2024年10月2日、尼崎の男女W優勝戦において、今年3度目の優出1号艇でまたまた敗退。
9月11日の大村G3オールレディース、9月23日の芦屋女子戦いずれも2着。女子界トップクラスのイン勝率を誇りながら”3節連続イン戦失敗”という不名誉な記録を作ってしまった。
第1回女子王座決定戦の開催から2023年で36年。これまでの長い歴史にはスター選手も数多く登場しましたが、今回取り上げる「寺田千恵」もその1人。
男子優勢だった競艇界に大きな風穴を開けたレジェンド級の女子レーサーです。
”史上初”の快挙をいくつも成し遂げ、人気先行だった女子の競技力向上に大きく貢献。また、50歳を過ぎても実力は衰えることなく、最前線で活躍を続けています。
そんな寺田千恵について、若い頃から現在までに残した実績を始め、旦那や娘さんなどプライベートを紹介します。
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寺田千恵とは?
寺田千恵は山口県防府市出身、福岡県育ちのボートレーサー。
デビュー当時は福岡支部でしたが、立間充宏との結婚を機に岡山支部へ移籍。それと同時に住む場所も岡山に移し、立間の両親、20歳前後の娘さんと暮らしています。
寺田千恵の公式プロフィール
公式画像 | |
名前 | 寺田千恵(てらだちえ) |
愛称 | てらっち |
登録番号 | 3435(65期) |
生年月日 | 1969年4月11日 |
身長/体重 | 157cm・46kg |
出身/所属 | 福岡県/岡山支部 |
デビュー日 | 1989年11月 |
寺田千恵の出場予定や期別成績は、オフィシャルサイトの選手ページをご確認ください。
競艇選手を目指すきっかけは母親
小学校1年生の時に父親間を病気で亡くし、山口県から福岡県北九州市に移住。ボートレース若松の近くに住んでいたこともあり、子どもの頃から競艇を身近に感じていたそうです。
ボートレーサーになろうと思ったきっかけは、元ソフトボール選手でスポーツが好きだったアサ子さん(母親)の勧め。
「女手一つで育ててくれた母親に孝行したい」という思いから、福岡県立若松高校を卒業してすぐ本栖研修所(現ボートレーサー養成所)受験、合格しています。
モンキーターン「櫛田千秋」のモデル
寺田千恵は、競艇漫画モンキーターンに登場する「櫛田千秋」のモデル。
名前が似ているだけでなく、(当時)福岡支部所属というのも寺田千恵を意識した設定だったのでしょう。
「最強の女子選手」という肩書きや、後輩の面倒見が良い人間性は寺田千恵そのもの。さらに、SG優勝戦に出走して波多野憲二らと戦ったエピソードも、寺田千恵のキャリアに沿って描かれてます。
同期(65期)の注目選手
1年間の訓練生活を共にした同期には、G1覇者「大賀広幸・柏野幸二」や、一般戦で優れた成績を残している「大平誉史明」らいます。
その他、2023年に突然引退した「森秋光」も65期生。八百長疑惑は晴れぬままですが…
寺田千恵の旦那・弟子は?
