デビュー初勝利や初優勝など、ボートレーサーが節目の1勝を挙げた時に行われる「水神祭(すいじんさい)」。
同期や同支部などの仲間が集まり、競争水面に投げ落とすお祝いを指す専門用語です。
今ではファンの間でもよく知られる習慣ですが、競艇発祥の時期にはなかったこの儀式。始まったきっかけや祝福の方法など、調べてみると興味深い事実が沢山ありました。
そこで今回は、意外と知られていない「競艇の水神祭」について深掘りしていこうと思います。
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競艇の水神祭とは?
競艇初心者にとって「水神祭ってどんなお祭り?」と感じてしまうかも。水神祭がどんな儀式なのか?まずは基礎的なことか解説していきます。
水神祭は「節目の勝利」を挙げた選手へのお祝い
日本では古くから水神様を祀る神社などで水神祭が行われています。
そんな中、競艇における水神祭の主役は「勝利した選手」。それも普通の勝利ではなく、記念すべき節目の勝利に限定されているのです。
競艇も水に関わるスポーツ。選手にとって神聖な場となる水面だからこそ、水神祭の名が付けられたのでしょう。
水神祭の基本は主役を水面に投下
水神祭を象徴する場面は、主役となる選手を総出で担ぎ上げ、競走水面にドボンと投げ落とす瞬間です。
レーサーにとって転覆や落水は縁起の悪いことですが、この水神祭に限っては「ずぶ濡れ上等」で豪快に水の中へ落とされるのが基本。投げ込まれた選手も、投げ込んだ選手も喜びあふれる時間となります。
きっかけは「訓練所の鬼教官」の説が有力
競艇界において当たり前の儀式となっている水神祭。ただ、ルーツについては明確な記録が残っていません。
いつ、誰がどんなきっかけで始めたのか?
ボートレース評論家の桧村賢一氏によると、有力な説として「本栖訓練所(当時)の鬼教官」なる人物を挙げています。
現ボートレーサー養成所が本栖湖にあった1980年代。当時スパルタ指導で有名だった鬼教官が、卒業式で突然自ら訓練水面にダイブ。卒業生たちをお祝いする意味だったようですが、生徒たちも次々と飛び込んで大いに盛り上がったとか。
これが現在の水神祭へと繋がっているのではと推測されています。
最短の水神祭は「今村豊」のデビュー初勝利
記録が残っているうえで、最短の水神祭は「今村豊」のデビュー戦初勝利。
残念ながら2020年10月8日に引退してしまいましたが、現役時代は”艇界のプリンス”と呼ばれ、2020年にはBOATRACE殿堂の第1号に輝いています。
デビュー初勝利も奇跡に近いことですが、その節で優出3着という前代未聞も快挙を達成しています。
水神祭はどんな時に行われる?
ボートレーサーの節目を盛大かつ豪快に祝う水神祭。それだけ価値がある1勝だからこその儀式となりますが、水神祭を迎えるにはどんな条件が必要となるのか?
