競艇は成績によって選手のランクや待遇が決まるスポーツ。そして、選手の実力に応じた定期的な格付けのことを競艇界で「級別審査」と呼びます。
良い結果を出し続ければランクを昇格でき、賞金の高いレースの出場権を獲得できます。しかし、成績不振に陥るとランクは下がり、高年収と言われている生活を送ることができません。
要は選手生命に関わる最も大切な審査。
そこで今回は、級別審査について基礎的なことから、審査時期の予想方法など、知っておきたい情報をまとめて紹介します。
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級別審査とは?
級別審査とは、選手の実力に応じたランク付けをする仕組みのこと。
選手が出られるレースの数や種類は成績によって変わることになりますが、ファンや競艇場に対しては実力差の少ない白熱したレースが増えるメリットも生まれます。
級別審査は実力主義によるランク分け
級別審査は全国各支部にいるすべてのボートレーサーが対象であり、現在の級別は上から「A1、A2、B1、B2」の4種類です。
成績が良い選手にはより多くの出走機会が与えられ、高額賞金のレースに出ることも可能。また、良い結果を出せばランクが上がり、賞金を稼ぎやすくなるので、選手の出世に対するモチベーションも大きくなるわけです。
さらに、なるべく実力の近い選手同士で競い合わせる狙いもあります。
実力差の大きいレースばかりではつまらないうえ、競艇本来の魅力も損なってしまいかねません。級別という枠組みを基本に、出場選手のレベルを段階的に差別化することが必要となるのです。
級別審査の基準は「勝率」
級別審査は一般財団法人日本モーターボート競走会が定める「選手級別決定基準」に沿って実施されます。そして、級別を決定する基準となるのが「勝率」となります。
競艇における勝率の定義は他のスポーツと異なり、レースごとに与えられる「着順点」をベースに算出します。
グレード別の着順点は以下の表の通りです。なお各開催の予選突破ボーダーを争う得点とは別に計算されるものとなります。
勝率の算出方法は「着順点の合計÷出走回数」。
例として、審査期間中の着順点合計が630点で出走回数が90回とすれば、630÷90=【7.00】が勝率となります。



級別審査の期間は6ヵ月
級別審査の基準となる勝率の集計期間は6ヵ月。つまり、各選手の級別は半年に1度のペースで見直されます。
- 前期の審査期間は6月~11月
- 後期の審査期間は12月~翌年5月
一見中途半端な時期にも見えますが、翌日からすぐ新しい級別とはいかない事情があってのルールとなります。
それは審査終了後の成績確認期間(7日間)と、選手出場あっせん委員会を挟んで正式な級別が決定すること、そしてすでに入っているあっせんをすべて消化する必要もあるからです。
その為、新級別の適用は審査終了から2ヵ月後となる「1月1日」と「7月1日」。
新しい級別のスタートをキリのいい日付とするために、審査期間が2ヵ月前倒しされているという解釈で覚えておきましょう。
級別審査の条件やルール
約1600人にいるボートレーサーがどのような基準でランク分けされているのか?各級にはどれだけの人数がいるのか?既定の中にはあまり知られていない細かなルールもあったりします。
ここからは級別審査の具体的な中身について解説していきます。
規定による級別の概要と定員
競艇における4つの級別(A1、A2、B1、B2)には、それぞれ定員と昇級(残留)の基準が設けられています。詳しくは以下の図の通り。
最上位となるA1級で走れるのは全体の2割。A2級と合わせて4割がA級レーサーとなります。
B2級には定員がなく、勝率が低い選手に加えて事故率など何らかの不良項目があった選手もここに含まれます。また、A1、A2、B1の各級には「最低出走回数」の義務があり、下回った場合にはランクが降格。
例えば、A1級相当の勝率であったとしても出走回数が90回に届かなかった場合、次の期はA1級で走ることができません。
過去の級別在籍選手数と勝率ボーダー
A1 | A2 | B1 | B2 | |
2022年後期 | 362人 (6.22) |
328人 (5.46) |
789人 (2.00) |
163 |
2022年前期 | 325人 (6.20) |
323人 (5.35) |
761人 (2.03) |
198 |
2021年後期 | 322人 (6.20) |
320人 (5.43) |
792人 (2.00) |
