全国に24箇所存在する競艇場。それぞれに特徴があり、その特徴がレース結果に影響を及ぼすのも競艇の醍醐味です。
今回は、24箇所ある競艇場の中でも、埼玉県にある「戸田競艇場」について解説します。
他とは違った水面の特性や、コース別の入着率など、予想する際に押さえておくべきポイントをわかりやすくまとめておきます。
知識ゼロのまま適当に投票するか、ある程度の特徴を理解したうえで投票するかによって、戸田競艇場での収支は大きく変わっていくはずです。
戸田競艇場の水面特性
戸田競艇は、埼玉県戸田市戸田公園に位置している競艇場です。地図で確認してみると、以下の通りのレイアウトとなっています。
実は戸田競艇場、もともとは漕艇場という別のボート競技に使われている水面でした。その一角を改修し現在の戸田競艇場が出来上がったという歴史があります。
この時点でひとつポイントとなるのが、戸田競艇場は「もともと競艇用に作られた水面ではない」ということ。これにより、他の競艇場にはない特徴が生まれることとなります。
日本一狭い競艇場
戸田競艇場は元来漕艇用の水面を改修して作られていることから、他の競艇場と比較してとても狭い水面となります。その狭さは日本一とも言われています。
戸田競艇場の具体的な図面をご覧ください。

この図でご注目頂きたいのが第一ターンマーク。
こちらを垂直に見てみると、上部(バックストレッチ側)が70.5m。下部(ホームストレッチ側)が37mとなります。こちらを加算すると計107.5mです。
一方、日本一広いと言われる水面は諸説あるものの、大きいことで知られている浜名湖競艇場の図面を確認してみましょう。

ご覧いただくと、浜名湖競艇場の場合はバックストレッチ側が126.0mでホームストレッチ側が42.7mとなり、計168.7mです。第一ターンマークだけで戸田競艇場と浜名湖競艇場の差は実に60m以上。
戸田競艇がいかに狭いかが分かりますね。
水質は淡水
競艇場は大きく分けて、海の一角を用いて作られた海水面、川の水を用いて作られた淡水面、そして海と川の間に作られた汽水面があります。
戸田競艇場は元々近くの川から水を引いてきて設計されていることから、水質は淡水となります。先の地図をご覧頂くと、戸田競艇場の近くには荒川が横断しています。
しかし、戸田競艇場の水源はこの荒川ではなく、その荒川の支流である笹目川から水を引いてきています。

プールのような設計の静水面
川の水を用いていると聞くと、川の流れにレースが影響されると感じてしまいますが、実際はそうではありません。
戸田競艇場の水面はそこが漕艇場であった時代から、水を引いてきた水門は閉じています。そのため、川の流れやうねりなどの影響はなく、実質はプールのような水面となり、戸田競艇場は比較的穏やかです。これを一般的には静水面と呼びます。
また、以下に紹介する写真を見れば分かる通り、川の流れを止めるための防壁が設置されているんです。
戸田競艇場が静水面である一方、屈指の難水面として知られる競艇場に「江戸川競艇場」があります。同日の近い時刻に開催された水面の状況を確認してみましょう。
戸田競艇場
江戸川競艇場
ご覧頂くと、戸田競艇場の水面は風はおろか波もたっていません。これに対し、江戸川競艇場はというと、風もさることながら波高は5cmとなっています。
この例に関して問題となりやすいのはこの波高です。
江戸川競艇場の場合、この波が特に立ちやすく、艇がこの波を乗り越えながら走るのでバンバンと跳ねやすくなります。
競艇は基本的には2つのブイを中心に3周旋回するレースですので、旋回時に艇が跳ねてしまうと、綺麗に旋回した艇に差されて抜かされてしまうなんてことが起きたりするのです。
戸田競艇場は比較的水面の安定している静水面であることを記憶に留めておくと良いでしょう。
予想に欠かせないコース別入着率
戸田競艇場は日本一狭い競艇場であり、水質は淡水、そして静水面であることがわかりました。これら水面の特徴が影響し、戸田競艇場はレース結果にも特徴が顕著に現れます。
イン受難水面で1コースが弱い
戸田競艇場は日本屈指のイン受難水面です。
イン受難水面とは、競艇は基本的にセンターポールの端にある2つのブイを中心に3周するレースですので、必然的にブイから近い場所からスタートするインコースが有利となります。
事実、競艇の決まり手に最も多いのがインが逃げる「イン逃げ」。これによってオッズもインコースから購入されることが多くなるのが競艇の大きな特徴です。
しかし、戸田競艇場の場合、このインが逃げにくいと言われているのです。
これは戸田競艇場の水面の狭さと淡水であり静水面であることが影響しています。ここで再度、戸田競艇場のレイアウトを確認してみましょう。