寺田千恵は2002年に同じボートレーサーと結婚。また、デビュー30年目にして初めての弟子を迎えています。
夫はボートレーサーの立間充宏
寺田千恵の旦那さんは、ボートレーサーの「立間充宏」。
女子のトップ選手が6歳年下の男子選手と電撃結婚したニュースは、当時のスポーツ紙を賑わせる大きな話題となりました。
馴れ初めは福岡支部の藤丸光一を通じての紹介。その後、交際を経て2002年2月に結婚、同時に長女の出産で産休に入り、岡山支部へ移籍しています。
2人ともSNSでの発信は行っておらず、夫婦仲を覗き見ることはできません。ただ、過去に出演した動画を見る限りは、ラブラブの様子が伺えます。
斡旋が重なればほぼ一緒にいて、休日も夫婦揃ってゴルフ三昧。ある意味、最高の関係ですねw
弟子は120期の安井瑞紀
寺田千恵の弟子は、同支部の若手レーサー「安井瑞紀(やすいみずき)」。
師匠は弟子の選手人生を背負うことになります。その為、インタビューでは「できるなら持ちたくなかった」とインタビューで話していたことも。
しかし「教えてもらいたいことがいっぱいある」と安井瑞紀はしつこく食らいつき弟子にしてもらったそうです。
「練習やレースで気づいたことをノートに書く」「相手ではなくターンマークを見て回る」など、メンタルと技術の両面で寺田流の指導を受けている安井瑞紀。
まだ優勝はありませんが、デビュー2年目にB2級を脱出。さらに、2022年には7月の津ヴィーナスシリーズで初優出を果たしています。
安井瑞紀といえば、美人レーサーとしても人気のある選手。実力もあるので今後に期待です!
デビューから現在までのキャリア
寺田千恵は1989年にデビューし、選手生活が30年を超えている大ベテランです。
手元の計算では出走数7500レースを超えており、優勝72回を記録(2023年4月末現在)。女子界を牽引するトップレーサーと言って良いでしょう。
デビュー5年目で初優勝
1989年11月に若松競艇場でデビュー。訓練生時代の実績から、将来性を期待する声も多い選手でした。
待望の初優勝は1994年12月の宮島女子リーグ。宮島の水面は相性が良く、女子戦では圧倒的に強いデータを残しています。
ちなみに、寺田千恵はデビューから5期目でA級に昇格。産休によって水面を離れた3期のB2級降格を除き、現在まで全ての期でA級を維持する安定感を誇るレーサーです。
産休明けの復帰5節目で優勝
2001年12月のSG賞金王シリーズ戦(住之江)を走った後、産休で水面を離れました。
復帰は1年5ヵ月後となる2003年5月、新しいホーム水面となった児島のGW開催。2日目の2走目で5コースからまくりを決めて1着を奪います。
B2級時代は女子戦を中心に活躍を続け、復帰5節目の芦屋G3で復帰後初Vを達成。ブランクなどまったく関係ない強さを発揮し、そうそうに7点台の勝率をマーク。翌2004年からA1級に復帰しました。
2023年、生涯獲得賞金10億円超えを突破
2023年3月31日、寺田千恵は「日高逸子・山川美由紀」に続く、女子3人目となる生涯獲得賞金10億円超えを達成しました。
金字塔を打ち立てたレースは、児島ヴィーナスシリーズ優勝戦。
優出時点で生涯獲得賞金が9億9982万円。無事故完走で10億円オーバーという状況だった中、3コースから2着に入る好走を魅せ、地元水面で大記録達成となったのです。
寺田千恵の年収(年別獲得賞金)
年 | 獲得賞金 | 女子順位 |
---|---|---|
2024年 | – | – |
2023年 | 37,955,000円 | 9位 |
2022年 | 36,159,000円 | 10位 |
2021年 | 32,512,000円 | 10位 |
2020年 | 34,249,340円 | 7位 |
2019年 | 41,271,000円 | 5位 |
10年以上前から安定した好成績を残し続けており、女子賞金ランキングでは常にトップクラス。その実績を裏付けるように、2004年以降はA1級をキープしています。
3000万円をほぼ下回らない高額年収。収入だけで比較すると、大企業の重役を超えているかもしれませんw
寺田千恵の強さが分かる過去実績