164 |
2021年前期 | 322人 (6.23) |
322人 (5.37) |
791人 (2.02) |
163 |
2020年後期 | 323人 (6.20) |
323人 (5.41) |
776人 (2.02) |
178 |
2020年前期 | 325人 (6.20) |
324人 (5.35) |
773人 (2.00) |
188 |
過去の各級選手数と勝率のボーダーは上記の通り。
ここしばらくは、A1級が6.20前後、A2級が5.40前後のボーダーで推移しています。また、勝率2.00以上が必須条件となるB1級については、定員の50%(約800人)に達することが稀であり、多くの期で定員割れが発生している状況です。
A1級、A2級には「連対ノルマ」も
A1級とA2級のみ、勝率、出走回数と合わせて連対率のノルマもあります。
「2連対率30%以上」ならびに「3連対率40%以上」という条件となり、達成できない場合には他の条件に関わらずB1級に落とされてしまいます。
ただ、ノルマを超える水準の成績を残さなければ、A1・A2のボーダーに達することは現実的に難しくなります。A2級以上の昇格、残留をめぐる争いは、基本的に勝率を追っていくことで問題ないケースがほとんどのようです。
B1級の連対ノルマは2016年に撤廃
連対率のノルマはかつてB1級にも。条件は「2連対率10%以上」ならびに「3連対率20%以上」となっており、クリアできなければ勝率が良くてもB1級に上がれないルールでした。
しかし、このノルマは特にキャリアの浅い若手にとって厳しいものとなり、勝率2.00を上回っても2連対率不足でB1昇級を逃がすレーサーが続出。これによってB2級の選手が増えてしまう結果に…。
レースへのあっせんや若手選手の育成に支障が出かねない状況に陥ったため、2016年前期の審査をもってB1級の2連対ノルマは撤廃されています。
他の公営競技における審査内容の比較
競艇に限らず、競輪やオートレースでも選手の成績を審査するシステムが導入されています。もちろん、それぞれに明確なランク付けがあり、階級によって出られるレースや賞金などの待遇もそれぞれ違ってきます。
各競技の審査概要がこちら。
競艇は「級」単位ですが、競輪はS級1班のように「級班」の単位、オートレースは「級」に加えて順位も付くので、最高ランクはS級1位となります。
また、競輪については1年後の級班を決める審査となるため、実際の昇級昇班までには時間が掛かります。
その為、実力の突出した選手が早く上のクラスに上がれるよう、3場所連続完全優勝での特昇やレインボーカップ(3着以内で翌日から昇級・昇班)など、一足飛びに出世できる制度が用意されています。
級別(A1・A2・B1・B2)による待遇の違い
級別審査は選手の強さをランク付けするためだけに行われるものではありません。与えられた級別はボートレース界における地位を表し、選手としての扱いや待遇にも差が生まれるものとなります。
ここでは出走できるレースや気になる収入など、級別ごとにどれだけの差があるのか解説していきます。
級別のあっせん回数
A1級 | A2級 | B1級 | B2級 |
月3節 (月27走前後) |
月2節 (月18走前後) |
月1節 (月9走前後) |
各級によるあっせん回数の違いから。出走回数は開催日数や選手のあっせん状況によって異なりますが、平均して1節あたり9走前後となります。
上記はフライング休みなどあっせん取り消しがない場合の、あくまで目安です。日程の関係で前後する場合もありますが、B2級でも選手自身の拒否がない限り、最低月1節のあっせんが保証されています。
女子レーサーのあっせん数は増加傾向
先ほどのあっせん数目安ですが、女子レーサーにおいては近年ちょっとした変化が見られています。
従来のオール女子戦(オールレディース、ヴィーナスシリーズ)に加えて、男女W優勝戦の開催も増加。選手が足りない場合はB1級以下の選手が呼ばれることも多くなっています。
もともと女子選手は全体で約250名しかいないので、最近ではキャリアの浅いB2級の女子レーサーでも月2節のあっせんを受けられているケースが増えているようです。
固定ファンが多いオール女子戦は売上、集客ともに期待の大きい魅力ある開催。ある女子のトップレーサーは月4節のあっせんを受け、前検日も含めて1ヵ月ほぼ休みなく各地を飛び回ったという話もあります。
いずれにせよ、ファンや競艇場からの女子戦に対する需要が高いのは喜ばしいこと!
