規定違反を犯した石田政吾は、ここから約3年間住之江から斡旋されず。今思えば、ちょっと重すぎるペナルティにも感じます。
このルールも2008年4月をもって廃止。現在は本番でどこから1コースへ進入しても違反になりません。
競艇のスタート展示を活かした予想方法
現在のスタート展示は「舟券推理に役立つ材料」を沢山得ることが可能。その具体的な活用方法を解説していきます。
進入隊形を基準とした予想ができる
待機行動中に行われる「コースの奪い合い」について、各選手にどのような思惑があるのか?
それを分かりやすくするのがスタート展示を実施する一番の理由でしょう。
現在は待機行動のルールも厳しくなったことから、展示と本番で進入が大きく異なるレースは僅か。その為、舟券予想は遥かに優しくなったと言えます。
- 進入は枠なりなのか?乱れるのか?
- 勝負がけの選手がどこまで内側に来るのか?
- 前づけされそうになったら抵抗するのか?
スタート展示は、レース結果に大きく影響する超重要な情報。
現代のボートレースにおいて、展示を確認せず勝つことはできません。
最も信頼できるスタート練習
競艇のレース開催中は毎日「早朝特訓」が行われています。
早朝特訓とは、第1レースが始まる前の時間帯に行われるスタート練習のこと。基本的に同じレースを走る選手同士で3本実施されます。
レース直前のスタート展示は、ファンへの足見せだけでなく、選手にとっても実質的な最終調整の場。
天候などコンディションに最も近い状況で行われることもあり、直前気配をしっかり確認できる機会であることは間違いないでしょう。
実は「ピット離れ」も重要な要素
- 舟足比較をできる
- モーター比較をできる
周回展示は舟足をじっくり眺めることができ、スタート展示は6選手が一斉に走るため、モーターの良し悪しを比較しやすい利点があります。
その展示において必ずチェックしてほしいのが「ピット離れ」。
選手コメントでも「ピット離れが…」という言葉をよく聞きます。ピット離れはモーターの状態だけでなく、飛び出すタイミングや姿勢など、選手が持っている技量の差が表れやすいもの。
特に2マークまでの距離が長い競艇場は要注意。ピット離れの技量差が出やすいと覚えておきましょう。
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【基礎編】スタート展示の見方
スタート展示のどこに注視すればいいのか?舟券の的中率を上げるために押さえておきたい「スタート展示の見方」について説明します。
スリット付近の動きで舟足を見る
フライングスタートと呼ばれる競艇の進入では、スローとダッシュで助走距離が変わります。
スローなら出足、ダッシュなら伸び足を重視した整備が一般的。では、モーターの仕上がり具合をどこで見極めればいいのか?
ポイントは「スタートライン通過後の伸び具合」です。
スタートラインを過ぎてからの”伸び”でモーターの調子を図ることができます。モーターが強ければ「出ていく」逆に弱ければ「下がる」という表現を使います。
選手のインタビューでも「出ていく」「下がる」の言葉はよく出てくるので、コメントと合わせて動きを確認してください。
より確かな機力評価が可能となります。
「フライング」と「ドカ遅れ」の判断
スタート展示において、フライングや出遅れがあっても罰則の対象にはなりません。練習を兼ねた足見せとなるので、あくまで”参考情報”として確認してください。
問題はスタート展示でフライングをした選手、大きく遅れた選手をどう評価するのか。
よく聞かれるのは「フライングはそれほど気にしなくていい」という声。レバーを握るタイミングの調整で本番に合わせていくことは、それほど難しいことではないでしょう。