寺田千恵が獲得したG2以上のタイトルは5回。
しかし、1つ目のタイトル獲得までに17年4ヵ月もの期間を要しています。確かな実力がありながら女子の頂点に立つことができなかったことで「無冠の女王」と呼ばれた時期も。
女子初のSG優出を達成(2001グラチャン)
寺田千恵といえば、2001年に「女子史上初のSG競走優勝戦進出」という歴史的快挙を達成しています。
以下は、寺田が出場したSG優勝戦メンバー。
ピット離れから仕掛けたのは、唐津の地元レーサー上瀧和則。前付けに抵抗して1コースを主張しますが、この駆け引きによって深インとなってしまい、結果としてコンマ33のドカ遅れ。
それでも強い伸び足で盛り返しますが、1マークをうまく回り切れず後退。5着に敗れて快挙達成はなりませんでした。
当時を振り返った動画では「経験不足が敗因」と語っています。
女子初のSG制覇に最も近づいてから約20年、2022年に「遠藤エミ」がクラシック制覇。その起点になったのは間違いないと思います。
4艇身差を逆転して無冠返上(2007女子王座決定戦)
2007年に開催されたG1女子王座決定戦。
優勝戦は4コースからコンマ06のトップスタート。スリットから内に絞ってカドまくりを狙いますが、インの山川美由紀が抵抗。1周目バックでは最大4艇身の差をつけられる展開に。
山川の優勝がほぼ出来上がった2周1マーク、ギリギリの旋回で山川に接近。この攻めで膨らんだ山川が失速し、6号艇池田明美を含めた三つ巴戦となります。
勝負を決めたのは2周2マーク。
先マイした池田の懐に差しを入れ、寺田がそのまま先頭を独走して1着でゴール。気迫を見せた道中大逆転で初の女子王座を獲得しました。
横綱相撲で女王V2(2010女子王座決定戦)
40歳を迎えた2010年のG1女子王座決定戦において、女王戴冠を獲得する2度目のチャンスが訪れます。
コンマ02の完璧なタイミングを決め、3コースからまくりを狙った日高逸子をブロックして勝負あり。他の5艇を一切寄せつけない強さで3周をまわり、3年ぶりの女子王座優勝を達成しました。
地元のイン戦を完勝(2019レディースオールスター)
2017年から始まったG2レディースオールスター。寺田千恵は地元開催の第3回大会を制しています。
予選からソツのない走りでポイントを積み上げ、準優もイン戦を押し切り予選トップ通過。
やや強めの追い風となった優勝戦。インコースからトップスタートで先手を取り、1マークを完璧なターンで完勝。優勝した寺田と共に、同支部の後輩「田口節子」のワンツーフィニッシュとなりました。
寺田千恵が「女子最強」である理由
SG出場は2021年から遠ざかっていますが、女子レーサーの中ではトップクラスを守り続けている寺田千恵。
そんな彼女が「最強」と呼ばれるのは成績だけでなく、女子のボートレースを引っ張っていく気概の強さも人一倍あるからではないでしょうか。
艇界屈指のオールラウンダー
艇番 | 1着率 | 2連対率 | 3連対率 |
---|---|---|---|
1号艇 | 56.2% | 74.6% | 84.3% |
2号艇 | 33.0% | 60.3% | 76.6% |
3号艇 | 27.5% | 51.9% | 69.5% |
4号艇 | 24.5% | 47.7% | 70.0% |
5号艇 | 17.9% | 38.7% | 60.5% |
6号艇 | 14.3% | 35.5% | 56.7% |
上記表はコース別の通算成績です。
どのコースからでも舟券に絡み、逃げ・差し・まくり・まくり差しと技量は平均以上。この安定感こそが寺田千恵の強みだと指摘する記者や専門家は少なくありません。
「体力は年々落ちるけれど、経験値は増える」と話している通り、沢山のレースを経験してきたことが結果に現れているのでしょう。
枠番に関係なく腕があれば最前線で戦える。このポリシーを自ら結果で示し続ける姿に、尊敬の念を持つ後輩レーサーが多いのも納得できます。
岡山支部を支える母のような存在
寺田千恵が移籍した岡山支部には、トップレーサーの「田口節子」も在籍。同支部の中心選手として、女子の艇界を引っ張る田口には大きな期待を掛けているようです。