若手の女子レーサーにとっても、より多くの実戦が積めて収入アップにもつながる「恵まれた時代」と言えるかもしれません。



級別のSG、G1、G2出場について
A1級 | A2級 | B1級 | B2級 | |
SG出場 | 〇 | △ | △ | △ |
G1・G2出場 | ◎ | 〇 | △ | × |
まず、最高峰のレース「SG」については、最大でも52選手しか出られない狭き門。
A1級にいるというだけで出場権が転がり込むものではなく、A1級の中でも特に実績(あるいは人気)の高い選手だけが上がれる舞台となります。
ただし、A2級以下であってもSGに出場できるケースがあります。
代表的なレースはA1級の縛りがない「クラシック」。マスターズチャンピオンやレディースチャンピオンの優勝者、一般戦で優勝回数を稼いだ選手などがA2級で出場した例も多数あります。
また、前年のグランプリ決定戦出場者など”優先出場権”を持っている選手が、SG除外の処分を受けていない状態でA2級以下にランクを落とした場合も該当するので、理論上はB2級レーサーのSG出場も不可能ではありません。
G1、G2の出場は、A2級で出場できる可能性が増えます。最もチャンスが大きいのは2月に行われる地区選手権。
地区内にA1級レーサーが少ない場合、補充としてあっせんされる例は非常に多くなっています。女子選手だとG2レディースオールスターが狙い目。
ちなみに、2022年大会には14名のB1級レーサーが出場しています。
級別の平均年収
あっせんや待遇にそれぞれの差がある中で、平均年収には各級でどれだけの違いが生まれているのか?ボートレーサー全体の平均年収が約1700万円であることを理解したうえで、以下の年収をご覧ください。
- A1級~約3,000万円
- A2級~約1,800万円
- B1級~約1,100万円
- B2級~約500万円
競艇はSGやG1を勝てば収入が大きく跳ね上がる世界。
トップレーサーともなれば年間1億円を超えてきます。ただ、A1級の平均が約3,000万円ということは、A1級下位になればA2級とそれほど変わらない年収になっていることが想像できます。
わずか320名ほどしかいないA1級でも、収入にはピンからキリまでの差があることが分かります。
一方、B2級が収入面で過酷な状況にあるかも数字に表れています。B1級に上がるだけで平均年収が約2倍となるので、B2級の選手が昇給を望む気持ちは凄いでしょうね。
特例優遇される「トップルーキー」「フレッシュルーキー」
競艇では上記の級別を超えた特例措置も用意されています。
将来的な育成の観点から、有望な若手レーサーの出走機会を増やす「スター候補選手」と呼ばれる強化・育成プロジェクト。選ばれれば特別な講習や訓練を受けることができ、あっせん面でも優遇されます。
登録6年以内のA1級レーサーから選ばれる「トップルーキー」の中には、2022年5月のSGオールスターで見事準優に進出した「實森美祐」選手(119期)も含まれています。
そして、各競艇場から選出される「フレッシュルーキー」も、地元水面への優先的なあっせん措置の特典が与えられ、2022年は「羽野直也」選手の弟・羽野諒選手などが選ばれています。
年2回の「競艇界の一番長い日」
ボートレースの級別審査は半年単位で行われるため、審査期間の最終日となる「期末」は年2回来ることになります。
来期の処遇が決まる大切な1日になることから、前期・後期の期末である4月30日、10月31日は「ボートレース界の一番長い1日」と呼ばれるようになりました。
審査最終日まで変動する「ボーダー勝率」
ボーダー勝率の決定方法は、A1級が「勝率上位320位タイまで」、A2級が「A1級に決まった選手を除く勝率上位320位タイまで」となります。
