2024年9月現在、SG・G1・G2優勝戦&準優でフライングした選手たち。
- 2月9日:岩瀬裕亮
- 4月8日:桐生順平
- 4月8日:守屋美穂
- 4月8日:松尾拓
- 4月20日:服部幸男
- 5月11日:戸敷晃美
- 5月11日:香川素子
- 5月11日:米丸乃絵
- 5月11日:土屋南
- 5月18日:栗城匠
- 5月18日:片橋幸貴
- 5月25日:守屋美穂
- 9月6日:柴田光
30日間以上の斡旋停止と、グレード開催に「最短6ヵ月~最長24ヵ月」出場できない。
競艇でフライングした場合、その選手が含まれる舟券は全額返還されます。なので、投票したファンとしては「何やってんだよ!」程度で済む話。
ただ、選手にとっては「厳しすぎる罰則」が待ち受けています。
「あの選手はF2だからスタートいけないでしょ」などと聞くのはそのせい。
F1ならそこまで影響はないでしょうが、F2となると後がなくなる。3回目のフライングをするとレースに呼ばれなくなり、F4は事実上の引退となります。
罰則内容については詳しく説明していきますが、これだけは覚えておいてください。「フライングは選手生命に関わる」ということ。
罰則を知っておくと、F持ちの選手がいた時の予想がしやすくなるはず。また、以下の基本的なルールも参考になるのでぜひ!
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競艇のフライングや出遅れについて
競艇のことを全く知らない初心者さんのために、フライングや出遅れについて少しだけ説明しておきます。
競艇はフライングスタート方式
競艇は公営ギャンブルの中で唯一「フライングスタート方式」が採用されています。
フライングスタート方式とは、各競艇場に設置された大時計(上記画像)が0~1秒を指した間に通過するもの。
0秒より早くスタートした場合は「フライング(F)」、1秒以上遅れた場合は「出遅れ(L)」となり、選手には重たいペナルティが課されます。
では、罰則があるのになぜフライングしてしまうのか?
その理由は、限りなく0秒に近いスタートをした方が、その後のレース展開を優位に運ぶことができるからです。
競艇というのは、1周1マークで勝敗が決するといっても過言ではありません。
その為、他の艇より少しでも早いスタートをし、できるだけ有利な展開に持ち込むことを心掛けているのです。
フライング・出遅れの舟券は全額返還
フライングまたは出遅れが発生した場合は、その艇を含んだ舟券は全額返還されます。
フライングで欠場扱いとなると投票額が大きく減少するので、再計算されたオッズは極端に下がることもあります。
以下は過去に起きた実際のレース。ボートレースの最高峰でもあるSGの優勝戦において、断トツ人気の1,2号艇がフライングする大事故が起きました。
同レースの売上は26億円超え。しかも、舟券の92.8%に1号艇西島、2号艇熊谷が含まれていたため、24億円以上の売上が返還される事態に。
ちなみに、この返還額は現在も「過去最高返還額」として受け継がれています。
施行者にとって売上は投票されたお金のみ。選手への賞金をはじめ、諸々の経費に多額の予算が必要なので、フライングによる返還は絶対に許されない行為。そして、競艇ユーザーにとってもメリットはほぼありません。
絶対に当たらない展開の時は、たまにラッキーと思うこともあるけど…
フライングした選手への罰則・罰金
フライングをした際の罰則を紹介します。スタートに大きく関わってくることなので、F持ちの選手がいた場合は参考にした方がいいかも。
予選でフライングすると賞典除外
予選でフライングした場合、その節は「賞典除外」となります。また、準優勝戦の前日にフライングすると、仮に準優で良い成績を残したとしても選抜戦には乗れません。
