2022年11月6日に宮島で開催された一般競争において、次世代のエース候補「中田達也」がレース中の事故で死亡。
悲しく辛いニュースを取り上げることに否定的なファンも多いでしょう。しかし、中田選手が亡くなったことを風化させてはいけないと思い、二度と起きないことを祈って書くことにしました。
ただ、当記事が最も伝えたいのは”中田達也”というボートレーサーについて。
養成所で苦楽を共にした同期メンバーをはじめ、デビュー後の輝かしい実績など、いかに凄いレーサーだったのかお伝えしていきます。
元競艇選手「中田達也」とは?
中田達也は福岡県出身、福岡支部のボートレーサー。2022年11月6日、宮島競艇の初日第10レースにレース中の事故で殉職。
やまと学校(現ボートレーサー養成所)を優秀な成績で卒業し、2013年にプロデビュー。その後も順調に勝率を上げていき、2020年後期には自身初のA1級昇格を果たします。
通算成績は、1着496回・勝率5.75(期別最高7.03)・優出44回・優勝7回を誇る同世代トップクラスの実力者です。
中田達也の公式プロフィール
公式画像 | |
名前 | 中田達也(なかたたつや) |
登録番号 | 4802(113期) |
生年月日 | 1993年8月30日 |
身長/体重 | 169㎝/54㎏ |
出身/所属 | 福岡県/福岡支部 |
デビュー日 | 2013年11月5日 |
引退日 | 2022年11月6日 |
競艇の道を志したきっかけ
中田達也がボートレーサーを目指したのは「高校の校長先生」がきっかけ。
福岡県立小倉商業高校に在学中、話す機会の多かった校長先生から「植木道彦元選手が同じ高校の先輩」だったことを聞かされます。
将来は銀行員になろうと思ってたんですけど、中学から野球もやってたんで、どこかプロのスポーツ選手にも憧れがあった
そのことがきっかけで人生初のボートレースを観戦。すると、迫力があってカッコいいと感じ、受験資格も問題なかったことから試験を受けることに。
高校時代の受験は失敗しましたが、諦めずに2度目の試験で合格。
競艇選手になることを反対していた両親も、いつの間にか応援してくれていたらしい。
養成所チャンプ&リーグ勝率1位で卒業
- リーグ勝率:7.69(全体1位)
- 準優出:4回
- 優出:7回
- 優勝:5回
後にSGレーサーとなる同期がいる中、中田達也は113期の「養成所チャンプ&リーグ勝率1位」で卒業しています。
上記で説明した通り、艇王「植木通彦」と同じ高校、同じ野球部、そして将来有望な成績。そうした経緯から「植木2世」と呼ばれることも。
同期(113期)の注目選手
中田達也の同期(113期)といえば「椎名豊」。2022年のオーシャンカップでSG初優勝を果たし、頭ひとつ出た実績を残している選手です。
次いで注目を浴びているのが「高田ひかる」。まくり姫の異名を持ち、男子顔負けのターンで女子トップの人気者。
その他、近年上り調子の佐藤博亮・春園功太など、今後が楽しみな若手が数多く揃っています。
師匠は塩田北斗(105期)
中田達也の師匠は「塩田北斗」です。
デビュー当時、フライングなどで不調だった時期に弟子入りすると、みるみるうちに勝率は上昇。艇界では謎多き存在ですが、中田にとっては最高の指導者だったのでしょう。
また、2人の関係が良好だったのは有名な話。ちょっと検索すれば仲良さげな写真が沢山ヒットします。
弟子は松尾怜実(127期)
中田達也の弟子は「松尾怜実」です。
師匠の訃報が届いたのは、弟子になって2年が過ぎた頃。23歳の女の子には耐えがたい出来事。当時は「何も考えられなくなってしまいました」と話しています。
ただ、そんな時に中田の両親から「(デザインを)ぜひ使ってください」と。
自分なんかが使ってもいいのだろうか?と思ったようですが、天国から見ている師匠のために使わせてもらうことにしたそうです。
2023年現在、松尾怜実はB2を抜け出し、着々の成績を伸ばしつつあります。近いうちに嬉しい報告ができるかもしれませんね!
中田達也の死亡事故について
ここからは中田達也の事故について紹介していきますが、悲しいレース映像なども含まれます。見たくない方はこの項目を読み飛ばしてください。
血の海と化したレース映像
死亡事故が起きたのは2022年11月6日、宮島開催の初日第10レース。
断然人気となった中田達也のイン戦。進入の乱れもあって逃げることができず、道中は激しい2着争いに。
そんな中、3周バックストレッチで他艇と接触して落水。そこへ後続の艇が激突してしまい、事故現場となった水面は「血の海」と化します。
落水した後、後続艇が避けきれず下敷きに。その衝撃で中田選手は全く動かなくなり、周りの水面は血で赤く染まっていた。一緒に見ていた客も「本当にやばい」と騒いでいた。
引用元:レース場で観戦していた人の証言
そして、現場で撮影された実際の水面画像。※衝撃的すぎる画像なので開閉式
血で赤く染まった水面画像
レース映像、水面を見れば分かる通り、事故の悲惨さを物語っています。
中田達也の死因は?
公式発表で「中田達也の死因」は明かされていません。
追突時スクリューに巻き込まれてしまったのか?もしくは、死に至るほどの衝撃を頭部に受けたのか?いずれにしても、追突されたことが原因と見て間違いないかと。
ボートレースは最速80キロのスピードで競い合う競技。その速度で衝突された場合、無傷でいられる方が少ないのです。
過去に起こった死亡例を確認すると、心肺停止状態で溺死、脳幹裂傷、頭蓋骨骨折、出血多量など。
死因のほとんどは「溺死・頭部損傷・出血多量」となっています。
中田達也の事故相手(轢いた選手)は誰?