上から数えて320番目の勝率と同じ選手は、他の条件に関係なく全員がボーダーより上として扱われます。
上から320番目に位置する選手の勝率がボーダー分けの基準となり、当落線上にいるレーサーたちはこの基準を目指して期末まで戦います。
当然、このボーダーが0.01でも変われば、その前後にいる選手たちの運命にも大きく影響が出てくるので、期末はレースがない選手も相手待ちの状況で行方を見守ることになるのです。
競艇は悪天候による中止などがない限り、1年365日開催があります。15ヵ所以上の競艇場でレースが行われる日もあり、多くの選手が期末となる日にも1~2レースを走ります。
最終的な勝率ボーダーは期末日の午後以降に確定するのが通例。A1級、A2級それぞれ30~40人程度の選手がボーダーライン突破をめぐる戦いに絡んできます。
昇級、残留を懸けた勝負がけ
期末となる日にレースがあるボーダーライン上の選手は、A1・A2の昇級や残留を自力で決められる可能性があります。
複数の競艇場でレースが進んでいく中、期末における最終ボーダーの変動や各選手の動向も分単位で刻々と変わっていきます。
時間が深くなればそれぞれの最終ボーダーも固まってくるため、ナイターやミッドナイトを走る選手にとっては「○着条件でA1級キープ」といった明確な勝負がけのレースとなるケースも少なくありません。
特にデビュー初のA1昇級が懸かる選手や、何年にも渡ってA1級を守り続けている選手の勝負がけとなれば、普段とは違った意気込みでレースに挑んでいるはず。
事前にその情報がつかめていれば「舟券予想に役立つ有利な材料」となるので、ネットやCS放送での直前情報もチェックが欠かせません。
クビ宣告の基準となる「四期通算勝率」
公にはされない部分となりますが、成績最下位レベルの選手に対する処遇が決まる場合もあります。
最も大きなペナルティは「四期通算勝率」による引退勧告。
登録選手数が1600名を超えている場合、四期通算勝率が3.80未満の選手のうち、最下位の選手から超過分となる人数がクビの対象
選手会内では向上化ルールとも呼ばれている新陳代謝制度となります。
デビューから3年以内の選手に限っては、四期通算勝率の適用外となります。さらに、半年間で50走に到達していない期は単独でカウントされず、次の期と合わせて計算されるルールもあります。
「49走止め」と呼ばれる出走回数の調整がこれに該当し、成績不振の選手が一時的に引退勧告を逃れる(理論上は最大8期まで引き延ばしが可能)ケースです。
いきなりB2転落となるペナルティ
実力的にはA1級であるはずの選手が、期が変わって最下位ランクとなるB2級に転落することも。当面のあっせんは一般開催に限られ、SGやG1にも原則出場できないため、大幅な収入減も免れない事態となってしまいます。
もちろん、B2転落には正式なルールがあり、前述した級別条件の通り「出走回数と事故率」への抵触が関係しています。
フライング休みなどによる出走回数不足
級別が下がってしまう最も多い要因がフライングなどのスタート事故です。
選責のFは1本目30日、2本目60日、3本目90日の罰休となり、非常識なFの場合にはさらに罰則日数が追加されます。
休みが増えることで懸念されるのは、各級の維持に必要な最低出走回数(A1級90走、A2級70走、B1級50走)の確保。F2までなら降格の回避は可能ですが、180日休みとなるF3は期間50走すらも絶望的となってしまいます。
B2に落とされるのはフライングを連発したからではなく、長期のフライング休みによって必要な出走回数を満たすことができなくなったことが直接の理由となるのです。
違反の累積による事故率オーバー
B2転落の要因として、度重なる失格や違反による事故率オーバーも多く見られます。
