ボートレースの知識を覚えていく過程で必ず耳にする「チルト」という用語。
チルト角度を上げる(はねる)といった使い方をされますが、何も知らないと「だから何?」となってしまうはず。
そこで今回は、知れば必ず役立つ「チルト」について解説します。初心者でも分かりやすいように解説していくので、3分程度で理解できると思います!
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競艇の「チルト」とは?
まずは「チルト」がどんな役割を果たしているのか理解しましょう。
チルトの意味はボートに取り付ける角度(図解付き)
チルトとは「ボートに取り付けるモーターの角度」のこと。チルトアジャスターという部品で調整を行い、角度を上げたり下げたりします。
チルト角度の調整は基本的に選手任せとなりますが、競艇場によっては最大角度に制限があることも。
制限が設けられている理由は「事故を減らすため」。それだけチルト角度がレースに影響するものだと認識しておきましょう。

「上げる=はねる」と表現されます。どちらも同じ意味なので、使い方はあなたの自由です。
チルト角度は「-0.5度~3度」の8種類
-0.5度・0度・0.5度・1度・1.5度・2度・2.5度・3度
現時点の環境で変更可能なチルト角度は上記8種類。競艇場によって変更できない角度もあります。
余談ですが、2008年11月の多摩川競艇場にて、上記にはない「チルト4度」を試していた時期がありました。今となっては幻となりましたが…。
各ボートレース場の最大チルト角度
最大角度 | 競艇場 |
---|---|
0.5度 | 戸田競艇 |
1度 | 桐生競艇 |
1.5度 | びわこ競艇・住之江競艇・若松競艇・福岡競艇・大村競艇 |
2度 | 江戸川競艇・徳山競艇 |
3度 (2.5度なし) | 平和島競艇・多摩川競艇・蒲郡競艇・常滑競艇・津競艇・三国競艇・尼崎競艇・鳴門競艇・丸亀競艇・児島競艇・宮島競艇・下関競艇・芦屋競艇・唐津競艇 |
3度 (2.5度なし) | 浜名湖競艇 |
前述したように調整できる角度は競艇場によって違いがあります。あなたがよく挑む競艇場の最大角度だけでも頭にしまっておきましょう。
ちなみに、最大角度が0.5度の戸田、1度の桐生が他より制限しているのは、コースレイアウトの幅が狭いから。特に戸田のコース幅は日本一狭い競艇場です。
標準となっている角度はマイナス0.5度
現在、ほとんどの競艇選手は「チルト-0.5度」に調整しています。標準角度を「-0.5度」にしているのは以下の理由。
- 2014年に「出力低減モーター」を採用
- 直線の伸び勝負が難しくなる
- 環境に適した出足重視(-0.5度)が主流に
10年以上の前のレース映像を見たことはありますか?
今のレースとは明らかにスピード感が違い、ホームストレッチなどで追い抜くシーンがよくあるほど。ただ、出力低減モーターに変わったことで、モーターやプロペラ重視の時代は終焉を迎えました。
昔ながらの競艇ファンには物足りないかもしれませんが、今後もチルト-0.5度が標準のままだと思います。



出足重視の中、3度にして話題の堀之内紀代子。豪快な走りが魅力の選手です!


チルト角度変更による影響やメリット・デメリット
チルト角度によってどのような影響があるのか?また、角度を変更した際のメリット・デメリットとは?
角度による影響は自転車のタイヤ幅と似ている


発揮する性能が大きく異なる「太いタイヤと細いタイヤ」の自転車。実はチルト角度による影響も、この2つの性能に少し似ていると(個人的に)感じています。
太いタイヤの場合、荒れた道でも安定して走れますが、スピードを追求することには向いていません。
一方、細いタイヤの場合、安定感を求めることはできませんが、太いタイヤよりスピードを乗せることができます。
なぜこのように性能の差が生まれるのか?
それは、地面との摩擦(抵抗)の大きさが違うから。同じことを「チルト」に置き換えた場合、抵抗を受けるのは水面です。
- 角度を下げると艇先は下向きとなり、水面との抵抗は大きくなる
- 角度を上げると艇先は上向きになり、水面との抵抗は小さくなる
この水面と接する面積の差が、走りに大きな影響を与えます。



