2023年9月、愛知支部の実力派レーサー「新美恵一」が現役を退きました。
本人の意思により引退届が提出され、モーターボート競走会は8月24日に受理。それから約1週間後の9月3日頃、各メディアが引退の事実を報じ、同時に選手ページも削除されています。
現役を続行できる状態でありながら、なぜ引退を決断に至ったのか?インタビューで語った理由は以下の通り。
3カ月のフライング休み明けだった多摩川でまたフライングを切ってしまったのが引退の一番の理由。B級に降級することも大きい。
新美恵一といえば、以前からスタート力に定評のある選手です。
そんな彼が3月の斡旋から2節連続でフライング。さらに、90日間のF休みから復帰後、1走目にまたしてもコンマ06の非常識なフライング。
また、F休みによって出走回数不足となり、来期よりB級降格が確定。
こうした”肉体の衰え”とも取れる要因が重なったことで、これまで維持していた気持ちの糸が切れたのかもしれません。ただ、本人は全く後悔していないとのこと。
体の動きに支障はないけど、気持ちの面で続かなくなってしまった。いいレーサー人生でした。全く悔いはありません
とはいえ、第一戦で活躍できる実力を残しての引退。往年のファンからは悲しむ声が多数投稿されています。
新美恵一選手が引退
— グランジ・大 (@satodaidai) September 4, 2023
オールジャパン竹島特別優勝戦、正木選手と死闘は鮮明に覚えてる名レース
カッコいいレーサーでしたね。
お疲れ様でした。
新美恵一選手が引退ですか
— @一周年(ハママツHP910) 9/10代々木 (@issyunen) September 3, 2023
今の人は余りイメージつかないと思いますが
私がボート始めた頃はめっちゃ強くて
大嶋選手と並んで信頼できるベテラン選手でした
それにしても大嶋選手といい引退が潔いですね
新美恵一も引退なんかな、SGに手が届きそうで届かなかったけどG1を9回くらい優勝してたし一流の選手であることは間違いはなかった
— カンナ™️ (@eldercanna) September 2, 2023
多摩川のMB記念で1号艇で市川にツケマイ食らって完全優勝の噛ませ役やったり勝運に恵まれない星の下にいる選手だったけど岡本慎治とかと同様文句なく実績なら一流
約36年間のボートレーサー人生。本当にお疲れさまでした。
新美恵一とは?
公式画像 | |
名前 | 新美恵一(にいみけいいち) |
登録番号 | 3331(61期) |
生年月日 | 1968年4月3日 |
身長/体重 | 164㎝/53㎏ |
出身/所属 | 愛知県/愛知支部 |
デビュー日 | 1987年11月 |
引退日 | 2023年8月 |
新美恵一は愛知県出身、愛知支部のボートレーサー。61期として本栖研修所に入所し、1987年11月に蒲郡でデビュー。
1993年2月にはG1新鋭王座決定戦(現ヤングダービー)で初優勝。その年の賞金王決定戦にも選出を果たし、初出場にして優出(4着)の快挙を達成。
通算成績は、8382戦に出走して1着2226回、優勝57回。※2018年9月に118人目で2000勝達成。
G1優勝は10回(SG制覇なし)
- 1993年:第7回新鋭王座決定戦(尼崎)
- 1993年:第38回東海地区選手権(津)
- 1998年:45周年記念(尼崎)
- 1999年:第44回東海地区選手権(浜名湖)
- 2000年:ダイヤモンドカップ(下関)
- 2001年:49周年記念(若松)
- 2001年:モーターボート大賞(常滑)
- 2002年:50周年記念(若松)
- 2004年:50周年記念(浜名湖)
- 2006年:モーターボート大賞(蒲郡)
約36年の現役生活で「10回のG1制覇」を成し遂げています。
競艇最高峰SG(スペシャルグレード)の優勝はありませんが、デビュー初優勝した年のグランプリ優出をはじめ、8つある全SGで準優以上進出の実績。
頂点に立つことはできなかったものの、SGレーサーたちと同格の実力者といっても過言ではないでしょう。
生涯獲得賞金は14億7000万円
新美恵一が現役時代(1987~2023年)に稼いだ生涯獲得賞金は「14億7033万235円」。
これまでデビューした競艇選手は5000名以上。そんな中、SG未制覇ながら賞金ランキングは上位50位以内に君臨。いかに凄い選手だったのか理解できるはずです。
ちなみに、10位以内は全員20億円超え。トップの「松井繁」に至っては40億円を突破し、未だに記録を更新し続けています。
弟子は愛知支部95期「河村了」
新美恵一の弟子は、愛知支部のA1レーサー「河村了」。
2005年のデビュー当初から敏腕っぷりを発揮し、2010年のG3蒲郡で初優勝。その数年後からA1級に定着すると、2020年のG2丸亀MB大賞含む、通算23勝を挙げるトップレーサーの1人です。
今回、師匠・新美の引退を知ったのは、引退届を提出した後の8月末頃。日刊スポーツの取材で以下のように回答しています。
引退のことは1週間ちょっと前に、電話で直接聞いた。新美さんらしい、辞め方かなと思った。師匠としては、つきっきりで見てくれるわけではなく、昔かたぎの職人の感じ。仕事ぶりを見て覚えろという感じだった。仕事に対しては厳しい人でした。飲むと、優しかったですけどね。
無事に終えられたのは良かった。今後は奥さんと温泉にでも行って、ゆっくりしてほしい。自分としては、師匠にはまだまだ届かないけど、少しでも近づけるように頑張っていきたい。
どうでも良い情報を一つだけ。
レーサーの中でも無類のサウナ好きで知られる河村了。実は新美恵一もサウナ好きで、師匠に連れられてどっぷり嵌ったそうです。
新美恵一、36年間ありがとう
新美恵一の引退を悲しんでいるファンは多いはず。ただ、近年は八百長絡みの引退が続いていたので、気持ちよく送り出せる辞め方で良かった!
一つだけ残念なのは、長いレーサー人生で一度も江戸川を走らなかったことw
とうとう江戸川を一度も走ることなく引退した新美恵一
— 樽前 衛 (@9mpyyDt9WpUnz1I) September 3, 2023
たまたま斡旋されなかったのか、それとも意図的に斡旋を断っていたのか?理由は分かりませんが、引退後にゲストとしての出演を期待してます!
約36年間、本当にお疲れ様でした。