審査期間の事故率が0.70を超えた場合、成績に関わらずB2に落とされてしまう「事故パン」とも呼ばれるペナルティが課せられます。
事故率の算出方法ですが、基準となるのは「事故点」です。
フライング・出遅れ | 20点(優勝戦の場合は30点) |
妨害失格 | 15点 |
転覆、落水、沈没、不完走による失格 | 10点 |
欠場 | 10点 |
待機行動違反 | 2点 |
不良航法 | 2点 |
事故率の計算式は「事故点合計 ÷ 出走回数」。
B2陥落となる事故率は0.70以上となるため、期間90走の選手は事故点合計を62点まで(62÷90=0.688)に抑えなければいけない計算となります。
加えて、期間の事故率が1.00になってしまうと「8項抵触」というさらに重いペナルティ(6ヵ月あっせん停止)も待っています。
期末が近づくにつれて事故率が高いレーサーだと、スタートやターンで無理に攻められない、あるいは最初から勝負に絡まない「ベタ下り」で完走を重ねる動きも見られます。
ファンにとっては舟券の対象から消しやすい選手となるので、期の終盤には各選手の事故点もチェックをお忘れなく!
産休明け女子レーサーの救済措置
一般社会と同じく、競艇の世界でも女性が働きやすい環境整備が進んでいます。同時に出産・育休を経てレースに復帰する選手に対しても、休養前と同じように活躍できる制度が作られています。
2016年4月より、産休あるいは育休で長期欠場していた女子選手を対象に、復帰後も産休開始前の級別と同等のあっせん日数を半年間適用する特例が制定されました。
復帰後の位置づけはB2級ですが、休養前がA1級であれば同じあっせん(月3節程度)が得られることに。
選手にとっても安心して産休や育休を取得できるだけでなく、復帰後のレース感も取り戻しやすくなるメリットが生まれます。



過去にA1級から転落したトップレーサー
SG、G1で活躍している選手にも、さまざまな理由によってA1級から転落した例があります。ここでは一時期苦悩の日々を経験した(あるいは現在経験している)A1級レーサーを紹介します。
「菅章哉」F3でB2を1年間経験
チルトを大きく跳ね、伸び仕様のプロペラで思い切った攻めを披露する「菅章哉」選手。いよいよ記念制覇へ、というタイミングでまさかの落とし穴が待っていました。
2020年後期・審査期間初日となる2019年11月1日の芦屋G1でいきなりF。その後、戸田の一般戦で優勝したものの、年が明けて2020年2月の丸亀G1で、6コースからの攻めが勇み足となってF2。
さらに、次節の福岡ではイン戦でコンマ03のスリットオーバーとなり、この時点でF3…。未消化の2本目と合わせて150日のフライング休みを強いられてしまいます。
これによって菅選手は2020年後期が事故率オーバー(0.94)のB2。
続く2021年前期もF休みによってわずか3節・23走しかできずに出走回数不足のB2が決定。1年間に渡って満足に走れない日々を過ごすことになりました。
しかし、そこから奮起して2021年後期にはA1へ即復帰。2022年3月の大村クラシックでうれしいSG初出場を果たしています。
「日高逸子」引退も考えたグレートマザー
女子王座決定戦を2回優勝し、2014年にはクイーンズクライマックスを制した「日高逸子」選手。2009年前期から維持し続けてきたA1級を思わぬ形で手離すことになります。
2020年5月の若松でコンマ07の非常識Fを切ると、休み明けとなった7月の蒲郡最終日でイン戦で2本目のフライング。
その後、芦屋のオールレディースで優勝し、多摩川のG1レディースチャンピオンでも準優に進出。F2でも問題ナシかと思われましたが、9月の地元福岡でまさかのF3。
2本目のF休みに入る直前の節で痛すぎる失態を犯してしまいます。