逆に、スタート展示でドカ遅れとなってしまった場合、起こすタイミングの遅れと機力の無さ、両方の原因を考えなければいけません。
選手の技量にもよりますが、展示での遅れを本番で合わせるのは難しいとされています。
特にキャリアの浅い若手やB級選手がスタート展示で大きく遅れた場合、舟券の信頼度は下げた方が無難かも。
展示航走とチルト角度の関係性
ボートに取り付ける”モーター角度”によって舟足の特徴が変わります。これを専門用語で「チルト」と呼びます。
出足を重視したい場合は-0.5度が一般的で、角度が大きくなるほど伸び足に傾いていくもの。
各選手のチルト角度は「スタート展示が始まった直後」に公開されます。
モーターにはそれぞれ出足型、伸び型といった特徴があります。その点、チルトを変えることでモーターの長所をより引き出せていれば、スタート展示にもその効果が現れるはずです。
例えば、A選手のチルトが-0.5度、B選手のチルトが0度だったとしましょう。
展示で出足の感じがそれほど変わらないようであれば、A選手が乗るモーターの出足はB選手より劣っているという評価ができます。
スタート展示の動きとチルト角度の関係性は、より深みのある舟券推理を行うためには軽視できません。
部品交換後の気配変化を確認
スタート展示後、チルト角度と合わせてアナウンスされる部品交換。部品交換の効果は足合わせなどで確認できます。
調子が芳しくない選手は、開催中にプロペラやピストンなどを交換して機力アップを目指します。
しかし、スタートの動きについては別途時間が設けられることはなく、直前のスタート展示しか試す機会がありません。
競艇ではさまざまな部品の交換が認められており、整備が当たって舟足が一変することも少なくないのです。部品交換後の気配は必ずチェックするように。
【応用編】スタート展示の深掘りポイント
スタート展示を勝率アップに役立てたいなら、さらにいろんな角度から情報を深掘りする必要があります。
1つのレースだけでなく、開催全体にまで視野を広げるのがベスト。より多くのデータを収集し、選手ごとの傾向を掴むことも有効な舟券術と言えるでしょう。
条件が変わりやすい「潮の干満」と「ナイターの2回走り」
スタート時、1日の中で大時計の見え方が大きく変わる条件が主に2つあります。
- 潮位変化による水位の変動
- ナイター開催時の日没をはさんだ前後
潮位差がスタートに与える影響は、主に瀬戸内の海水面でよく指摘されます。
丸亀では大時計の高さを調整するほど、景色の見え方がガラリと変わるそうです。潮に加えて風の影響はスタートを乱す要因となるため、1日ごと、1走ごとの確認が欠かせません。
同様にナイター開催でも日没の前後で感覚の違いが生まれるといいます。
外が明るい時間帯に1走目、暗くなってから2走目だった場合、選手はそれぞれの条件でスタートを合わせていくことが求められます。
海水面およびナイター開催の競艇場では、こまめな展示チェックが必要。スタート勘が掴めているか?入念に比較・検証を行いましょう。
ルーキーシリーズでは重要な予想ファクターに
デビュー6年以内の若手レーサーが出場するルーキーシリーズ。
ルーキーシリーズの特徴は、イン逃げ勝率が若干下がり、まくりの決まり手が増えること。
特にスリットのバラつきが大きくなりがちな開催初日は、スタート展示の良し悪しだけでも軸・ヒモ選びに役立ちます。
それと、若手選手は整備力に乏しく、思った舟足にするのは困難なケースも。スタートが見えているかどうかの差は、成績にかなり響いてくると考えて良いでしょう。
展示ピットと本番ピットに微妙な違い?
