2023年2月23日、艇界を代表するトップレーサー「前本泰和」が”一身上の都合”により引退表明。競走会には本人から引退届けを提出済みで、オフィシャルサイトの選手ページは既に削除されています。
ラストランとなったのは、23年2月の児島G1中国地区選手権競走。準優で5着に敗れ、最終日10Rの特別選抜B戦が最後のレース。
第一線で活躍できる実力がありながら、なぜ電撃引退してしまったのか?
2節前のG3マスターズリーグでも予選をトップ通過してますし、今年度は宮島で1勝を挙げています。また、スポーツ紙では「持病の悪化も引退理由のひとつ」と記載しており…
関係者によると、首と腰にヘルニアの持病があり、症状が悪化したことも、引退を決断した理由のひとつだという。
引用元:ヤフーニュース
”持病のヘルニア以外に引退理由がある”と受け取ることも。
ここ最近、競艇界では様々な疑惑が浮上している真っ只中。八百長が疑われている田頭実と中村亮太。そして、いじめによって引退した噂もある三井所尊春。
今のところ憶測の域を超えませんが、持病とは別の引退理由が出てきそうな予感。競艇歴30年以上の記者も納得してない様子。
驚いた。半年はあってなかったけど、そんな雰囲気はなかったので…
— ボートレースなM記者! (@m24591858) February 23, 2023
「一身上の都合」「決断のひとつ」。ケガ以外に理由があることをにおわせる記事。なんだろう?各社デスクの《後追い》勝負が始まる。明日の紙面を見比べてね。14年デスクやったけど、これが一番嫌やった…🤣
https://t.co/IhuuZmd1R9
そうした中、西川昌季が4月9日に暴露した「体重不正疑惑」。
実名は公表していませんが、ほぼ間違いなく前本泰和を指した発言でしょう。まぁ、隠蔽体質の競走会がわざわざ発表するとは思えないけど…
前本泰和とは?
公式画像 | |
名前 | 前本泰和(まえもとやすかず) |
登録番号 | 3573(70期) |
生年月日 | 1972年4月9日 |
身長/体重 | 164㎝/51㎏ |
出身/所属 | 広島県/広島支部 |
優勝回数 | SG:2回 G1:6回 G2:1回 G3:6回 一般:118回 通算:133回 |
前本泰和は1992年にデビューした広島県出身のボートレーサー。
本栖研修所(現ボートレーサー養成所)を優秀な成績で卒業。デビュー翌月に水神祭を果たし、1997年に初優勝を達成しています。そして、2007年には”7節連続優勝”の新記録を樹立。
- 2007年5月28日:唐津一般戦優勝
- 2007年6月10日:丸亀一般戦優勝
- 2007年6月17日:常滑一般戦優勝
- 2007年6月29日:鳴門一般戦優勝
- 2007年7月8日:津一般戦優勝
- 2007年7月18日:びわこ一般戦優勝
- 2007年7月29日:多摩川一般戦優勝
さらに、同年11月に獲得した児島のG1初タイトルを含めると、2007年の優勝回数はなんと11回。
前本泰和の同期(70期)
前本泰和の同期で最も有名なのは、モンキーターンのモデルにもなった「濱野谷憲吾」。
これまでにSGを5度も制覇しているトップレーサーであり、言わずも知れた艇界の重鎮。前本にとって、同期で唯一超えられなかったライバルかもしれません。
その他、SG覇者の西村勝をはじめ、G1で3勝している木村光宏など、未だ第一戦で活躍する選手が大勢います。
一般戦の鬼と呼ばれた実績
出走数 | 通算勝率 | 優勝回数 | |
---|---|---|---|
SG | 575走 | 7.16 | 2回 |
G1 | 1473走 | 6.50 | 6回 |
G2 | 110走 | 7.49 | 1回 |
G3 | 430走 | 6.97 | 6回 |
一般 | 3977走 | 7.67 | 117回 |
前本泰和は自他ともに認めるトップレーサーですが、約31年の現役生活で残した「一般戦117勝」は驚異の記録。一般戦での強さは艇界トップクラスといって良いでしょう。
