ボートレーサーは競艇場に到着してすぐレースを行う訳ではなく、競走を公正かつ円滑に行うための準備に充てられる日が設けられています。
それが開催前日に実施される「前検(前日検査)」です。
前検には予想の手掛かりとなるモーター抽選なども含まれるため、チェックしておくと舟券勝率は飛躍的に向上するはず。
そこで今回は、競艇の前検について基礎的なことを解説します。レース場でどんなことが行われているのか?この機会にある程度はしておきましょう!
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競艇の前検(前日検査)とは?
競艇歴の長い人なら、前検から確認するのは至極当然。重賞レースは特に、開催前夜からスポーツ紙や専門サイトでは前検に関する情報が一斉に公開されます。
開催場で前日に実施される検査
競艇選手は原則として「開催前日から現地入りすること」がルールで決まっています。
前検とはその名の通り、斡旋された選手が問題なくレースに参加できるかどうかを事前に確認する検査のこと。実施されるのはレースが開催される前日です。
モーター・ボートの抽選や試運転も実施
競艇の場合、レースに使用する全てのモーターとボートは競艇場が管理しており、各選手が使うものは開催ごとに抽選で割り振られます。
2012年に「持ちペラ制が廃止」されて以降、プロペラはモーターとセットになっているため、選手が事前に調整したプロペラを持ち込むことはできません。
また、前検では各選手に貸し出されたモーターの試運転も行われ、必要に応じて整備を行う時間も与えられています。
ここ最近、話題になっている「セット交換」に関しては以下をご覧ください。
前検は競輪・オートレースにも
公営競技における前検は、競輪とオートレースでも同様に行われています。競艇と同じく、開催前日にレース場の敷地内で実施されるのが原則です。
競艇と異なるのは、競輪とオートレースは選手自身が自転車やバイクを持ち込む点。競走車として基準を満たしている必要があり、車体検査をクリアしないとレースに出場できません。
競艇における前検日の流れ(受付~モーター抽選)
前検がどんな形で実施されていくのか、順を追って紹介します。
前検日になると選手が競艇場へ入り、さまざまな検査や手続きを経て初日のレースに向けて準備を整えていきます。一連の流れは以下の通り。
- 競艇場入り・受付
- 身体検査
- 私物検査
- モーター・ボート抽選
競艇場入りは遅刻厳禁
競艇場に入った直後に受付を済ませ、この手続きをもって施行者の管理下に置かれることとなります。※前検日のタイムスケジュールは開催時間帯によって変動。
選手集合には時間厳守の大原則があり、定められた時刻までに済ませなければなりません。
SGを除く通常のデイ開催は正午までに入るルール。早い選手は2時間前に到着するそうですが、その理由は遅刻のペナルティが非常に重いから。
後の項目でも触れますが、1秒でも遅れると遅刻(前検遅参)となって参加資格を消失。さらに、後日にも厳しい処分が待っています。
ちょっと可哀想になるほどの罰則。その内容については後ほど解説します。
身体検査・私物検査でスマホなどを預ける
受付の後に行う「身体検査・私物検査」。
身体検査では医師による診察や血圧、体重、体温の測定などが行われ、体重については出走表にも掲載されます。
私物検査では禁止されている物品の持ち込みがないかどうかのチェック。前検日から外部との連絡は一切禁止となるため、あらゆる通信機器はここで預ける必要があります。
スマホやノートパソコンはもちろん、ゲーム機や腕時計など通信機能が付いているものは一切持ち込み不可です。
西川昌希の八百長事件が発覚後、私物検査は以前にも増して厳しくなっているとのこと。
モーター・ボートの抽選
前検で最も気合いが入る時間となる「モーター抽選」。
全選手が1つの部屋に集まり、2台(モーター・ボート)のガラポン抽選機を続けて回していきます。ちなみに、抽選を引く順番は…
- 登録番号が古い順
- 前検の受付を済ませた順
- 両端の選手同士でじゃんけん
各競艇場によって順番は異なり、上記に紹介した方法以外にもあるようです。
エース機や注目モーターはあらかじめ把握しているので、好機を引き当てた選手がガッツポーズする姿はよく見かける光景。重要レースではその様子がYouTubeで公開されます。
競艇における前検の流れ(取り付け~タイム測定)
モーター抽選を終えると、エンジンやペラのセッティング。
前検の後半は場所をピットと競走水面に移し、実際に艇を走らせながら調整を重ねていく時間。レースで戦える足に仕上げるべく選手の整備力が試されます。
- モーター取り付け
- 試運転・整備
- スタート練習
- タイム測定
モーターやプロペラの取り付け
抽選で引き当てたモーターとボートを受け取ると、さっそく取り付けを開始。プロペラはもちろん、ハンドルとモーターをつなぐワイヤーも選手自身が装着します。
競艇のボートには「かじ」がありません。
艇の操作はモーターの左右からハンドルに巻きつけたワイヤーを動かすことで、モーター本体の向きを変えているのです。
ワイヤーの張り具合を変えればハンドルの重さに影響が生じます。その為、最も乗りやすいセッティングに調整する大切な作業となります。
試運転で足慣らし