SG・G1の優勝戦&準優勝戦はさらに重たい
一般戦でフライングをした場合は、F休みさえ消化すれば通常通りレースに参戦できます。
対して「SG・G1・G2の優勝戦および準優勝戦」でフライングした場合、選手にとって残酷すぎる罰則が待ち受けています。
罰則内容 | |
---|---|
G1 G2 |
|
SG |
|
SG・G1の罰則がより重たい理由は、一般戦と比較して桁違いの売上だから。
優勝戦ともなると1レースあたり10億円を超えてくるので、スタート事故による損害の大きさを反映しているのでしょう。
SG優勝戦・準優のフライング返還額
開催日 | レース | F選手 返還額 |
---|---|---|
2024.5 | オールスター 準優勝戦 | ②守屋美穂 1億8925万円 |
2023.5 | オールスター 準優勝戦 | ③下條雄太郎 2億88万円 |
2022.12 | グランプリ トライアル2 | ①山口剛 ④丸野一樹 5億6122万円 |
2022.8 | メモリアル 優勝戦 | ③新田雄史 ④白井英治 13億4993万円 |
2022.7 | オーシャンC 準優勝戦 | ③徳増秀樹 2億583万円 |
2022.6 | グラチャン 準優勝戦 | ①秦英悟 7億1500万円 |
2019.8 | メモリアル 準優勝戦 | ①峰竜太 ③篠崎仁志 ④吉田拡郎 5億1823万円 |
2019.6 | グラチャン 準優勝戦 | ①白井英治 ③新田雄史 2億9628万円 |
SG優勝戦・準優勝戦ともなると、フライングによる返還額は軽く億超え。施行者からすればとんでもない額の損失をこうむります。
参考までに、競艇界の史上最高額の返還額は41億円。
フライングではありませんが、2021年グランプリ優勝戦で4艇アクシデント。3連単不成立となってしまい、売上の96%にあたる41億円が返還となりました。
返還額が10億円超えのレース
SG・G1の優勝戦で起きた「10億円超えのフライング」を2レース紹介します。
SGボートレースメモリアル(2022年8月28日)
2022年8月28日に開催された「第68回ボートレースメモリアル」の優勝戦。
圧倒的な強さで勝ち上がった「菊地孝平」のイン戦。よほどのことがない限り菊地のイン逃げで決着すると予想されましたが、センター2艇(新田雄史・白井英治)がまさかのフライング。
1マークで飲み込まれた菊地はイン逃げできず、展開に恵まれた「片岡雅裕」が優勝する波乱の決着に。
そして、人気2艇のフライングにより、売上の81.4%にあたる「13憶4,993万円」が返還となりました。
実はこのレース、展示の時は穏やかな風だったのが、本番になって向かい風5mの強風と気象が大きく急変していたのです。
菊地孝平がスタートで若干出遅れたこと、そして新田・白井の両名がFを切ったのもこの気象変化が大きく関係していると思われます。
G1レディースチャンピオン(2022年8月7日)
2022年8月7日に開催された「第36回レディースチャンピオン」の優勝戦。
このレースの主役はもちろん「實森美祐」。未だ優勝経験がない状態で、初日から圧巻の走りを魅せて「112121」の好成績で優勝戦1号艇を獲得。
女子トップの「大山千広・平山智加」といった選手はいたものの、準優までの實森を見れば優勝は間違いない!そう思っていた矢先…即日帰郷となる”非常識なフライング”を犯してしまいます。
このFにより、売上の約86%にあたる「10憶2,032万円」が返還。
優勝が懸かるプレッシャーは半端なかったはず。それに加え、平山の強引な前づけ。展示とは違ったスタートだったことも合わせられなかった要因の1つでしょう。
最近推しの女子レーサーだっただけにとても残念な結果です。ただ、実力は申し分ないので、復帰後の活躍を期待したいと思います!
