5月17日に褒賞懲戒審議会が行われ、5月25日から4ヵ月間の出場停止処分が決定。詳細は記事本文で解説しています。
2023年3月12日、若松で開催された「ルーキーシリーズ第4戦植木通彦フェニックスカップ」。準優9Rにおいて、2号艇の「吉田凌太朗」が重大な違反行為を起こしました。
問題となった準優勝戦メンバーはこちら。
1号艇にはオール3連対で勝ち進んだ高橋竜矢。23年トップルーキーに選出されるなど、将来を有望視された広島支部のルーキーです。
2号艇は艇界のサラブレッド吉田凌太朗、3号艇は23年2月にG1初優勝を達成し、SGクラシックの出場権を得るなど絶好調の中村日向。この3艇が人気を集めていた番組。
実際のレースは以下をご視聴ください。
迎えた本番。ほぼ横並びとなったスタートから、高橋竜矢がイン先マイで難なく逃げます。
バックストレッチでは吉田、中村、澤崎による2着争い。
最内で半艇身ほど出ていた吉田優勢と思われましたが、2マークで引き波に飲まれて失速。さらに、先に回った澤崎と軽く接触し、逆転を許してしまいます。
先頭を独走する高橋、単独2番手は澤崎、続いて吉田・中村の3着争い。
2周1マークは中村優勢だったものの、吉田の鋭い差しが入って形勢逆転。そして、中村をブロックしながら2マークをターンし、この時点で3着争いはほぼ決着。
「1-3-2」の舟券を持っていた人は的中を確信したでしょうが、この後取った”吉田凌太朗の行動”に一同は驚愕します。
3周1マークに差し掛かる中、吉田凌太朗は突如、体を大きく起こして減速。
モンキーターンの姿勢を取ることもなく、ゴールした後のようなターン。当然、全速でまくってきた中村日向にあっさり逆転され、抜かされても尚、全く気にしていない様子が伺えます。
どこからどう見ても周回誤認。
おそらく、3周目のバックストレッチ中間あたりで周回誤認に気づきますが、すでに遅し。3着を譲り渡す結果となり、吉田凌太朗は4着でゴール。
このレースで吉田凌太朗は「騒擾を惹起する航法」の裁定がなされ「即刻帰郷」の処分が下されました。
騒擾を惹起する航法とは「秩序を乱す航法」とも言い換えられます。もう少し分かりやすく解説すると、要は「八百長と疑われても仕方のないような航法」。
当然のことですが、ボートレーサーは最後まで全力でレースすることが大前提。当該レースはその前提が守られず、一定のファンに損失を与えてしまったのです。
正直、八百長(着外になることが決まっていた)と思われても仕方のない行為。
実害がない人ならまだしも、舟券が外れてしまった人は許せないはず。そうした声がSNSでは拡散されています。
吉田凌太朗は1年出場停止なのかな?
— なみへい (@ABAB11921192) March 14, 2023
こっちは舟券にも影響出てるので、酌量の余地もあった人間より軽い処分はないよな?
昨日の吉田凌太朗のやつ酷いな
— ぶにゅじま (@ninjin_nageru) March 13, 2023
あんなの客に合わせる顔無いよ
即刻帰郷は最も重いペナルティ
吉田凌太朗が受けた「即刻帰郷」は、レース出場中の選手にとって最も重たいペナルティ。
1文字しか違わない「即日帰郷」の場合、後半レースに出番があれば出走し、その後に帰郷。節間2本のフライングや、内規違反だと即日帰郷になるケースが多いです。
一方、即刻帰郷は文字の通り、レース直後にレース場を出て行かなければならず、すぐさま追い出される罰則内容。また、年に数回行われる褒章審議会で処罰の対象となります。
今回の件で、吉田凌太朗は褒章審議会にかけられ処分を受けます。
過去の同ケースからして3~6か月程度の出場停止となるでしょう。状況や内容によっては、最悪12カ月の出場停止となる場合もあります。
4ヵ月間の出場停止処分が下される
5月17日、今回の一件について褒賞懲戒審議会を行い、同月25日から4ヵ月間の出場停止処分が決定しました。
褒賞懲戒審議会で処分を受けた者は、SG及びPG1への出場ができません。その為、9月に予定されていた「G1ヤングダービー」の斡旋は強制的に辞退となります。
過去に騒擾惹起(周回誤認)で罰せられた選手
ここ数年間だけでも「騒擾を惹起する航法」を犯した選手は数名います。
吉田拡郎(4か月の出場停止)
2021年3月2日の浜名湖G1「開設67周年記念」。
2周2マークをターンした後、3着を走行していた「吉田拡郎」が周回誤認。4番手だった小野達哉にホームストレッチで抜かされ、初日1走目だけ走ってそのまま帰郷しています。
冨名腰桃奈(3か月の出場停止)
2022年8月13日の若松一般戦。
スロー3艇がフライングを犯し、残ったのはアウト3艇のみ。1周バックストレッチでは4号艇「冨名腰桃奈」の1着がほぼ確定していた中、F判定の誤認でピットへ戻ろうとしています。
故意ではないにせよ、4号艇を軸に勝っていた人がいるもの事実。選手自身の確認ミスなので、3ヵ月の出場停止は妥当な処分でしょう。
藤原菜希(12か月の出場停止)
2020年2月20日の尼崎一般戦。
1号艇「藤原菜希」がイン逃げを成功させ独走していたところ、2周1マークで接触事故が発生。この事故で5号艇中里優子がエンストしてしまったものの、周回遅れでエンジン起動。
ただ、1着を走っていた藤原は”中里の不完走”を意図的に操作した?と判断され、12ヵ月の出場停止に。
常に全力で戦わないといけないのは当たり前のことです。しかし、このレースは逮捕された西川事件があった直後。
そうした状況だったことも影響したのか、あまりにも厳しすぎる処罰が下されました。
他にも様々な違反行為があります。競艇をマスターしたいなら抑えておきたい知識です。