日高選手は結局、2021年前期審査で事故率がわずかにオーバー(7.02)。続く2021年後期も45走までとなり、2期続けてB2級の屈辱となります。
年齢のこともあって引退も考えたという日高選手ですが、諦めることなくA1級への復活を目指すことを決意。女子戦を中心に安定した走りで勝率を上げ、2022年後期に4期ぶりとなるA1級復帰を決めました。
「原田幸哉」2度の転落から這い上がる
2022年の宮島オールスターにて、2年連続となるSG優勝を達成した「原田幸哉」選手。
完全復活をアピールする強さで悲願の賞金王を目指すベテランレーサーですが、過去には2度のB級転落を経験しています。
1度目は、同じ月に2回のフライングを喫してしまった2010年後期。2009年12月に江戸川G1で1本目のFを切った後、その13日後となる住之江のグランプリトライアルでも勇み足。
前期10月分のF休みが未消化だった原田選手は、1月のあっせん終了後に合計120日の戦線離脱。合計60走にとどまってB1級に陥落しました。
2度目は2014年前期。2013年5月に開催された平和島G1の2日目前半に転覆した後、再整備で不注意を犯して整備規程違反(即刻帰郷)を受けてしまいます。
これにより褒賞懲戒審議会で3ヵ月の出場停止処分が下され、4月の児島で切ったF休みと合わせて合計120日出走ができない状況に。結局、審査期間の出走はわずか46回。無念のB2級落ちとなったのです。
とはいえ、B級の一般戦回りとなれば、地力は他のレーサーより1枚も2枚も上となる原田選手。しっかりと結果を残していずれも次の期には問題なくA1級に復帰を果たしています。
「峰竜太」艇界のスーパースターがB級降格
2018、2020年のグランプリ覇者「峰竜太」選手。
現役最強の座は当分変わらないだろうと思われていた中、2021年のグランプリ優勝戦でまさかの転覆失格。ここから調子の歯車が狂い始め、お正月開催でも転覆、戸田G1を途中帰郷と冴えない成績が続いてしまいます。
時を同じくして、2021年秋に自らが主催したゲームイベントで予想屋と接触し、協賛金の受け取りもあったことが関係する「八百長行為の疑い」が発覚。
八百長はなかったものの、峰選手自身の理解不足によってボートレースの信頼を失墜させたことが重く見られ、褒賞懲戒審議会で4ヵ月の出場停止。
2023年8月のメモリアルまでSG出走不可という処分が下されました。
峰選手は2022年2月の大村一般戦を最後に戦線離脱。2022年後期審査の出走は64回までとなり、A2級(70回)の条件も満たせずB1陥落が決定しました。
ちなみに、峰選手は2022年6月30日の唐津一般開催からレースに復帰。新しい級別の適用は7月1日からとなるため、復帰初日(6月30日)だけはA1級として記録が残ります。
まとめ:級別審査は予想にも関係する
競艇の「級別審査」は、学校でいえば通信簿、サラリーマンでいえば給与査定に例えられる重要な評価。
競艇の場合は勝率という数字がすべてとなるため、1レースごとの勝ち負けでレーサー人生が大きく変わってしまうこともあるシビアな現場といえます。
A1級で活躍している選手もいれば、よもやのB級転落、現役を続けられる勝率を維持する戦いが続く選手もいます。厳しい格差社会を象徴しているようにも見えますが、頑張った分だけ評価される仕組みであるともいえます。
過去には長年維持したA級を守れずに引退を決めたレーサーも多数おり、級別審査には選手1人1人のプライドや人間模様を含んだドラマがあるのです。
期末の勝負がけや最終ボーダーの行方などを追いながら、我々ファンも選手の気持ちになって舟券を予想すれば、必ず結果が付いてくるはず!
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