2024年7月30日、4日間の短期決戦で行われた常滑一般戦。準優まで負けなしで優出1号艇に座ると、優勝戦も圧巻のイン逃げで勝利。
通算10回目となる優勝をパーフェクトVで飾った。
- 2月8日:小池哲也(住之江一般戦)
- 2月16日:前田将太(びわこ一般戦)
- 3月10日:毒島誠(桐生一般戦)
- 3月10日:関浩哉(江戸川一般戦)
- 7月30日:吉田裕平(常滑一般戦)
1950年代(昭和20年)頃から開始した競艇。これまでに100万レース以上が開催されていますが、その長い歴史で数えるほどしか達成されていない偉業があります。それは…
1節のレースを全勝する「完全優勝」です。
SG常連のトップレーサーでさえ達成が難しく、データが残っている中で確認できるのは僅か100名程度しかいません。
さらに、一般戦を除いた達成者を調べてみると、指で数えるほどしかいないのです。
そこで今回は、全勝Vで完全優勝するのがいかに難しいのか?また、最高峰のグレードレース「SG・G1・G2」で達成した選手を紹介していきます。
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競艇の完全優勝(パーフェクトV)とは?
完全優勝とは、その名の通り全てのレースに勝って優勝すること。
数日間かけて行われる予選・準優勝戦を1着のみで通過し、最終日の12R優勝戦も1着でフィニッシュすれば完全優勝となります。
ちなみに、完全優勝と同じ意味で使われる表現は「完全V・全勝優勝・パーフェクトV・パーフェクト優勝」など。どれを使っても間違いではありません。
完全優勝者の発生確率はどのくらい?
関連情報をまとめている「完全優勝挑戦リスト」によると、1997~2023年月7までに完全Vを達成したボートレーサーは約275名。
なお、レースのグレード別で割り振ると以下の通り。
- SG:1名
- G1:7名
- G2:2名
- G3:15名
- 一般:251名
各競艇場の1ヵ月平均開催数は3回ほど。全国24場を合算するとおおよそ72開催。1年だと2592開催、1997年以降の25年間では約64,800開催となります。
この開催数を達成者の総数で割ると…
あくまで単純計算した数値なので正確ではありませんが、大体238開催に1回(年間11人)ぐらい達成者が現れる割合です。
過去25年でSG・G1・G2の完全V達成者は10名
競艇は年に2回「級別審査」があり、成績や実力で階級が割り振られます。また、属する階級よって5つのグレード(SG・G1・G2・G3・一般)への出場資格にも影響していきます。
特にハイレベルな戦いが繰り広げられる「SG・G1・G2」。出場する選手たちの実力は僅差といって良いでしょう。
したがって、1節で全て1着を飾るなんてほぼ不可能ともいえる偉業なのです。
もちろん、一般戦やG2・G3であっても完全優勝は至難の業。ただ、グレードレースでの達成者が10名であることからも、いかに難しいのか分かりますね。
SG・G1・G2で完全優勝したボートレーサー
完全優勝がどれほど凄いのか理解したところで、ここからは「SG・G1・G2で完全Vを達成した選手」を紹介します。
達成者と対象レースは以下の通り。
- 松井繁(G1太閤賞競走)
- 高山秀則(G1第1回競艇名人戦競走)
- 市川哲也(SGモーターボート記念競走)
- 今村豊(G1中国地区選手権競走)
- 中島孝平(G1赤城雷神杯競走)
- 服部幸男(G2競艇祭)
- 今村豊(G1第16回マスターズチャンピオン)
- 遠藤エミ(G1第6回クイーンズクライマックス)
- 毒島誠(G1北陸艇王決戦)
- 藤原啓史朗(G2秩父宮妃記念杯)
ただし、1960年代まで遡るとSGで完全優勝したのは5人いるとの情報も。
一つだけはっきりしているのは、1992年の賞金王決定戦をオール1着で優勝した野中和夫。この年は圧倒的な強さで賞金ランキング1位に輝いています。
確かな情報を伝えるため、当記事では1997年以降の記録を紹介します。
1999年~松井繁(G1太閤賞競走)
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名前(登録番号) | 松井繁(3415) |
生年月日 | 1969年11月11日 |
身長・体重 | 169㎝・52㎏ |
所属支部 | 大阪支部 |
