スポーツ新聞や競艇専門紙でもよく目にする「勝負駆け」というワード。
競艇選手にとって大事なレースを意味するものですが、勝負駆けにもいろんな条件やシチュエーションがあります。
また、結果によっては上のステージに進めたり、より高い賞金のレースに出場できたりすることも。
収入の増減はもちろん、選手のランク付けを左右する大切なレースであり、すべてのレーサーが幾度となく経験することになります。
収入の維持や引退回避を賭け戦いにも関係する勝負駆け。負ければ選手生命にかかわる一戦もあるのです。
舟券の推理にも重要な材料となるので、これから説明する「様々なケースの勝負駆け」は必ず覚えておくことをおすすめします。
正式名称は「勝負駆け」ですが、ネットでは「勝負がけ・勝負掛け」と記載されることも。意味はどれも同じです。
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競艇の勝負駆けとは?仕組みと条件など
勝負駆けとは、予選突破などの目標を果たすために必要な結果が求められるレース。
選手にとってはノルマが課せられた状態となるため、失敗が許されない状態。当然、普段よりも気合いや集中を一段と高めてレースに挑むことになります。
ただし、勝負駆けには様々なケースがあるので、幅広い知識を得ておくことが大切です。
勝負駆けの1日となる予選最終日
最も多い勝負駆けは、準優勝戦進出につながる予選突破をめぐる戦い。
通常、予選は着順点をレース数で割った「得点率」で争われます。ほとんどの開催では予選突破ボーダーの目安を「6.00」として、勝負駆けの有無を判断します。
一般戦の着順点は…
着順 | 加点 |
---|---|
1着 | 10点 |
2着 | 8点 |
3着 | 6点 |
4着 | 4点 |
5着 | 2点 |
6着 | 1点 |
1着が10点、2着が8点、3着が6点、4着が4点、5着が2点、6着が1点です。予選の全レースを3着で走ってボーダーギリギリという計算になりますね。
1つの開催には50名前後の選手が斡旋されますが、通常ルールの場合、準優勝戦に進めるのはわずか18選手。つまり、半分以上の選手が予選落ちするわけです。
予選が進むにつれて、ボーダーラインにいる選手たちの戦いは熾烈になっていきます。
準優進出のボーダーは「6.00」付近になることが多い。
一走入魂で挑む勝負駆け
目の前の1レースでその先のレーサー人生が変わる。これが最も多い勝負駆けのパターンです。
成功か失敗かの基準は明確で、ノルマとなる着順以上でゴールできるかどうか。シンプルな一発勝負となり、新聞や予想紙、ライブ中継では「○着条件」という表現がよく使われます。
3着条件となっていれば、そのレースで3着までに入れれば勝負駆け成功。1着条件ならもちろん勝つしかありません。
対象となるのは、予選最終日のレースなどでボーダーの当落線上にいる選手。
特に舟券圏内(3着以内)がノルマの選手や、不利な外枠から上の着を狙う選手に対して使われること多いです。
2回走りで計算する勝負駆け
予選最終日に2回走りとなる選手は、勝負駆けの条件が変わります。
前日の時点でポイントによる予選突破ボーダーから、どれだけの点数が必要かというのが基準。
このケースで勝負駆けの成否が決まるのは、当日のレースが終わった時点。よって「○着条件」ではなく「2走で○点が必要」というポイントのノルマが発生します。
例えば「2走で14点」とある場合。着順の組み合わせに関係なく、2レース合計で14点以上の着順点が取れれば勝負駆けは成功です。
気をつけたいのは、当日1走目の結果次第で勝負駆けの状況が変化する点。
2走目のレース前には「○着条件」といった明確なノルマへと変わります。もちろん、1走目の着順で”成功 or 失敗”が決まることもあり、2走目を待たずに対象から外れる場合もあります。
崖っぷちの選手に使う場合も
勝負駆けという言葉が使われるのは、着順や点数のノルマが発生する時だけでなく他のケースもあります。
いわゆる「あとがない、崖っぷちの状況」にいる選手に対してです。
予選初日で5,6着を取ってしまい、2日目からのレースでは同じ負け方が許されなくなった時。
明確なノルマまではないものの、ここから1着あるいは連に絡む走りを続けないと、予選突破圏内に浮上することはできません。
このような位置にいる選手に「早くも勝負駆けのピンチ」といった表現を使うことがあります。
特に多いのは、開催前の時点で優勝候補に挙げられていた注目選手や地元の有力選手。早々に予選突破が危うくなり、次走からは大きな着が許されない、という意味での「勝負駆け」です。
勝負駆けの調べ方や予想活用法
「勝負駆けのレースを走る選手はどうやって調べればいいの?」
上記のような質問をよく見かけますが、今はいろんなツールでリアルタイムの情報をチェックすることができる時代。超簡単に調べることができるので安心してください。
また、各選手の正念場となるレースを事前に確認しておけば、間違いなく精度の高い予想をすることができるはずです。
G2以上は「得点率早見」に掲載される
G2以上のグレードレースは「得点率早見」というページが追加されます。
各レースの出走表には、選手の得点状況と「このレースで何着を取ればボーダーより上に行けるか」の想定がリアルタイムで掲載。
予選最終日は明確な勝負駆けの条件が一目瞭然です。
モチベーションの高い選手とそうでない選手の見極めは、舟券予想に欠かせない材料。予想前には必ず目を通しておきましょう。
各レース場の「勝負駆け情報」もおすすめ
スポーツ新聞のレース欄やCSの専門チャンネルなど、選手の勝負駆けに関する情報はいろんな方法で入手できます。
中でも最も手軽にチェックできるのは「ツイッター」です。
公式アカウントで勝負駆けの情報をツイートしてくれる競艇場もあるので、勝ちたいなら活用することをおすすめします。
☆勝負駆け情報☆
— BOAT RACE びわこ (@br_biwako) June 11, 2021
【11R】…作間選手、松下選手がピン勝負、崎選手が③着以上の勝負駆け。是澤選手、中山選手、加藤選手は必要得点をクリア。
【12R】…吉田選手が②着以上の勝負駆け。盛本選手、川合選手は無事故完走。秋山選手、佐藤選手、金子選手は必要得点をクリア。#ボートレースびわこ pic.twitter.com/SL2TVliHYc
地元番記者📋✏️#勝率勝負駆け 情報
— 【公式】BOAT RACE江戸川 (@03edogawa) April 12, 2022
※前検日時点の勝率ボーダー付近の選手です!