一通りの取り付けが完了した後、競走水面に出て試運転を行います。
モーターの出足や伸びを確認しながら、選手自身がイメージする乗り心地に合わせていく時間。
問題なければ微調整で終了。しかし、低調機を引いた選手は課題を洗い出し、可能な限りのテコ入れを行わなければなりません。
前検の試運転はわずか1時間程度しかないため、調整力の高い選手ほど仕上がった状態で挑むことが可能です。
スタート練習
班別で複数回行われるスタート練習。
各開催日に実施される早朝のスタート特訓と同じ流れで進行。選手は各コースの進入を想定し、起こし位置を変えながらスタート感覚を補っていきます。
タイミングを合わせることに専念する選手がいる一方、スリット付近の伸びなど舟足確認を重視する選手も。
SGクラスになれば後者の割合も大きくなり、初日のレースを意識しながらそれぞれの思惑が交錯する段階へと入っていきます。
タイム測定 ※出場資格にも影響
前検の最後に行われる「タイム測定」は、出場資格の基準にもなっています。一定の数字に満たない場合、参加解除となってレースに出走することができません。
タイム測定は周回展示後に発表される展示タイム(バックストレッチ150m)と同じ方法で計測。
この数字だけで総合的な評価はできません。とはいえ、気配を見極める材料となるので、序盤のレースを予想する際は欠かせない情報です。
タイム計測が終われば前検は終了。選手たちは敷地内の宿舎に移動し、就寝まで自由に時間を過ごします。
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予想に役立つ前検の確認方法
前検は開催前の事務的な手続きと思われがちですが、翌日から始まるレース予想に活用できる大切なデータ。
以下に紹介することは最低限覚えておくように!
データのない初日に活用
モーター抽選結果・前検計測タイムは前日の夜に公開され、各選手がどんなモーターを手にしたのかを知ることが可能。また、重賞レースでは前検の気配や選手コメントも掲載されます。
各競艇場のサイトでも「地元記者による前検情報や展望」をチェックできる場合があるので、データが少ない初日は積極的に活用しましょう。
グレードで重視すべきポイントは異なる
モーター2連対率が高いほど、アドバンテージが大きくなると考えるべき。また、強豪揃いのSGでは、モーターの能力差がそのまま成績に表れやすい傾向にあります。
ただし、モーターの使用期間が短い場合は要注意。あまり参考にならない連対率の可能性も。
同じく前開催の使用者が新人やB2級選手といった下位レーサーだった場合も、機力評価を度外視する必要があるでしょう。
実力差が大きい一般開催は選手自身の技術も大きく関係してきます。仮に良いモーターを引いても、操縦が未熟であれば結果に繋がりません。よって、勝率や級別を優先した予想が無難です。
前検での機力一変は難しい
前検でモーター整備や部品交換は認められていますが、前検だけで低調機を一変させるのは困難と考えるべき。
一般戦レベルなら実力のみでカバーできます。しかし、記念クラスになると2連対率下位のモーターで初日から結果を出すケースはごく僅か。
もちろん、部品交換や連日の整備で機力が上昇させることはできますが、短時間で底上げできるのは限定的。よっぽどの整備巧者でない限り、SGレーサーであっても評価は下げましょう。
前検遅参と前検不合格の罰則内容
「出場予定の選手が初日の出走表に載っていない」という時、想定される理由は前検遅参または前検不合格。
選手責任の場合は即刻帰郷だけでなく、後日懲罰委員会にかけられるケースも。先の斡旋まで取り消されてしまう重いペナルティが待っているのです。
前検遅参(遅刻)の罰則
前検当日、早めに競艇場入りして受付を済ませるのが常識。ただ、飛行機や新幹線を使って遠方から来る選手も多いので、近くのホテルに前乗りして備えているケースもあります。
それでも前検に遅刻してしまう選手は数年に1度現れます。
過去にはA1級の某ベテラン大物レーサーが前乗りしたホテルで寝坊してしまい、前検遅参となった例もありました。
ただし、公共交通機関の乱れなどが理由の場合のみ、前検遅参しても出場が認められるケースあり。
前検不合格になる理由は様々
「前検不合格」となる主なケースは…
- 競艇選手であることを証明する”選手登録票”の不携帯
- 持ち込み自体が禁止されている酒類が物品検査で見つかる
- 健康診断で熱がある、血圧が高い
上記2つに関しては「選手責任の前検不合格」となるため、懲罰委員会にかけられて出場停止および罰金の処分が下されます。
一方、身体的な理由(熱・血圧)だった場合は「選手責任外の前検不合格」となり、当該レースに出場できない以外の処分はありません。
過去を遡ると「体調不良による不合格」が一番多いようです。
まとめ
今回は競艇の前検についてまとめました。
正直、前検日から注目している競艇ファンは少なく感じますが、思っている以上に有益な情報が満載。特に序盤のレースでは反映されやすいので、ここで得た知識をぜひお試しください。
最後に、競艇で勝つには幅広い知識が必要です。以下の記事も合わせて読めば、間違いなくスキルアップに繋がるはず!
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