優勝歴 | SG:12回 G1:59回 G2:3回 G3:6回 一般:62回 |
1996年以降、G1の完全優勝を一番乗りで果たしたのは、競艇界のレジェンド「松井繁」。現在もバリバリの現役ですが、20年以上前の1999年に偉業を達成しています。
全勝優勝したのはG1太閤賞競走。予選・準優とオール1着で迎えた優勝戦、3コースからまくりを決めて優勝。
「あれ、オール1着で得点率1位なのになんで3コースなの?」
そう感じた人も多いでしょうが、当時の優勝戦は”枠番抽選”の時代。その為、準優までどんな好成績だろうが、優勝戦の枠番は運次第。
そんな中、3日目まで1度も1コースから出走せず全て1着。4日目の準優は1コース進入となったものの、優勝戦では3コース。
完全優勝が懸かる最終戦ではコンマ05のトップスタートを決め、G1という舞台で完全Vを達成したのです。
その後も数々のSG制覇を成し遂げていますが、一般戦を含め完全優勝はありません。
2000年~高山秀則(G1第1回競艇名人戦競走)
公式画像 | |
名前(登録番号) | 高山秀則(2672) |
生年月日 | 1948年11月11日 |
身長・体重 | 166㎝・52㎏ |
所属支部 | 福岡支部 |
優勝歴 | SG:2回 G1:17回 G2:1回 G3:4回 一般:58回 |
SGやG1で輝かしい成績を収め、引退した翌年の2009年にボートレース殿堂入りを果たした「高山秀則」元選手。
競艇を始めたての頃であまり記憶に残っていませんが、完全優勝を達成したのは2000年に開催された第1回競艇名人戦。
名人戦とは、年に1回開催されるG1で、48歳以上の選手によって競い合うレースのこと
記念すべき第1回で”8戦8勝”の完全勝利を果たす快挙。しかも、その2年後となる第3回においても優勝しています。生涯獲得賞金16億円以上の実力は並じゃないですね!
2001年~市川哲也(SGモーターボート記念競走)
公式画像 | |
名前(登録番号) | 市川哲也(3499) |
生年月日 | 1968年10月1日 |
身長・体重 | 163㎝・51㎏ |
所属支部 | 広島支部 |
優勝歴 | SG:4回 G1:19回 G2:1回 G3:6回 一般:71回 |
競艇界で”SG完全優勝”を達成したのは市川哲也のみ。
達成前から2度のSG(グラチャン・賞金王決定戦)を制覇した実力者ですが、2001年に多摩川の「モーターボート記念」を走った市川は神懸っていました。
オール1着で迎えた優勝戦。当時は枠番抽選だったこともあり、準優までオール1着だった市川は3号艇。
そうした状況の中、5,6号艇にいた艇界のレジェンド「今村豊・植木通彦」が前づけをし、市川はダッシュのカド5コース。
コンマ14の好スタートを決め、内側4艇を豪快なまくりに成功。
道中は後続艇との差を大きく広げて1着を死守し、ラストターンマークを回ってゴールする瞬間は余裕のガッツポーズ。
1,600名のボートレーサーが目標とするSG制覇を果たしただけでなく、その舞台で全勝優勝という偉業を達成!マジでカッコ良すぎですw
将来的に、SG完全優勝する人は現れない可能性だってあり得る。競艇史に名を刻んだ快挙と言えるでしょう。
2002年~今村豊(G1中国地区選手権競走)
公式画像 | |
名前(登録番号) | 今村豊(2992) |
生年月日 | 1961年6月22日 |
身長・体重 | 162㎝・50㎏ |
所属支部 | 山口支部 |
優勝歴 | SG:7回 G1:48回 G2:2回 G3:5回 一般:80回 |
競艇に愛され、ファンからも愛された「今村豊」元選手。
現役時代に数々の伝説を打ち立てています。その中でも中国地区選手権競走の完全優勝は、未来永劫語り継がれている伝説でしょう。
そんな今村選手は、養成所の訓練生だった時から片鱗を見せていました。
まず、デビュー戦で初勝利、初優出3着という新人離れした記録から始まり、約半年でA級へ昇格。
その後も活躍を続け、G1初出場(280日)、SG初出場(360日)、そして1年数ヵ月でG1初優勝。さらに、3年弱でSG初優勝という化物のような成績を残します。
快進撃はこれだけじゃ終わりません!2002年に開催された下関競艇の中国地区選手権競走。
初日から準優までオール1着で迎えた優勝戦。