ご覧頂くと第一ターンマークのホームストレッチ側の幅は37mとなっていますが、この幅は日本一狭く、本来であれば平均しても40mは超えるものとなっています。
この幅が狭いと、旋回時には艇同士の距離が狭くなるのと同時に、インとは反対にアウト勢にとってはブイから近くなるため、旋回時の距離が短くなります。
この理由から、戸田競艇場はインコースの優位がやや軽減されていると言えるのです。
このことはデータにも顕著に現れています。2020/12/01〜2021/02/28の集計を確認してみると、戸田競艇場のイン逃げ率は以下の通りです。
コース | 1着 | 2着 | 3着 | 4着 | 5着 | 6着 |
1 | 47.0 | 18.4 | 10.9 | 8.8 | 8.4 | 6.1 |
2 | 15.1 | 24.5 | 19.9 | 15.3 | 13.2 | 11.8 |
3 | 16.2 | 21.5 | 17.6 | 17.1 | 13.4 | 13.8 |
4 | 13.9 | 16.5 | 16.9 | 21.1 | 16.7 | 14.7 |
5 | 6.0 | 10.4 | 19.7 | 19.5 | 23.2 | 20.9 |
6 | 2.6 | 9.6 | 16.0 | 19.2 | 24.9 | 27.4 |
戸田競艇場のイン逃げ率は47%となっています。これに対し、日本一のイン天国と言われている大村競艇場の同時期の集計を確認してみましょう。
コース | 1着 | 2着 | 3着 | 4着 | 5着 | 6着 |
1 | 66.6 | 14.4 | 7.3 | 5.6 | 4.0 | 2.7 |
2 | 9.9 | 28.4 | 17.9 | 17.7 | 13.2 | 12.6 |
3 | 9.4 | 23.7 | 23.0 | 17.2 | 14.5 | 11.8 |
4 | 9.0 | 16.4 | 20.4 | 20.3 | 19.0 | 14.5 |
5 | 5.3 | 12.4 | 17.5 | 23.5 | 21.3 | 19.7 |
6 | 1.0 | 6.0 | 14.8 | 16.6 | 27.7 | 33.6 |
大村競艇場の場合は66%という数値を叩き出しており、実に20%近い開きがあるということになります。
競艇は中止にならない限り、1日につき1レース場で12レース開催されるため、20%の違いは実に2〜3レースは大村競艇場の方が多く逃げるという計算が成り立つのです。

戸田競艇場は”逃げにくい”ことを覚えておきましょう!1号艇にめちゃくちゃ強い選手がいたとしても、ひょっとしたら万舟になるかもしれませんよ。
センター勢が強い(3、4コース)
戸田競艇場はインが弱いとなると、他コースの艇が代わりに活躍することになります。
そこで注目頂きたいのがセンター勢(3,4コース)です。インの代わりにセンター勢が活躍しやすいのが戸田競艇場の特徴となります。
大村競艇場とどの程度差があるのか?比較しやすいように、上記で紹介した2箇所のコース別成績を紹介しておきます。※スペースを食ってしまうので、確認したい方のみ展開してください。



まずは戸田競艇場のコース別成績を改めて確認してみましょう。3,4コースの1着率が10%を超えており、3コースに至っては16%を超えます。これに対し、大村競艇場はというと、3,4コースの1着率ともに10%をきっています。
これにも戸田競艇場の水面の特徴が影響しています。


戸田競艇場のレイアウト図面をご覧頂くと、スタートラインが50mであるのに対し、第一ターンマークのホームストレッチ側が37mです。その差は13mとなっていますが、これは第一ターンマークがスタンド側にスタートラインからみて13mほど寄っていることを示しています。
戸田競艇場はこの差が全国平均より少し大きくなっています。この差が大きいほどセンターポールに沿って走ることになるインは斜行しなければならず、不利とされています。
一方、センター勢は真っ直ぐ走っても自然とブイが近寄ってくるような感覚で走ることができるのです。そのため直進していれば良いセンター勢にとっては勝機を得やすい水面と言えるでしょう。また、センター勢が強い理由は他にもあります。
先述した通り、戸田競艇場は淡水面であり「静水面」です。
一般的に海水は淡水よりも塩分濃度が濃いことで知られています。海水浴で皆様が体験される通り、人が浮きやすいのが海水です。
これが艇にも同じ事がいえます。人を載せた艇が浮きやすく、浮力が大きいのが海水面です。そのため、体重差が生じにくく、さほど選手の体重を気にしなくてもよいのが海水面です。
一方、戸田競艇は淡水。塩分濃度が低く浮力が少ないため体重差が出やすいと言われています。仮にイン戦が得意であり実力者であったとしても、体重が重たくて艇のスピードが出にくい状況では必然的に不利となります。
この不利な状況の中でセンター勢には軽い選手が構えていた場合では、捲りの可能性を考慮する必要があります。