🌟A1級勝負駆け🌟 #藤山雅弘 選手#永井源 選手#酒見峻介 選手#宮下元胤 選手#寺本重宣 選手
是非、ご参考に👍
江戸川の公式アカウントでは、級別審査に関する勝負駆けについてもツイートしてくれる熱の入れよう。
他にも、専門紙記者や予想屋さんなどによる情報のツイートが流れてくることもあります。リアルタイムで状況を確認したい方は、ツイッターなどSNSを活用しましょう!
各競艇場の公式ツイッターはこちら
特別な勝負駆けのシチュエーション
競艇は強い選手だけが生き残れる世界。勝負駆けの表現はいろんなサバイバルの状況で使われています。
SG選出を懸けた勝負駆け
トップクラスのA1級レーサーには、準優ボーダー以外にも大きな勝負駆けが存在します。それは…
SGレースへの出場権を競う勝負駆けです。
SGに出場できる選出人数はあらかじめ決まっています。シード権を持っていない選手は、それぞれのSGレースに定められた選考基準をクリアしなければならないのです。
その中でも特に選考期間ギリギリまで出場権がもつれるのは以下の3レース。
- 勝率で決まるダービー(全日本選手権)
- 獲得賞金順で決まるチャレンジカップ
- 年末のグランプリ(賞金王決定戦)
出場権ボーダーの近辺にいる選手にとっては、選考期間内ラストの開催が丸ごと勝負駆けになることも。
SG出場の切符は、ボーダーライン上の選手より勝率0.01あるいは1円でも上回る必要があるので、たった1レースの結果で”天国 or 地獄”が決まることも。
差し迫った状況で「本来の実力」を発揮できるのか?その辺のことも考慮したうえで舟券予想をしましょう。
級別審査や年収(獲得賞金)に影響する勝負駆け
毎年4月30日と10月31日は「競艇界の一番長い日」といわれています。
競艇では半年に1度、所属するクラスの入れ替えが行われます。新しい期は5月と11月から始まるので、4月末と10月末はどちらも級別審査期間の期末。
毎期熾烈になるのがA1級とA2級の枠をめぐる争い。
賞金が高いG2以上に出場できるA1級は、レーサーの誰もが憧れる地位。ただ、各階級にはそれぞれ定員が決まっており、ボーダー勝率も一定ではありません。
勝負駆けを走る選手とその結果を待つ選手、ともに緊迫した中での1日となるのです。
4期通算勝率や競艇人生を懸けた勝負駆け
トップを目指す勝負駆けがある一方、結果によっては「クビを切られるかもしれない勝負駆け」も存在します。
成績の振るわない競艇選手はレースを続けることができません。
代謝制度とも呼ばれるシステムで、4期(2年間)の通算勝率が「3.80」に満たなければ引退勧告の対象。
全体の選手数が1600名未満であれば引退勧告を受けることはありませんが、超過している場合は成績下位の選手から競艇選手を続けられない状況に追い込まれます。
新人選手は必ず半年に1度入ってくるので、実質クビとなる選手も何名か出てしまいます。
「このレースで○着以上を取らなければ引退」という過酷すぎる勝負駆け。実際、期末に近づくにつれてこうした選手が多数いるのも事実。
石野貴之があわやB級転落…話題となった勝負駆け
2021年前期の級別審査では、あるSGレーサーによる過酷な勝負駆けが話題となりました。その選手は超一流レーサー「石野貴之」。
ファンからは”石野信用金庫”の異名を持つ抜群の安定感。15年以上にわたってSG戦線で活躍を続け、2019年・2023年にグランプリ(賞金王決定戦)を制覇したトップ中のトップです。
近年は7点前後の高い勝率を維持し続けていましたが、2020年10月のSGダービーで期間2本目のフライング。
長く厳しい勝負駆けの試練を味わうハメになってしまいます。
F休み直前から陥った大スランプ
フライング1本目は30日間の斡旋停止。2本目を切ってしまうとF休みは60日間加算されます。
2本目のFによる石野の休み期間は、2020年11月15日~翌年の1月13日。グランプリを含むSG2つと、地元のお正月開催に出ることができず。2021年前期の3分の1がF休みという事態に。
つまり、復帰したらすぐに結果を出さないと「B級降格」という危機的状況。