斡旋停止(フライング休み)
フライングや出遅れをしてしまうと「斡旋停止」となり、レースに呼ばれなくなる罰則があります。回数を重ねるごとに停止期間は加算されていき、最長(4回目)で360日もの期間が停止されます。
回数による斡旋停止期間
- 1回目:30日間
- 2回目:60日加算
- 3回目:90日加算
- 4回目:180日加算
停止期間が長いとレースに出場できず、A1級だった選手がB2級まで落ちてしまうことは多々あります。
直近だと長期欠場となった「峰竜太」。艇界のスーパースターがまさかのB1級に降格。
当然、賞金の少ないレースから再スタートしなくてはいけないので、華やかだった生活が一転する選手も多いです。
競艇選手の稼ぎは賞金がメイン。出場できなければ無収入となり、停止期間が明けるまでは「日雇いのアルバイト」などで生計を立てるしかありません。
「競艇選手ってめちゃくちゃ稼いでいる」とネットでは良く見かけますが、日々、無職と隣り合わせの戦いをしている厳しい世界なのです。
アワカツ(阿波勝哉)のバイト話は有名ですよね!アウト屋のレジェンドを知らない方はぜひ。
フライングの罰金はあるのか?
「フライングをすると罰則があるのは知ってるけど、罰金って聞いたことないなぁ」
おそらく半数以上はこのような認識でしょう。それもそのはず、罰金についてほぼ語られておらず、罰則のみと感じてしまうのは仕方のないこと。ただ、結論からお伝えすると…
フライング罰金はあります。罰金額は以下の通り。
- フライング1回目:6万円
- フライング2回目:10万円
- フライング3回目:10万円
え、これだけ?と感じたかもしれません。正直、はじめて知った時は私も同様の感情を抱きました。しかし、罰金以上に面倒な罰が待っているのです。
それは「碧南訓練所(愛知県)で2泊3日の訓練」。
1度目のFから90日以内にFを犯すと、強制的に訓練所行き。交通費は罰金に含まれているものの、従来線を使った金額のみ。それ以外の交通機関は実費とり、罰金以上のお金が消えていくケースも。
このことについて元ボートレーサー「岡悠平」さんが詳しく話しています。
実際に体験した選手曰く、お金より「時間や労力」を費やす方が辛いようです。
余談ですが、岡悠平元は2021年12月に桐生で走ったのを最後に、現役を引退しています。4期通算勝率の基準を超えられなかったことが原因と思われます。
非常識なフライングの即日帰郷は廃止。F休みの日数増加へ
スタートタイミングが0.05秒以上早いフライングを「非常識なフライング」と呼びます。
当然、通常のフライングより罰則は重く、1度でも犯すと即日帰郷。でしたが、このルールは2022年5月1日に変更され、現在は以下のルールが採用されています。
原則、即日帰郷の処分とする。
原則、即日帰郷の処分を廃止し、従前のスタート事故による出場辞退期間に、5日間の出場辞退日数を加算する。
要は、非常識なフライングを犯しても、F休みが通常より少し伸びるだけ。出場選手が足りないケースが多々あったことで、上記の改正が行われたのかもしれません。
ちなみに、非常識なフライングの画像があったので載せておきますね。
下から二番目が「即日帰郷」となった選手です。これくらいのフライングでも「非常識」となってしまうボートレース。これを毎日やってる選手の皆さん、ほんと尊敬しますw
フライング4回は引退勧告
フライングを4回してしまうと360日の斡旋停止となりますが、それに加えて「引退勧告」がなされます。
言葉の通り”勧告”なので強制ではなく、引退するかは選手自身が決めること。しかし、そんな選手を呼んでくれる施行者は少ないので、事実上引退に追い込まれるでしょう。
ただ、私が競艇をはじめて約20年、これまでフライングを4回した選手は見たことがありません。
2回フライングした時点で出場する機会はほぼなくなりますし、3回でも引退を考える罰則が待っています。
そうした状況の中、F3で戦線離脱してから復活したA1級のトップレーサーもいます。
F3で引退?と思いきや復活した日高逸子選手
女子のトップレーサーとして活躍していた日高逸子選手が、まさかの非常識なフライングを含むF3で150日のフライング休み(1本は消化済)。
- 2020年5月 若松競艇(+.07)
- 2020年7月 蒲郡競艇(+.01)
- 2020年9月 福岡競艇(+.01)
若松のFはリアルタイムで観戦していましたが、スタートを得意としている選手だけにビックリしたのを覚えています。しかも、そこから2回もフライングを重ねてしまい、11月に出場予定だったG2は除外に。
B2降格が決定し、還暦を迎える年齢もあって「さすがに引退かな?」と思っていところ…
2021年2月17日、鳴門競艇で復活。
大好きな選手のひとり。再びA1級に昇格するのは至難の業でしょうが、陰ながら応援させていただきます
競艇の事故点・事故率とは?