戸田競艇場では選手の体重に気を配り、重たい選手や軽い選手に注意を払っておくとよいでしょう。
戸田の水面はイン逃げより捲り有利
戸田競艇は捲り水面と称されることがあります。
捲りとは、自身より内側を走る艇を差す(内側にいく)ことなく、また割って入ることなく、全てを飲み込んで先マイすることを言います。戸田競艇場はこの捲りがとても多いのです。
戸田競艇の捲り率をコース別にまとめた表があったので確認してみましょう。
コース | 逃げ | 捲り | 差し | 捲り差し | 抜き | 恵まれ |
1 | 93.9 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 6.0 | 0.0 |
2 | 0.0 | 24.4 | 66.2 | 0.0 | 9.3 | 0.0 |
3 | 0.0 | 55.4 | 8.6 | 22.8 | 11.9 | 1.0 |
4 | 0.0 | 55.6 | 25.3 | 13.9 | 5.0 | 0.0 |
5 | 0.0 | 32.3 | 0.0 | 52.9 | 11.7 | 2.9 |
6 | 0.0 | 33.3 | 20.0 | 26.6 | 20.0 | 0.0 |
ご覧頂くと、戸田競艇場の場合はインと5コースを除いた4つのコースにおいて、決まり手が捲りが最も多くなっているのがわかります。特にセンターの3,4コースにおいては、捲り差しと比較してもダブルスコアないしそれ以上の率が捲りが勝っています。
一方、イン天国である大村競艇場ではどうでしょうか。確認してみましょう。
コース | 逃げ | 捲り | 差し | 捲り差し | 抜き | 恵まれ |
1 | 95.6 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 4.1 | 0.2 |
2 | 0.0 | 22.0 | 66.1 | 0.0 | 11.7 | 0.0 |
3 | 0.0 | 21.5 | 26.1 | 38.4 | 12.3 | 1.5 |
4 | 0.0 | 55.5 | 7.9 | 30.1 | 3.1 | 3.1 |
5 | 0.0 | 27.0 | 0.0 | 48.6 | 18.9 | 5.4 |
6 | 0.0 | 57.1 | 0.0 | 14.2 | 28.5 | 0.0 |
大村競艇場の場合、戸田競艇場と比較し明らかに異なるのが3コースの決まり手の割合です。
大村競艇場では3コースは捲りよりも捲り差しの割合がはるかに勝っています。この3コースの捲りか捲り差しかの違いはレースに与える影響がとても大きく、インが連対できるか出来ないかの確率が変わってきます。
基本的に3コースの捲り差しはインと2コースの間を割って入るもののため、捲り差しはインが連対しやすく、出目の多くは3-1。つまりインコースが残しやすいのが特徴です。
一方、戸田競艇場に多い3コースの捲りは、インを飲み込んで3コースが前に出るため、インが3コースの引き波にはまり連対しにくくなるのです。先述した通り、戸田競艇がイン受難の水面と呼ばれる理由の一つに、3コースの捲りが影響していることを押さえておくと良いでしょう。
戸田競艇の決まり手に捲りが多いことはデータでご確認いただきましたが、捲りが多いのには理由があります。
戸田競艇のレイアウトが第一ターンマークがホーム側に寄っていることや、水質が淡水であることも大きな理由の一つではありますが、これに加えて、水面そのものが静水面であることも大きく影響しています。
水面が静かな場合、艇をコントールしやすくスピードに乗せやすいため、センターおよびダッシュ勢も思い切ったターンがしやすくなります。これにより、基本的にはスロースタートであるインコースや2コースが受難に遭いやすく、センターやダッシュ勢が捲りやすくなるのです。



上記で説明したことを予想に組み込めば、戸田競艇場を制覇できる可能性は一気に上がります。比較的荒れやすい場でもあるので、たまには特大万舟でも狙ってみては?
【戸田競艇】まとめ
今回は戸田競艇場での舟券購入前に押さえておくべきポイントについてまとめましたが、戸田競艇場は日本屈指の狭い競艇場であることや、淡水で静水面であることをまずは念頭において頂ければと思います。
それに派生して、インが弱いことや捲りがとても多いことも大きな特徴ですので、戸田競艇場で舟券購入時には是非それらのことを押さえた上でレースを予想してください。
皆様の回収率100%超えを祈って、この辺で終わらせてもらいます。
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