水面とボートが平行の角度が「チルト0度」。それより下向きならマイナス、上向きならプラス。
チルト角度が最小の-0.5度だった場合
現代のボートレースで主流になっている「チルト-0.5度」の特徴。
艇先が水面の下を向き、接水面積が大きくなるので、出足が良くなり安定感が増します。しかし、チルトをはねたボートと比較すると、抵抗が大きくなる分、直線での伸びは劣ってしまいます。
チルト角度が最大の3度だった場合
次に、最大角度の「チルト3度」に見られる特徴。
艇先が上向きとなって接水面積は小さく抵抗が少ないので、直線での伸びは向上します。
その反面、-0.5度と比較すると出足が劣ってしまうのと、コーナーでの安定性は低下。よって、細かいハンドル操作が難しくなります。
「-0.5度」vs「3度」どちらが有利?
チルト角度によってメリット・デメリットがある中、はたして「上げる or 下げる」はどちらが有利なのか?正解は存在しませんが、一般的な捉え方で結論づけるなら…
そう答えた最大の理由は、上記でも説明した「出力低減モーター」の存在。
このモーターが採用されたことにより、いくらチルトをはねても”伸び”は制限されました。要は、チルトをはねる最大のメリットが軽減されてしまった訳です。
それともう一つ、チルト3度の艇を自在に操るのはSGレーサーでも困難。敢えてそのリスクを選択する選手は少ないのでしょう。
ただし、6コースを自ら選択する「アウト屋」たちは、有利・不利など関係なくチルトをはねて走っています。



ボートレース界の絶滅危惧種と言われているアウト屋。ひりつくレースが好きな方は、該当選手たいの応援をしてあげてください!


チルトをはねた選手がいた場合の展開予想
チルトをはねる選手が少なくなったとはいえ、番組表を見ているとちょこちょこ目にします。そういったレースで注意してほしいことをいくつか解説します。
チルト0度にする選手は意外と多い
風速5m以上だったり波が高い日など「チルト0度」にする選手は多いです。
そうする理由は、出足より伸びを重視したいから。
江戸川競艇など荒れた水面で採用するケースが多く、直線での勝負に重きを置いた策と言えるでしょう。ターンの繊細さが損なわれる代わりに”伸び”で有利な戦いが可能となります。
とはいえ、チルト角度「-0.5度 or 0度の違い」は微妙な差。乗り心地は若干異なるものの、そこまで大きな影響とはならないでしょう。



単騎ダッシュの艇のみ0度だった場合、一撃まくりを一考する必要あり。その選手が格上であれば要注意です。
チルト1~3度は何かが起きるかも
よほど天候が悪くない限り、チルトを1度以上にしている選手は「アウト屋」ぐらい。
仮にアウト屋が番組表にいる場合は、波乱も含めた展開予想をおすすめします。ただし、以下のことは絶対にお忘れなく。
- 競艇は「6コースが最も不利」である
- あなたが思っている以上に”アウト屋を好きな競艇ファン”は多い
人気があるアウト屋とはいえ、さすがちょっと売れすぎじゃないか?そう感じるレースは多々あります。
オッズが偏っている場合は「高配当狙う or 見送る」か。状況に応じた判断が求められます。まぁ、自信がないレースは見が一番ですよw



