未来のオートレーサーを育成する機関「オートレース選手養成所」。
オートレースは経済産業省が所管する公営競技であり、金銭が絡むギャンブル。対象となる選手たちは技術を磨くだけでなく、不正をさせない心得なども養成所で叩き込まれます。
しかし、その厳正な場所において、絶対にあってはならない事件が発生していたのです。
そこで今回は、オートレース養成所とはどんな場所なのか?また、実際に起きた出来事について解説しようと思います。
オートレース養成所とは?
オートレース養成所とは、オートレーサーになるための育成機関。
毎年、難関試験を突破した20名前後が入所し、9ヵ月間の養成訓練を実施。そして、教育課程終了後、選手資格検定(小型自動車競走選手資格検定)に合格すれば、選手登録およびデビューすることができます。
養成所の受験資格
- 満16歳以上
- 運転免許証を取得済(原付免許も可)
- 体重60kg以下
- 両眼とも裸眼視力0.6以上、または矯正視力1.0以上
- バイク・スポーツ経験者など特例制度あり
養成所を受験できるのは「満16歳以上」であることが絶対条件。そして、オートレースはバイク競技なので、受験前に運転免許の取得(原付可)が必須です。
視力については「両眼とも裸眼視力0.6以上」で、メガネやコンタクトによる視力矯正は不可。ただし、角膜を削って矯正するレーシックは認められています。
過去7期(31~37期)の合格倍率は平均28.4倍
期 | 受験数 | 合格数 | 倍率 |
---|---|---|---|
31期 | 986名 | 20名 | 49.3倍 |
32期 | 749名 | 20名 | 37.4倍 |
33期 | 394名 | 20名 | 19.7倍 |
34期 | 307名 | 20名 | 15.4倍 |
35期 | 337名 | 20名 | 16.9倍 |
36期 | 480名 | 13名 | 36.9倍 |
37期 | 357名 | 15名 | 23.8倍 |
2012年(31期)~2023(37期)の合格倍率は平均28.4倍。上記7期で最も高かったのは31期の49.3倍、最も低かったのは34期の15.4倍。
33期(2016年)あたりから受験者数が急激に減っており、ここ数年は400名前後で推移しています。
時期的に減少している原因は不明です。ただ、個人的に推察すると、競艇や競輪の人気が急上昇したことで、オートレースへの関心が低くなっていることが要因だと感じています。
2011年以降、女子選手が増加中
2011年にオートレース選手養成所初の女性合格者が誕生。その年を境に女性の合格者は増えていき、35期(2020年)は過去最多となる8名が入所しています。
女子レーサーが増えるのは業界にとって喜ばしいことですが、一方で悲しい出来事も行っています。
上記画像で紹介した「坂井宏朱」さんは2012年2月、練習中の落車事故で愛車が直撃して頭蓋骨骨折。27歳という若さで殉職したニュースは、当時大きな話題となりました。
デビューして1年も経たないうちに死亡してしまうなんて…。死と隣り合わせの競技だと改めて痛感させられた事故です。
訓練は厳しいがデビュー難度は低め
養成所といえば”地獄のような場所”と連想する人も多いはず。もちろん、訓練自体は過酷な内容でしょうが、他の公営競技と比較すると”優しめ”といった印象。
というのも、最も厳しいと言われる「ボートレーサー養成所」は約半数を脱落させる仕組み。
その点、オートレース養成所に振り落としはありません。訓練に耐え、資格試験に合格さえすればデビューを果たすことはできます。
そもそも20名弱しか入所させていないので、全員を選手にするつもりなのでしょう。
オートレース養成所内で起きた不祥事
オートレースの信頼を失墜させたのは、最多の女性選手が入所した35期生。
2021年5月31日に卒業するはずでしたが、予定通りデビューできたのはたった3人のみ。しかも、卒業できなかった訓練生の中には、規則違反を犯した者までいたのです。
以下は週刊誌が報じた当時のニュース。
35期候補生は20人いた。5月31日に卒業する3人、退所届を提出した4人をのぞき、残り13人の選手登録およびデビューが遅れることとなった。そのうち、負傷などによる2人をのぞく11人については、養成所における規則違反(スマートフォンの時間外使用など)をしたため、謹慎期間を経て再教育訓練を今後行う予定としている。そのため、今回はわずか3人だけが卒業という、前代未聞の事態となった。
引用元:日刊スポーツ
記事では規約違反を「スマートフォンの時間外使用など」としか記載していなかったため、事の重大さには気づけず。
しかし、だいぶ時が経った最近になって新情報が明らかになりましたが…
その情報を公開してしまうと今後の私生活に影響を与えるため、プライバシー保護の観点から当ブログでは公開を控えます。
ネットで検索すれば出てくるかも。ただ、それらの情報が事実である確証はありません。
35期生は20名の内、12名しかデビューしていない
現在、20名いた35期からオートレーサーになったのは12名のみ。残り8名には怪我などでデビューを果たせなかった者もいるでしょうが、規約違反で退所した割合が高そう。
ちなみに、34期以前にデビューした選手数を調べてみると…
- 34期:20名(20名)
- 33期:19名(20名)
- 32期:17名(20名)
- 31期:19名(20名)
ご覧の通りです。他の情報サイトで35期を「不良組」と揶揄していましたが、予定通りデビューした選手以外は”不良の集まり”だったといっても大袈裟ではないでしょう。
最後に、オートレース協会は全てを把握していたはず。それを一切公表しない隠ぺい体質、公営競技はどこも同じですねw
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