初勝利を挙げた時
水神祭の機会として最も多いのが「初勝利のお祝い」です。
約1,600名いる全レーサーにとって一生の思い出となるデビュー初1着。他にも、強豪を相手に戦う記念G1やSGといった上位グレードでの初勝利も水神祭の対象となります。
新人レーサーや若手レーサーがメモリアルの1勝目を挙げた際、実況やニュースの見出しにも「水神祭」の言葉が使われます。
初優勝を達成した時
多くのレーサーにとって2度目の水神祭となるのが「デビュー初優勝」を飾った時。
初勝利の次に目標となる初優勝も、達成した選手には水神祭のお祝いが待っています。優勝を決めた後だけに、興奮冷めやらぬまま水神祭に突入するのもよくある光景です。
G1や最高峰のSGで初Vとなれば、無数のフラッシュを浴びながら水面に飛び込むことになります。
区切りの勝利数となった時
デビューからの通算勝利数がキリのいい数字となった時にも節目の水神祭が行われます。
デビュー後にまず目指すのが500勝。それ以降は1000勝、1500勝・・といった感じで、500勝ごとに水神祭の祝福を受けることに。
2022年10月には、東京支部のベテランレーザー石渡鉄兵(通算2000勝)と、山来和人(江戸川通算200勝)の水神祭が、江戸川競艇場にて合同で行われました。
引退時(現役最後のレースを終えた後)
現役生活にピリオドを打った選手にも、お疲れ様の意味を込めて水神祭を行うことがあります。ただし、引退理由によっては行われないこともあり。
水面に飛び込むかどうかは本人の自由ですが、現役40年以上のベテランが後輩に担ぎ上げられ、豪快に落とされる光景も多く見られます。
その他の水神祭
他にもいろんな状況下で行われる水神祭。基本はお祝いの儀式なので、その状況にふさわしい1着であればOKなのかもしれません。過去には以下のようなケースも…
- 自身の誕生日を1着で飾った
- 子どもが生まれた日のレースで1着になった
おめでたい日に勝利した選手をお祝いした例もあるそうです。
例外として、SGであれば2回目以降の優勝でも水神祭を行うケースがほとんど。また、養成所のリーグ戦や修了記念競走で優勝した選手も、水神祭の要領で水面に投げ込むらしい(他サイト情報)。
儀式はありませんが、初出走・初優出なども「水神祭」と呼ばれることがあります。
水神祭の基本ルール
全ての水神祭が同じやり方とは限りません。ただ、いくつか暗黙のルールが存在するので、代表的なことに絞って紹介していきます。
- レース終了後すぐに行われる
- 行う場所はピットか救助艇の上
- 同じ支部や同期選手も一緒に飛び込む
最近はレース終了後すぐに行われることが多い
かつての水神祭は、1日のレースが全て終了した後に行われるのが一般的でした。
しかし、近年はレースが終わってすぐに水神祭を行うパターンが主流。特に2回走りなど後に出場予定がない選手の場合、次レースの展示終了後、すぐさま担ぎ上げられ投げ込まれる光景も珍しくありません。
また、G1初勝利の選手が続出する「ヤングダービー・レディースチャンピオン」においては、数名まとめて水神祭を行うケースもあります。
水神祭を行う場所は「ピットか救助艇の上」
水神祭の直前にはピット内にアナウンスが流れ、参加できる選手と報道カメラマンに集合を促します。通常はピットで水神祭が行われ、大勢の人に投げ込まれるのが一般的な流れ。
競艇場によっては来場したファンを思い、選手たちが救助艇に乗ってスタンド前で水神祭を行うケースも。
主に地元レーサーが優勝あるいは区切りの勝利を挙げた時には、主催者の計らいで公開の水神祭を実施されることが多いです。
同じ支部や同期選手も一緒に飛び込む
選手を大勢で水面に投げ込む水神祭ですが、同じ支部や同期、仲の良いレーサーたちも一緒に飛び込むのが通例です。
中には引っぱられて落ちたり、誰かに背中を押されて道連れになったりすることもしばしば(笑)まぁ、お約束の光景といって良いでしょう。
選手たちが一緒に飛び込むのは、何かあった時のために他のレーサーが助ける意味もあるのだとか。
水神祭を行わないケースも
水神祭はおめでたい儀式とはいえ、本人の意向などで行われない場合もあります。
デビュー初勝利の水神祭をやらないレーサーはさすがにいないものの、ベテランになると飛び込むのを躊躇する割合は高くなるそうです。
それもそのはず。水面に落とされる衝撃や、冬場の水面はまさに罰ゲーム。水神祭を何度も経験している選手は特に、辞退したくなる気持ちは理解できます。
