3月11日といえば、日本に甚大な被害を及ぼした東日本大震災の発生日ですが、艇界を代表するトップレーサー「守田俊介」にとっても関連が深い日となります。
2015年10月20日からボートレース浜名湖で開催された「第62回ボートレースダービー」でSG初制覇。その際に受け取った優勝賞金3500万円を全額、東日本大震災の被災地に寄付したのです。
地震が発生した2011年、3月13日から31日まで全国24場で一斉に開催を中止。4月1日から順次開催されたものの、被害の大きかった桐生競艇に至っては再開が遅れた事実もあります。
また、東日本大震災被災地支援競走と掲げて、入場料を取らないレースが全国で執り行われ、全国の競艇場が募金箱を設置して寄付を募りました。
戸田では開催中止となったSGクラシックの代替として、2011年8月に「SG東日本復興支援競走」を開催。6日間で約84億円の売上を記録し、その内3000万円が被災地に贈られています。
公営競技である以上、被災地への寄付などは当然の行いと言えるでしょう。ただ、京都府出身の「守田俊介」に関しては、悪く言えばゆかりのない土地。
その人物がなぜ多額の寄付をしたのか?
震災の1年前、マイカーで「車中泊で24日間の東北旅行」をしたことがあるらしい。
宮城県の日本三景の1つ松島の絶景を眺め、岩手県ではジャージャー麺を味わうなど、東北地方の魅力を堪能。それから1年後、東日本大震災のニュースを観た際、居ても立っても居られなくなったそうです。
震災から間もない3月下旬に「なにか自分にできることはないか」と自家用車で現地に向かうも、車が立ち往生して何もできずに帰宅。その出来事について…
浮ついた気持ちで来た自分を責めて、怖くなって。何の役にも立たなかった。被災者が苦しんでいるのに、何てことをしに来ているんだろうって。それが自責の念として心に残った。逃げて帰った
その想いが彼を躍動させたのか、天才と呼ばれながらも獲れずにいた「SG覇者」の称号を、2015年のダービーで勝ち取ったのです。
感動をくれた東北地方に対し、何もできなかったという守田俊介の想いは「優勝賞金3500万円全額寄付」という形で実現されました。
また、他媒体の取材時にこんなことも話しています。
東日本大震災の時、母にだけ伝えた「SGを獲ったら寄付する」という思いを実行する時が来た。
正直、縁もゆかりもないレーサーが、これほどの金額を寄付した話は聞いたことがありません。
人としてもレーサーとしても尊敬に値する守田俊介は、京都府出身の1975年8月12日生まれ。滋賀支部を牽引する74期のA1級レーサー。
2018年は蒲郡で2度目のダービー王に輝き、2019年には「全24場制覇&100V」と「通算2000勝」達成。言わずと知れた艇界を代表するトップレーサーの1人です。
日本の復興に尽力した守田俊介。こういう人間性を知っていると、自然と舟券を買いたくなる自分がいます。