上記図は下関競艇場の水面レイアウトですが、ピットの場所に「展示ピット」と「本番ピット」の2つがあります。
展示ピットと本番ピットは隣り合わせなので、どちらでも変わらないと思われるかもしれません。
ただ、競艇場によっては独特のクセもあるようで、元レーサーの「関谷聖二」さんは以下のような情報を発信しています。
スタート展示で注意したい点は、4号艇がピット離れで遅れることですね。(中略)しかし、本番ピットではそれが起きません。前づけでもない限り、枠なり進入に落ち着きます。
惑わされないようにしてください。
桐生競艇の展示ピットは、4号艇の自動発艇装置に何かしらの違和感がある可能性大。対して、本番ピットは普通に発進できると話しているので、レースでの進入には影響ないとのこと。
「桐生のスタート展示で4号艇がピット離れに遅れても、気にしなくていい」という情報は覚えておいて損はないでしょう。
コース取りに影響する特徴は、各場の「コース別進入率」なども参考になります。
「流す選手」がいたらスタート展示は軽視がベター
スタート展示はレーサーにとっても舟足を確認できる貴重な機会です。しかし、開催が進んでくると選手それぞれの思惑が反映されることもあります。
モーターがもう十分に仕上がっている、またはスタートが見えているケース。
そういった例を紹介を1つだけ。2022年3月で開催された戸田競艇「第32回東京スポーツ杯」の優勝戦。
このレースで注目を集めたのは、2号艇に座る地元埼玉「中澤和志」。
過去16回の優勝歴があり、得意水面の戸田でエースモーター(63号機)を引き当てます。準優も難なく逃げ切り、優勝戦前には「スロー用の微調整だけ」と強気のコメント。
3号艇の若林将も低調だったモーターを向上させ、初日からオール3連対で優出。「レース脚はバツグン」というコメントの通り、仕上がりは抜群といった様子。
そして、優勝戦のスタート展示では…
舟足に自信があり、スタートも見えている中澤選手、若林選手は遅れたというより「流した」印象。
その証拠に展示タイムを見ると、両選手が頭ひとつ抜けた数字となっています。
迎えたレース本番の優勝戦。
内4艇のスタートタイミングがほぼ揃った中、機力で上回る2選手が抜け出してワンツーを決める結果となりました。
開催終盤になると、各選手の舟足や整備の成果もはっきりしてきます。
これ以上の調整は要らないというレベルに仕上がっていれば、スタート展示を無難にこなしてレースに集中する選手がいてもおかしくありません。
スタート展示のハプニング
競艇ではレース前に”まさかの出来事”が起きることも。過去のスタート展示で起きた、笑うに笑えない事故を2つ紹介します。
展示で転覆した選手は欠場(返還)扱い。ファンが被害を被ることはありません。
ピットアウトで落水して失格
2020年8月21日の若松一般開催初日第9レース。岩井繁(広島)は6号艇から出走するはずでしたが…
油断したのか、スタート展示のピットアウト時に反応が遅れてしまいます。そして、前傾姿勢を取ることなく慌ててレバーを握った結果、艇が浮き上がり落水w
岩井選手は展示不参加によって選手責任の返還欠場に。
その後、若松からは1年以上斡旋がストップしました。新人レーサーならともかく、当時47歳のベテラン選手がやらかしてしまったのにはちょっと驚きです。
隣の艇を転覆させて即日帰郷
2021年11月1日の尼崎ルーキーシリーズ3日目第1レース。スタート展示の飛び出しで、他の選手を転覆させてしまうハプニング。
3号艇から出走した鈴木雅希はピット離れで大きく左によれ、2号艇の田代達也と接触。そのまま巻き込む形で転覆させてしまいます。
田代は選手責任外の欠場。鈴木は転覆しなかったためそのままレースに出走して完走。しかし、この行為は悪質な待機行動違反と判定され、即日帰郷の処分が下されています。
ピット離れでバランスを崩すケースは定期的に見られる出来事です。
まとめ:展示情報は競艇予想に欠かせない
「スタート展示」について紹介しました。
スタート展示は、コース取りやモーターの調子やスタート勘など、舟券予想に不可欠な情報。ただ、以下のような人がいるのも事実。
結局、展示では適当に入る選手が多いし、スタートや舟足はあまり参考にしない
確かにそう思えるレースもありますが、競艇予想において重要な情報源であることは間違いありません。
重賞レースになれば選手同士の駆け引きもここから始まります。舟券を当てるには念入りなチェックが必要ですし、競艇で勝ち組になりたいなら抑えておくべき情報です。
スタート展示の他にも覚えておきたい知識が沢山あるので、初心者の方は以下の記事も合わせてご覧ください!
コメントお待ちしてます!