過去には「私1人に岡山を背負わせるな。いい加減ちゃんと走ってくれ」と喝を入れたことも。
その甲斐あって田口節子は2021、2022年のクイーンズクライマックスを連覇。2019年には2人揃ってSGダービーにも出場しました。
そして、岡山には守屋美穂や土屋南など全国区の女子選手も。百戦錬磨の寺田千恵が「岡山支部の母」として良い影響を与えているのは間違いないでしょう。
2023年レディースオールスターに見せた賞典除外後の走り
寺田千恵といえば、レーサーとしての気の強さも印象的な選手。その気質を良い意味で強く感じたのが、2度目の優勝を狙った2023年の蒲郡レディースオールスター。
優勝候補に挙げられていた寺田ですが、初日1走目に妨害失格で賞典除外に。
後半の2走目は3コースからのまくり差しで1着を取りましたが、インタビューでは妨害の裁定に納得がいかない様子が感じ取れます。
それでも腐ることなく寺田は翌日以降も好走を続け、優勝した長嶋万記と並ぶ節間4勝をマーク。
若手選手が多い中で格の違いを見せ、オールスターの舞台でファンの期待に応える走りはとても印象的でした。
審判長の裁定は絶対とはいえ、あれで妨害失格を取られるのはちょっと可哀想…
寺田千恵に期待される3つの偉業
ここで紹介する3つの偉業はいずれもゴール目前のものばかり。現役引退までに達成されるのはほぼ間違いないかと。
24場制覇!残すは浜名湖・唐津のみ
女子では田口節子のみが達成している全24場制覇。
寺田千恵も各地の水面でVを飾っており、全場コンプリートに向けて残すは2場のみとなっています。
1つは女子戦で何度も出走機会がある「浜名湖」。そしてもう1つは、かつてSG優勝戦で悔しい思いをした「唐津」。2場とも苦手意識はなさそうなので、次回以降の斡旋に注目が集まります。
クイーンズクライマックス優勝
開催年/場 | 着順成績 | 結果 |
---|---|---|
2012年/大村 | 525 | トライアル敗退 |
2013年/芦屋 | 552 | 優出4着 |
2014年/住之江 | 転46 | トライアル敗退 |
2015年/福岡 | 125 | 優出3着 |
2016年/平和島 | 216 | 優出4着 |
2017年/大村 | 325 | 優出2着 |
2018年/平和島 | 542 | 優出4着 |
2019年/徳山 | 314 | 優出3着 |
2020年/浜名湖 | 552 | トライアル敗退 |
2021年/福岡 | 533 | トライアル敗退 |
2022年/住之江 | 556 | トライアル敗退 |
2001年に賞金女王のタイトルは手にしていますが、2012年に創設された「G1クイーンズクライマックス」の優勝はまだ達成できていません。
とはいえ、10年以上途切れることなく第1回大会から連続出場中。選手としてのピークは過ぎているはずなのに、選出され続けているだけでも凄すぎる記録だと思います。
女子生涯獲得賞金の歴代1位
- 1位:日高逸子(10億9,417万円)
- 2位:山川美由紀(10億7,344万円)
- 3位:寺田千恵(10億59万円)
生涯獲得賞金が10億円を超えている女子レーサーは上記3名。
全員現役で水面を走っていますが、寺田千恵は3人の中で最も若い年齢。この先、どう変動していくのかファンの間でも関心度は高めです。
現在1位の「日高逸子」と寺田との差は約9350万円。差を詰めるには女子タイトル戦、男女混合G1での活躍が必要となるでしょう。もちろん、ケガなく現役を続けていくことが最低条件ですが…
直近の成績では、日高・山川を圧倒しています。数年後には歴代1位に立っていそうな予感。
まとめ
女子レーサーが活躍する基礎を作り、自らも進化を止めない寺田千恵。若手レーサーを気迫で蹴散らす「最強の走り」はこの先もまだまだ見られそうです。
というか、てらっちはサラリーマンなら定年を迎える年齢ですが、女子トップで戦い続ける忍耐力、精神力にはあっぱれ。
これからも更なる活躍を期待して舟券を買わせていただきます!
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