この焦りや不安もあったのか、F休み直前の福岡G1開設記念では、10走中6着が6本という大不振に陥ってしまったのです。
休み明けに調子を戻すのは難しいといわれる競艇界。
そうした心配する声が多くあった中、まさかの不安的中。復帰後も舟券に絡めないレースがほとんどを占めました。
残り1ヵ月半でA2も危ない状況に
期の半分を過ぎても石野の調子は上がらず、3月下旬のSGボートレースクラシック開幕前の勝率は、なんと5.46という考えられない数値へ。
SGレースに出場するにはA1級のキープが大前提。その勝率に届かなかった場合、石野は長期にわたるSG戦線からの離脱が決定的となる状況でした。
A1維持はおろかA2ボーダー(5.43)も迫ってくるプレッシャー。そして、SGレーサーがB1級転落となれば前代未聞の屈辱を味わうことに。
当然、石野貴之を応援するファンからも…
石野がB1降格なんてしたらヤフーニュースレベルだろ。そんなニュースは見たくないから何としてでも頑張ってくれ!
1番好きな競艇選手。最後の最後まで信じたいけど、最悪の結果になったら俺も競艇引退する。
このような口コミが多数投稿され、グーグル検索でも「石野貴之 不調」「石野貴之 引退」といったワードが増えていきました。
【勝負駆け①】逆転の可能性を残すSG制覇
調子が上がらない中で迎えた「第58回ボートレースクラシック」。
ちなみに、SG開催は着順点が一般戦より2点増し。勝率を大きくアップさせたい状況の中、最低でも準優進出が求められる”大きな勝負駆け”となりました。
初日こそ5着だったものの、それ以降はすべて舟券圏内に絡む活躍。
結果は堂々の2位通過となり、準優も難なく1コースからイン逃げを決めて優出を果たします。
予選1位の寺田祥が準優で敗れる波乱によって、運も味方につけて優出1号艇を獲得します。
迎えた優勝戦。コンマ11のトップスタートからイン戦を押し切り、SG制覇という最高の形で勝負駆けを乗り越えました。
この結果によって勝率は5.93まで上昇し、B級陥落という最悪の事態を回避したのです。
【勝負駆け②】怒涛の5連勝でA1を死守
SGの勝負駆けを優勝で乗り越えた石野貴之。
次の地元住之江G1も優出4着で、今期勝率はいよいよ6点台に。次節の大村G1もこの調子でいけば、A1ボーダー突破確実という状況まで持ってきました。
しかし、大村G1の予選最終日。前半レースで負傷した石野は後半を走ることなく途中帰郷。思わぬ形で勝率を落とすことになり、最終節の津(一般)が2つめの勝負駆けとなってしまいます。
6.20とされていたA1級の想定ボーダーに達するには、優出が絶対条件。さらに予選で5~6着も取れない状況。
A1級レーサーが多数出場している中での戦いとなりましたが…
期間ラスト開催の石野は、予選道中でSG覇者らしい強さを発揮し!
初日に2着を続けた後、2日目後半から準優勝戦まで圧巻の5連勝。優勝戦を待つことなく勝負駆けは成功となったのです。
石野貴之の2021年前期最終勝率は6.27。
2つの勝負駆けを乗り越え、わずか1ヵ月半で勝率を0.8も押し上げる驚異的な大逆転で、見事に後期もA1級を維持しました。
動向はリアルタイムで応援してましたが、どのレースもいつも以上の気迫だった気がします。なんにせよ、A1級残留できて良かった!
まとめ
時としてレーサー人生を左右する勝負駆けのレース。
普段以上に気合いが入っているだろうと、ファンも少しひいき目で勝負駆け選手の舟券を買うことが多いようです。とはいえ、もちろん勝負駆けは全選手が成功するものではありません。
回収率に拘るなら、舟券の買い目に加えるかどうかの冷静な判断が必要。選手によってはマイナス要素が多いので、状況に応じて評価すべきでしょう。
勝負駆けを応援するもよし、あえて逆張りするもよし。選手の心理を読みながら買い目を考えていくのも、競艇の醍醐味かもしれません。
最後に、競艇でプラス収支を継続するには、今回説明した勝負駆けをはじめ、様々な専門知識が必要となります。
舟ラブでは役立つ情報が発信しているので、他の記事もぜひご覧ください。
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