競艇を少しやったことがあるなら一度は耳にしたであろう「事故点・事故率」というワード。
選手にとってもファンにとっても大切なデータとなるので、理解していない方はこの機会に覚えておきましょう。
反則別の事故点
反則内容 | 加算される事故点 |
---|---|
優勝戦でのFL | -30点 |
優勝戦以外でのFL | -20点 |
妨害失格 | -15点 |
選手責任の失格・欠場 | -10点 |
選手責任外の失格・欠場 | -0点 |
不良走行・待機行動違反 | -2点 |
フライングおよび出遅れをすると20点、優勝戦だと30点もの事故点が加算されます。
他には、妨害失格が15点、転覆や落水などの選手責任の失格・欠場が10点、不良走行・待機行動違反が2点となりますが、選手に責任はないと判断された失格・欠場の場合は事故点が加算されません。
事故率の計算方法
加算された事故点は「事故率」として以下の計算方法で算出されます。
この事故率は「級別審査」にも影響します。仮に対象となる期間内の事故率が0.7以上だった場合、どれだけ成績が良くてもB2級へ降格となってしまいます。
級別審査の対象となるのは「勝率・複勝率・事故率」の3つ。B1級以上になるには事故率が0.7より低いことが絶対条件です。
級別審査の期間(事故点のリセット)
期別 | 時期 |
---|---|
前期 | 5月1日~10月31日 |
後期 | 11月1日~4月30日 |
級別は上位になるほど賞金の高いレースに出場でき、選手たちの収入に大きく影響してくるもの。その為、審査期間の最終月である「4月・10月」はいつも以上に熱い戦いとなります。
また、累積した事故点がリセットされるのは、前期(5月1日~10月31日)が始まる5月1日と、後期(11月1日~4月30日)が始まる11月1日。
この日になるとフライング(F)や出遅れ(L)といった表記は消え、さらには累積された事故点はリセットされます。
一点だけ注意してほしいのは、リセットされる直前にフライングなどをしてしまったケース。
5月・11月に表記上は「F0・L0」となりますが、実際はペナルティを消化せず新期に移行していることも。
これを「隠れF」と呼びますが、意外と見落としがちなので注意が必要。リセットされた新しい期の場合は、移行する前のデータを合わせて確認しましょう。
まとめ
フライングなどの罰則を知ると、いかにボートレーサーという競技が大変かご理解いただけたはず。
ちょっとした気のゆるみで即日帰郷させられたり、A1級の華やかな舞台から「地獄の生活の始まり」と呼ばれるB2級へ降格することもあります。
ただ、反則するとそれだけ厳しい末路が待っていることを知れば、F持ちの選手がどう動くのか?無知な人より精度の高い予想ができると思います。
最後に、競艇というギャンブルは知識があればあるほど勝率がアップします。当サイトには役立つ情報が沢山あるので、勝ち組になりたいならぜひご覧ください!
※フライングを含めた違反については以下をご覧ください。
コメントお待ちしてます!
コメント一覧 (2件)
完走手当てを上げて安全航走に勤めて欲しい。
今検討されてるように
フライングを大幅に緩和する制度が早く成立してほしい