水神祭の投げ落とし方
「いち、にの、さん!」といった合図で選手を水の中に投げ落とす水神祭。選手を担ぎ上げ、投げ落とすフォームにも一定のパターンあり。
ここでは「水神式の所作」とも言える選手の投げ落とし方について触れていきます。
ウルトラマンスタイル
水神祭で最もスタンダードなのは、うつ伏せの状態で担ぎ上げてそのまま水面へと押し出す形。「ウルトラマンスタイル」とも呼ばれています。
落とされる選手は頭から突っ込んでいくことになりますが、押し出す勢いが強すぎて1回転して背中から落ちるケースも。
投げられる側もケガをしないよう、抵抗することなく身をまかせるのがコツらしい。
背面スタイル
ウルトラマンスタイルとは逆に、選手を仰向けにして担ぎ上げるスタイル。いわゆる胴上げのような形にしてそのまま水面に放り投げる流れです。
背面の場合、投げられる選手にとっては水面が見えない状態。さらに、投げる勢いによってはどんな体勢で着水するか分からないので、最もスリルのある投げ方かもしれません。
ケガの影響で「投げない水神祭」を行った例
レアケースとして、水面に投げ落とさない水神祭を行った例も。2021年9月の徳山ヤングダービーでG1初勝利を挙げた吉田凌太朗(愛知)です。
左手を負傷していたため、大事を取って投げ落としを断念。代わりに行ったのは、ピットにある昇降装置に乗ってゆっくり水面に浸かっていく斬新な水神祭でした。
過去にあった独特な水神祭一覧
今でも記憶に残っている水神祭があるので、その中からいくつかピックアップして紹介していきます。
「白石有美」史上最も遅い水神祭
感慨深い初水神祭になった、118期レーサー「白石有美」。
2022年1月の江戸川にて、デビューから5年8ヵ月、492走目という史上最も遅い初勝利を挙げました。
待ちに待った水神祭は救助艇から豪快に1回転で入水。さらにピットに戻ってからも同支部の選手たちに突き落とされ、これまでできなかった水神祭を2回も味わうことに。
白石選手は5月の江戸川でも2勝目を挙げる活躍を魅せており、超遅咲きレーサーの巻き返しを期待するファンも多いようです。
「松下一也」本人拒否で後輩を落とす
静岡支部の91期レーサー「松下一也」。
2022年10月、蒲郡一般開催でデビュー通算1000勝を達成。快挙を祝して水神祭が行われるはずでしたが、ピットに戻ってきた松下選手は…
早々に水神祭を拒否。
いざ水神祭となっても「股関節が悪い」「泳げない」などと理由を並べ、自分が落ちるのを拒み続けます。そして、身代わりとして指名されたのが、同じ静岡支部の後輩となる「藤田靖弘」選手。
結局、代理となった藤田選手が夜の蒲郡水面へダイブ。主役であるはずの松下選手は、なぜか担ぐ側に回って後輩を突き落とす暴挙に出たのですw
陸に上がった藤田選手は松下選手になりきって1000勝の喜びをコメント。思わぬ展開でピット内も大ウケの水神祭となりました。
「西山貴浩」水神祭もやっぱりこの人
いろんな選手の水神祭にやたら絡んでくるレーサーがいます。そう、艇界のエンターテイナーこと「西山貴浩」です。
自身の通算1000勝を芦屋で決めた時には、1人で救助艇に乗り込み、1人で盛り上げて1人で水面に飛び込む「完全1人水神祭」を敢行。
同じ福岡支部レーサーの篠崎仁志選手がSGで1000勝水神祭を挙げた時は、本人よりも先に水面へ飛び込んで見せ場を奪います。
その一方で、後輩選手への優しさを見せた場面もありました。
2020年の平和島SGクラシック最終日で初勝利を挙げた「今井美亜」の水神祭。一回転して投げ落とされる今井と一緒に飛び込んだ西山選手。
今井選手は泳げないため、誰か1人は一緒に飛び込む必要があったのですが、他支部でありながら西山が道連れに名乗りを上げたそうです。
誰からも愛される人間性。支部も卒業期も関係なく、多くのレーサーから信頼されるのは必然でしょうね。
まとめ
今回は競艇の水神祭についてまとめました。
記念すべき1着を盛大に祝福する水神祭ですが、この経験を味わえるのは競艇人生において数えるほど。中にはデビュー後に1勝もできず、1度も水神祭を行わないまま引退するケースもあります。
最後に、水神祭の様子はやはり現地で見るのが一番!未勝利の推しレーサーがいるなら、競艇場へ足を運んで生の声援を送ってあげましょう。大変ですけどw
コメントお待ちしてます!