こうした実績からいつしか「一般戦の鬼」と呼ばれるように。
2016年には史上26人しか到達していない「24場制覇」を達成。しかも、徳山を除く場では2回以上の優勝を記録しています。
ちなみに、女子レーサーで唯一24場制覇を成し遂げた「田口節子」。2021年9月の福岡で達成しています。
SG優勝は2013年賞金王シリーズ・2021年グランドチャンピオン
前本泰和のSG初制覇となった「2013年賞金王シリーズ」。
この年は6月に通算1500勝を達成し、11月には宮島G1でも優勝する活躍で賞金王シリーズ戦に出場。初日から舟券を外さない好走を続け、絶好の優勝戦1号艇を手にします。
優勝戦ではコンマ04のトップスタートからイン速攻を決め、悲願のSG初制覇を達成しました。
2度目のSG優勝は「2021年グランドチャンピオン」。
優出はできてもなかなか勝てない日々が続いていた中、安定した強さで予選を5位通過。また、準優でインコースの峰竜太を2コースから下し、最終戦は1号艇を獲得。
コンマ07の好スタートを決めた前本は、ターンマークを外さない絶妙なターンでイン逃げを成功させます。
2013年の賞金王シリーズ以来、7年ぶり2度目のSG制覇。優勝後のインタビューでは…
SGをとったといってもシリーズだったので、本当のSGをとりたいとずっと思っていた。今度いつできるか分からないし、思いっきりやろうと決めていた。
この優勝で賞金ランキングは3位に浮上し、3度目のグランプリ本戦に出場。目標としていた優出は叶わなかったものの、賞金ランク9位(9474万円)で2021年を終えています。
直近でこれだけの成績を残している前本泰和。未だに引退したのが信じられない
前本泰和の師匠は「西島義則」、弟子は不明
前本泰和の師匠は、3000番台前半の大ベテラン「西島義則」。
”インの鬼”と呼ばれるほど徹底して前づけを敢行し、不利な状況になろうが内側2コースまでやってくる生粋のインレーサーです。
記事を書いている時に気づきましたが、前本泰和は一般戦の鬼、西島義則はインの鬼。師弟関係だから「鬼」という異名を2人に付けたのかもしれませんね。
弟子については一切情報がヒットしないので、面倒を見ている後輩はいない可能性が高そう。
引退理由は公表されるのか?
前本泰和の引退報道があって以降、ファンからは「お疲れさまでした」といった声や、引退を惜しむ声が多数投稿されています。
前本泰和さんが電撃引退。まだ信じられません。長い間お疲れ様でした。 pic.twitter.com/qqlX7JRcyZ
— ベリーコージ (@berry_koji) February 22, 2023
前本泰和が引退とかマジかよ❗️
— チン坊 (@chinbo_boat) February 23, 2023
そこらのジジイより余裕でまだまだやれたやろ👍
前本泰和引退ってちょっとまだ信じられんな
— 饂飩 (@Mrleftylefty) February 22, 2023
えっ前本泰和引退? 西島より先に辞めるとはな
— ほってぃ (@bdg12th) February 23, 2023
今後、前本泰和の引退理由は明かされるのか?
30年に渡って応援してきたファンも沢山おり、せめてラストランという事実ぐらいは周知すべきではないでしょうか。
それに、引退から約2か月後の4月9日、現役選手たちが戦々恐々している存在「西川昌季」からこんな暴露も…
以前にヤフーニュースにも出した
— 西川昌希 (@boatrace4559) April 9, 2023
引退した某選手ですが
体重不正をする為に通勤着(ジャージ)を着て体重検査の際に内側に秘密のポケットを縫い込んで両手両足に装着していたとの話しです。
ドラゴンボールからヒントを得たのでしょうか? pic.twitter.com/2hKdllySPG
内容からして「前本泰和」以外は考えられません。
実力的にまだまだやれていた選手なので、持病の他に理由があるなら公表してほしい。まぁ、隠ぺい体質の業界なので、このままうやむやのままだと思いますが。