チルトを2~3度にしている選手がいる場合、万舟狙いする穴党には大チャンス!オッズと相談しながら一撃を狙っちゃいましょう。


【注意】江戸川競艇のチルト角度は例外
全国24ある競艇場の中で「江戸川競艇」のみ、一般的なチルト角度の常識が通用しません。
主流の「チルト-0.5度」に調整する選手も多いですが、他では滅多に見かけない「0度~2度」もよく見かけます。なぜ、このような現象が起こるのか?
まず、江戸川競艇の特徴をご覧ください。
- SG選手でもスタートを置きにいくほど難しい
- 2コース以外の差しが決まりにくい
- 24場で抜きの成功率が最も高い
上記のようになってしまう原因は「強風で水面が荒れている」から。
大荒れの水面状態で接水面の大きい「-0.5度」だと、影響をモロに受けてしまい、スタートを合わせるのは至難の業。
また、2コース以外の差しが決まりにくく、内側が伸びないのは明らか。逆に、大外をまわした艇がバックストレッチなどで抜くシーンをよく見かけます。
以上の特徴をまとめると、チルト角度(-0.5度)で出足を求めるより、ターン後の伸びを重視した角度(0度~1.5度)が有利だと推測できます。
それと、静水面だと-0.5度の方が安定感は増しますが、江戸川ほどの波高にはその常識が通用しないようです。
接水面積がより少ない(チルトをはねた)方が、総合的に判断して有利に働くのかもしれません。



いずれにしても、江戸川を攻略するのはほぼ無理(笑)ココでプラス収支の人を見たことがありません。


チルトをはねている選手や参考動画
実際にチルトをはねて走っている選手と、実際のレース映像を合わせて紹介します。
チルトをはねている代表的な競艇選手
阿波勝哉(アワカツヤ)
公式画像 | ![]() ![]() |
選手名 | 阿波勝哉 |
生年月日 | 1973年4月18日 |
最高級別 | A1級 |
所属支部 | 東京支部 |
優勝回数 | 19回(一般) |
アウト屋のレジェンド「阿波勝哉」。
全盛期の頃は、最大角度(チルト3度)に調整するのが日常でした。しかし、もちペラ制度の廃止、出力低減モーターに変更されて以降は苦戦が続いています。現在は「0.5~1度」の調整が多め。


菅章哉(スガフミヤ)
公式画像 | ![]() ![]() |
選手名 | 菅章哉 |
生年月日 | 1988年7月2日 |
最高級別 | A1級 |
所属支部 | 徳島支部 |
優勝回数 | 19回(一般・G3) |
チルト3度で勝ちまくっていた「菅章哉(スガフミヤ)」。
おそらく、ボートレース界でアワカツの次にチルト3度を極めていた選手であり、G1競争でも2連勝するほどの実力者。
ただ、ここ最近はあまりチルトを跳ねていないようです。-0.5度にした方が成績は安定しやすいので、仕方ない決断なのかもしれませんね。


和田兼輔(ワダケンスケ)
公式画像 | ![]() ![]() |
選手名 | 和田兼輔 |
生年月日 | 1986年12月28日 |
最高級別 | A1級 |
所属支部 | 兵庫支部 |
優勝回数 | 14回(一般・G3) |
インコースでもチルト0度を貫く「和田兼輔」。10年以上前に選手生命に関わる怪我から復帰し、2017年には通産500勝を飾っています。
堀之内紀代子(ホリノウチキヨコ)
公式画像 | ![]() ![]() |
選手名 | 堀之内紀代子 |
生年月日 | 1979年9月9日 |
最高級別 | A1級 |
所属支部 | 岡山支部 |
優勝回数 | 9回(一般・G3) |
チルト3度で話題の「堀之内紀代子」。
2022年9月の蒲郡一般戦では、全レース”チルト3度”に調整。しかも、1着5回、2着4回と好成績を残してしまう実力者。お世辞抜きで、女子No.1のまくり屋だと思いますw
直近の調子を継続できれば、間違いなく重賞レースで実績を残すはず。今後の活躍から目が離せません!


チルト3度がよく分かるYouTube動画
上の動画を視聴すれば、チルト3度についてかなり詳しくなれます。
下の動画は、阿波勝哉が「チルト3度&6コース」から9連勝した動画。他にも検索すればいろいろあるので、時間があればぜひ探されてください。
まとめ
意外と理解しているようでしていない「チルト」。
中級者以上の方であればしっかりと確認するでしょうが、競艇初心者だと気にも留めなかったのでは?
チルト角度によってレースに与える影響を理解しておけば、今より確実に精度の高い予想をできるようになります。
もし、解説した内容で分からないことがあった場合は、この記事のコメントに質問を残してください。気づき次第、回答させていただきます。
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