枠番抽選では2号艇でしたが、5号艇の西島選手が前づけで1コースを主張し、今村選手は3コースへ。スタートが揃ったため、普通ならまくりにいく展開。
しかし、今村選手の状況判断は凄かった。内側2艇がやり合っている隙をつき、少しアクセルを緩めて差しを選択したのです。
この判断が功を奏し、G1競争でのパーフェクト優勝を達成。
難病指定のメニエール病でだいぶ苦しんだ時期もありましたが、2004年には11年ぶりのSG制覇に加え、公営競技初の”獲得賞金20億円突破”も果たしています。
競艇の発展に最も貢献した選手かも。期待した通りの成績を残し、引退後もファンから愛されるレジェンドです。
2008年~中島孝平(G1赤城雷神杯競走)
公式画像 | |
名前(登録番号) | 中島孝平(4013) |
生年月日 | 1979年11月8日 |
身長・体重 | 160㎝・51㎏ |
所属支部 | 福井支部 |
優勝歴 | SG:2回 G1:8回 G2:1回 G3:7回 一般:43回 |
2010年の賞金王に輝いた「中島孝平」。その2年前、2008年に桐生で開催された”G1赤城雷神杯競走”にて、7線7勝の完全優勝を果たしています。
その節は0台のスタートを連発。初日の大外まくりを皮切りに、準優まで負けなしのオール1着。そして、好調を維持したままパーフェクトが懸かる優勝戦へ。
当然、得点率1位だった中島は優出1号艇。前づけしてくる選手はおらず、番組表通りの枠なり進入となりました。
優勝戦ではイン逃げをしっかり決めて危なげなく勝利!G1制覇はこれで2度目でしたが、パーフェクト勝利という花を添えての優勝となりました。
記念レースでの完全優勝は、2002年に今村豊が達成して以来6年ぶりの快挙。
2009年~服部幸男(G2モーターボート誕生祭)
公式画像 | |
名前(登録番号) | 服部幸男(3422) |
生年月日 | 1971年1月5日 |
身長・体重 | 167㎝/56㎏ |
所属支部 | 静岡支部 |
優勝歴 | SG:4回 G1:19回 G2:2回 G3:8回 一般:72回 |
SGの最年少優勝記録を持つ「服部幸男」。
完全Vを達成した2009年のG2第13回競艇祭。7戦7勝のオール1着で勝ち上がった優勝戦メンバーは「今垣光太郎・松井繁・山崎智也」といったSGレーサー揃い。
プレッシャーのかかる一戦となりましたが、服部はコンマ05のトップスタート。イン先マイから松井のまくり差しを防ぎ、後続艇に大きく差をつけて完全勝利。
完全を達成した2009年は記念で3勝し、賞金王決定戦にも出場しています。
2015年~今村豊(G1第16回マスターズチャンピオン)
上記でも紹介した今村豊選手。45歳以上のみ出場資格のある「G1マスターズチャンピオン」にて、2度目の記念レース完全優勝を達成。
持ち前のスタートや旋回力はもちろん、エースモーターのパワーも相まって向かうところ敵なし状態。
要所で前づけをしながら準優まで全て1着で優勝戦へ進出し、最終レースも巧みなハンドル捌きで快勝!
ボートに乗っているのが54歳(当時)の選手とは思えないですよね(笑)
惜しまれながら2020年に引退してしまいますが、せっかくなので今村選手が残した様々な記録を紹介しておきます。
- 現役期間:39年5か月
- 出走回数:8,207回
- 優勝回数:142回
- 通算勝率:7.76
- 年度最高勝率:1986年、1990年、1991年、1992年、1997年、1998年、2001年、2004年
- 最優秀選手:1990年、1992年、2004年
- 24ボートレース場制覇
- 最上位階級維持:78期連続
上記の中で個人的に一番凄いと感じるのは「78期連続で最上位階級維持」したこと。
いくら強い選手であっても不調な時期があったり、転覆などで怪我をすることもあるでしょう。
そういった過酷な環境において、1度たりとも降格せず戦い抜くなんて…。競艇に尽くしてくれた39年間、本当にお疲れ様でした。
2017年~遠藤エミ(G1第6回クイーンズクライマックス)
公式画像 | |
名前(登録番号) | 遠藤エミ(4502) |
生年月日 | 1988年2月19日 |
身長・体重 | 154㎝・45㎏ |
所属支部 | 滋賀支部 |
優勝歴 | SG:1回 G1:3回 G2:4回 G3:10回 一般:22回 |
女子レーサー初の”SG制覇”も達成した「遠藤エミ」。実は、女子初となる記念レースの完全優勝も達成しています!