中田達也を轢いた後続艇の選手は「田添康介」だったようです。
事実かどうかは分かりませんが、現地で見ていたファンの声がネット上に拡散されています。
中田が転覆し浮かんできたところ、全速で走ってきた4(田添康介)にがっつり轢かれた。あれは避けられないし不運としか。ヘルメットも脱げて力も入ってないぐったりした感じ。
上記コメントにも書いてあるように、不運が重なりあって起こってしまったこと。当然ながら、田添康介を責める人はいないですし、中田本人も「気にしないで」と言いたいはず。
事故後、田添康介は成績を大きく落としています。中田のためにも活躍する姿を見てほしい
2022年は2名のボートレーサーが殉職
2022年1月にも「小林晋」がレース中の事故で命を落としています。
まさか1年に2人も殉職してしまうなんて…。競艇史において”過去最悪の年”と言えるでしょう。
幸い、中田以降の死者は出ていませんが、ヒヤっとする事故は何度も起こっているボートレース界。もう少し明確なルールを定めた方が良いのではないか?
二度と同じ過ちを繰り返してほしくない。
弟子に対する塩田北斗の思い
中田達也の死から1ヵ月後、塩田北斗が優勝インタビューで「弟子への思い」を語っています。
11月6日に弟子の達也が亡くなって、それ以来、達也と一緒に走っている。達也のことを応援してくれていた方は、僕と一緒に走っていると思って応援してくれたら嬉しいです。
これからも達也と2人で頑張っていきます。今日の優勝も達也のことを褒めてあげてやってください。
普段、物静かな塩田がこんなにも熱いメッセージを残すとは。
危ない走行をしている選手にこの動画を見せれば、確実に重大事故は減るはず。競走会が売上より命を優先するなら、定期的に視聴させるべき内容だと思います。
売上優先、隠蔽体質の競走会にはあまり期待できないけど…
西山貴浩「弟みたいな存在だった」
中田達也の死を受けて、同じ福岡支部の先輩「西山貴浩」が残した言葉です。
ちょうど浜名湖の記念を走っていたんですが、2日間眠れなかったし、涙が枯れるまで泣きました。
達也に塩田北斗の弟子になるように勧めたのは僕なんですよ。ペラグループは違うけど、プライベートでもうちによく泊まりに来たりして弟みたいな存在でした。
引用元:スポーツ報知
いつもはふざけた印象しかない西山ですが、事故当時はほぼおふざけなし。よっぽど堪えた出来事だったのでしょう。
未だ成し得ていないSG制覇。天国にいる後輩にプレゼントしてあげてくれ!
中田達也の競争実績
中田達也が現役生活で残した実績を紹介します。
2013年にプロデビュー
113期トップの成績で卒業後、中田達也は2013年11月5日に地元芦屋でデビュー。
新人は6コース進入という暗黙のルールがあるので、競艇ファンの多くは”いないもの”として捉えるのが一般的。
しかし、デビュー初戦ながら2着に入る快挙を達成!さらに、2走目も3着に入り、期待以上の走りでボートレーサー人生を開始しました。
ちなみに、初勝利(1着)を獲得したのは、デビューから約1ヵ月後の12月20日。「超大型新人現る」といった記事があったのを今でも覚えています。
デビュー3年10ヵ月で初優勝
優勝は時間の問題と思われていた中、初優勝を挙げるまでに4年ちかくの歳月を要しました。
2017年6月26日に開催された住之江一般戦。7戦4勝の活躍で優出にコマを進めると、赤坂俊輔・大池佑来を相手にイン逃げで優勝。
この初タイトルを機に、驚異的な成長を遂げていくこととなります。
G1初勝利・初優出
初優勝で勝ち方を掴んだのか、2017年以降は全ての年で優勝を達成。
勝率を伸ばした中田は、2018年前期にA2級、2020年後期には目標としていた初のA1級昇格。そして、A1として挑んだG1で初勝利を挙げ、翌年の浜名湖周年では初優出を果たします。
中島孝平・桐生順平を前に敗れはしたものの、初優出した若手レーサーにとって大金星となる3着入賞。
まさにこれから!と期待された時期だったのですが…
亡くなっていなければ、SG・G1を獲るレーサーになっていたはず。そう断言しても良いほど、状況判断能力や旋回力はトップ級でした。
悔やんでも悔やみきれない悲しい事故。ファンの1人として残念でなりません。
中田達也のプライベート情報
最後に、中田達也のパーソナルな部分を紹介して終わります。
中田達也は結婚してる?嫁・子供は?
中田達也は結婚しており、嫁さんとお子さんがいます。同業者でないことは確かなので、おそらく一般女性でしょう。
また、ネットには「美人妻」といった情報を見かけますが、嫁さんの容姿は公開されていません。よって、根も葉もない憶測の可能性が高いです。
九州各地を知り尽くすほどの釣り師
中田達也は根っからの釣り好き。
夜明けと共に出港し、夕方まで釣りに没頭。それから自宅に帰り、釣った魚を捌いて家族に振舞うのが日課だったようです。
中田達也のお父さんの後輩、お母さんと同級生だった方曰く「長崎県や大分県、山口県の角島や九州を知り尽くした釣り師さん」だったとか。
巨大マグロを釣って嬉しそうですね!
中田達也選手のご冥福をお祈りします。
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