ただし、他の完全Vとは少しだけ条件が異なり、女子レーサーのみの大会であること。そして、出走したのは4レースのみのうえ、3レースは1コースからだったということ。
その条件でも偉業と呼ぶべきですが、他の達成者と比べて難易度は若干低めかもしれません。
さて、完全優勝を懸けて挑んだレースがこちら。
まさに絶賛活躍中の女子レーサー。女子の賞金ランキングでは常に上位にいるメンバーが揃い、無傷のまま最終の優勝戦へ。
スタート展示と同じ枠なり進入となり、風速5mの横風で少し水面は荒れている状態。スタートは遠藤エミがコンマ12でトップスタートを決め、難なくイン逃げ成功できそうな感じでしたが…
スタートで凹んだ小野生奈(2号艇)を長嶋万記(3号艇)がまくり差し、バックストレッチで艇先がかかるまで接近。
しかし、艇を被せて振り切り、1周2マーク以降は他艇を寄せ付けない走りで完全優勝を達成!
それにしても、遠藤エミ選手の強さは男子のトップレーサー並。
他にも「守屋美穂・鎌倉涼・大山千広」など、実力もさることながら男性ファンを虜にする美人レーサーも沢山。今後の活躍から目が離せません!
2021年~毒島誠(G1北陸艇王決戦)
公式画像 | |
名前(登録番号) | 毒島誠(4238) |
生年月日 | 1984年1月8日 |
身長・体重 | 162㎝・55㎏ |
所属支部 | 群馬支部 |
優勝歴 | SG:7回 G1:16回 G2:2回 G3:5回 一般:45回 |
現在の競艇界を代表するボートレーサーといっても過言ではない「毒島誠」。近年、調子は爆上がり中で…
- 2019年:SG制覇2回
- 2020年:SG制覇1回・G1制覇2回
- 2021年:G1制覇1回
- 2022年:G1制覇2回
- 2023年:G1制覇2回 ※23年7月現在
毒島誠が頭角を現すようになったのは、SG初優勝を果たした2013年頃。それまでも記念やG2などを優勝することはありましたが、急速に実績を上げていきます。
SGモーターボート競走を制覇して以降、毎年のように記念レースのタイトルを獲得。
そして、男女混合のG1ではマスターズを制した今村選手以来、6年ぶりとなる偉業達成の瞬間がやってきました。
※初日からのダイジェストを視聴できます。
レース映像を見れば分かりますが、モーターの伸びが笑ってしまうレベル(笑)
スタート力、旋回力どちらもトップクラスの毒島選手。そんな選手にこんなモーターを与えてしまったらほぼ無敵状態でしょう。
その異変にすぐ気付いた私は、2走目から100%毒島信頼で舟券を購入。レースを追うごとにオッズは激減しましたが、それでも爆勝ちをさせていただきましたw
今後も賞金王などに絡んできそうな選手なので、今回の完全優勝のような偉業を期待してます!
2023年~藤原啓史朗(G2秩父宮妃記念杯)
公式画像 | |
名前(登録番号) | 藤原啓史朗(4762) |
生年月日 | 1990年3月7日 |
身長・体重 | 170㎝/50㎏ |
所属支部 | 岡山支部 |
優勝歴 | SG:0回 G1:0回 G2:1回 G3:0回 一般:4回 |
記念優勝ゼロで偉業を成し遂げた「藤原啓史朗(ふじわらけいしろう)」。
G2以上で完全優勝しているのは全員SGレーサーですが、藤原は一般戦で3勝のみ。そんな若手がトップレーサー相手に全勝優勝してしまうとは…
もちろん、エース級モーターも快挙達成の後押しとなったでしょう。ただ、艇界のトップレーサーを相手に、それだけで達成するのは不可能です。
初日からレースを見れば分かる通り、藤原啓史朗は紛れもなくトップクラスの実力者。これほどの選手がなぜパン戦しか勝てていないのか?
近い将来、頭角を現してくるのは間違いなく、同期の「山崎郡・山田祐也」を超えるレーサーになっていきそう!
実績はまだまだでも実力はSGクラス。今後の活躍がめちゃくちゃ楽しみ!
G3で完全優勝した選手一覧
「G3の完全V達成者」の一覧がこちら。
グレード | 選手(開催レース) |
---|---|
G3 |
|
一般戦の達成者に関しては、ちょっと数が多いのでここでは紹介しません。もし、知りたい方は艇国DBの「完全優勝挑戦者一覧」をご確認ください。
まとめ
1997年以降に270名程度しか達成していない完全優勝。
一般戦であれば何度か達成している選手はいますが、猛者が集う「SG・G1・G2」では10名しかいないのです。
とはいえ、超モンスター級のモーターが出現したり、異常な展開の恵まれ方をする選手が現れれば、意外なところから偉業達成者が登場するかもしれませんw
最後に、当サイトでは競艇関連の情報を日々アップしてます。時間があれば他の記事もぜひご覧ください!
コメントお待ちしてます!